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ミンクーヒト間のコロナ感染で50万匹殺処分のオランダ... 無関係ではないペットとは?

石井万寿美まねき猫ホスピタル院長 獣医師
(写真:ロイター/アフロ)

世界で初めて、ミンクーヒト間での新型コロナ感染がオランダで報告されました。50万匹以上のミンクがオランダで殺処分されました。オランダは毛皮生産国、世界4位(1位中国、2位デンマーク、3位ポーランド)です。毛皮用に飼育されているミンクの感染率が上昇していること、ミンク農場の従業員2人がミンクから感染した可能性があることがわかり、このような処置を取りました。つまりミンクーヒト間で新型コロナの感染の可能性があったのです。

そのため、獣医師としてはある懸念が生じました。なぜなら、毛皮用のミンクと、ペットとして飼われているフェレットは、同じイタチ科の動物なのです。日本では、全国的に一定数のフェレットが飼われていますし、私の病院にもきます。そこでフェレットは、新型コロナに感染しないのか? 考えていきましょう。

(CNN) オランダ政府は19日夜、新型コロナウイルスがミンクから人に感染した可能性があるとの見解を示し、オランダ国内の全ミンク農場で強制検査を実施すると発表した。

発表によると、新型コロナウイルス感染に関してミンク農場で実施している調査の結果、ミンクから人への感染が起きていた可能性があることが分かった。

さらに、ミンクが新型コロナウイルスに感染しても、症状が出ない場合があることも判明。政府は抗体検査をオランダ国内の全ミンク農場に拡大し、強制措置として実施すると表明した。

出典:新型コロナウイルス、ミンクから人に感染した可能性 オランダ

ミンクは、もちろん毛皮が目的とされているので、小さな金網の檻の中で密集して飼育されています。そのため、新型コロナウイルスが感染した可能性があります。ペットとしてのフェレットは、全く同じだというわけではありません。フェレットはなぜ、気をつけた方がいいのか? を考えてみましょう。

フェレットは、なぜ、気をつけた方がいいのか?

撮影筆者 『世界動物大図鑑』
撮影筆者 『世界動物大図鑑』

↑ イタチの写真

フェレットもミンクもイタチ科の動物です。

フェレットは、ペット用に改良品種されてニオイがあまりしないようにされています。一方、ミンクは毛皮を取るために改良さています。若干大きさは異なり、ミンクの方がやや大きいです。つまりよく似た遺伝子を持っているのです。もちろん、フェレットーヒト間で、新型コロナウイルスが感染したというニュースはありません。しかし、ミンクーヒト間の感染の可能性がわかっているので、フェレットも気をつけた方がいいですね。

ヒトーフェレット間 フェレットーヒト間で感染があるインフルエンザ

飼い主がインフルエンザに感染すると、飛沫(くしゃみなどをした拍子に出た鼻水や唾液)からフェレットに感染します。同じように、インフルエンザに感染したフェレットの飛沫からヒトや他のフェレットに感染することがあります。

ペットからヒトに感染する珍しい例ですが、フェレットの飼い主は、冬になるとインフルエンザにかからないように、注意しないといけません。フェレットが、インフルエンザにかかると命にかかわることもありますから、気をつけてあげてくださいね。

コロナ禍の中ペットの飼い主が気をつけること

新型コロナウイルスについては、まだよくわかっていないことが多いです。

人からペットが新型コロナウイルスに感染する可能性があることはニュースで伝えられています。その一方、ペットからヒトに感染するリスクはこれまでと変わらず低くいと考えられます。そのため、いま飼っているペットたちを大切に飼っていただきたいです。それでも、コロナ禍の中、以下のことに気をつけてくださいね。

・飼い主が、新型コロナウイルスに感染しないように気をつけましょう。

・飼い主が、帰宅したときには、しっかり手洗いをしましょう。

・飼い主が、咳などがあるときは、マスクをしてペットの世話をしましょう。

・ペットを人混みに連れて行かないようにしましょう。

・犬をドックランなどに連れて行くとは、あまり人のいないときにしましょう。

・猫は、完全室内飼いにしましょう。

・ペットたちの排泄物を速やかに処理しましょう。

・ペットに、キスするなどの濃厚接触(特に猫、フェレット)は、避けましょう。

・多頭飼育になると、感染のリスクが増えるので、適切な数の飼育頭数にしましょう。

まとめ

いまの時代、ネットで新型コロナウイルスのニュースが瞬時に流れます。いま飼っている子たちは、飼い主が新型コロナウイルスに感染しない限り、ほぼかかりません。情報に踊らされることなく、科学的な知識を持って、ペットと一緒に暮らしましょうね。

参考サイト

New results from research into COVID-19 on mink farms

まねき猫ホスピタル院長 獣医師

大阪市生まれ。まねき猫ホスピタル院長、獣医師・作家。酪農学園大学大学院獣医研究科修了。大阪府守口市で開業。専門は食事療法をしながらがんの治療。その一方、新聞、雑誌で作家として活動。「動物のお医者さんになりたい(コスモヒルズ)」シリーズ「ますみ先生のにゃるほどジャーナル 動物のお医者さんの365日(青土社)」など著書多数。シニア犬と暮らしていた。

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