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腕立て伏せが苦手な人は心臓発作のリスク大、米大学調べ

猪瀬聖ジャーナリスト/翻訳家
(ペイレスイメージズ/アフロ)

 活動的な中高年男性で腕立て伏せが41回以上できる人は、同10回未満の人に比べて、心臓疾患のリスクが96%も低い。米ハーバード大学公衆衛生大学院の研究チームがこんな研究結果を公表した。

 研究結果は、米国医師会が発行する「JAMAネットワーク・オープン」に、2月15日に掲載された。腕立て伏せと心疾患との関係を調べた研究は初めてという。

 研究チームは、現役男性消防士1,104人の、2000年から2010年の間の健康診断データを分析した。被験者のデータ初年度の平均年齢は39.6歳。肥満度をあらわすBMI値は平均28.7で、太り気味の人が多かった。被験者は最初に腕立て伏せの回数とトレッドミル(ランニングマシン)テストの結果を記録し、その後は、通常の健康診断を受けた。

 記録した約10年の間に、37人が心臓発作などの心疾患を発症。腕立て伏せの記録を調べたところ、1人を除いた36人が40回以下だった。さらに分析すると、腕立て伏せが41回以上できた被験者は、同10回未満の被験者に比べて、心疾患にかかる確率が96%も低かった。

 また、腕立て伏せの回数と心疾患との相関関係は、有酸素運動能力と心疾患との相関関係よりも高かった。

 研究チームのジャスティン・ヤン氏は、「腕立て伏せの能力を見れば、トレッドミルのようなコストのかかる試験をしなくても、素早く心疾患のリスクを測定することができることがわかった」と研究の意義を強調した。

 ただし、被験者がすべて体を動かす職業に就く中高年男性であるため、今回の研究結果は、ふだん体を動かさない人や、異なる年齢層、女性などには必ずしも当てはまらない可能性があるとしている。

ジャーナリスト/翻訳家

米コロンビア大学大学院(ジャーナリズムスクール)修士課程修了。日本経済新聞生活情報部記者、同ロサンゼルス支局長などを経て、独立。食の安全、環境問題、マイノリティー、米国の社会問題、働き方を中心に幅広く取材。著書に『アメリカ人はなぜ肥るのか』(日経プレミアシリーズ、韓国語版も出版)、『仕事ができる人はなぜワインにはまるのか』(幻冬舎新書)など。

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