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なぜか?スーパーの売り場に中華惣菜が復活。炒飯が単品、セットでも陳列?そのわけは?

池田恵里フードジャーナリスト
なかでも炒飯が単体で販売されていたり、ユニークな商品提案もある。(写真:アフロ)

中華のこれまで、今、チャーハンに注目!

「最近、スーパーの売り場を見るとあまり中華惣菜が見受けられましせんよね」

まだ消費税が5%だったころだ。

言われてみれば売り場面積が極端に減り、酢豚は以前より、少なくなったのだ。

さてそこで中華によく使われる豚を調べることにした。

記憶に残っておられるであろう。

2005年のBSE問題のときのことを

これにより国内の牛肉の価格は約5割高い水準を推移したのだ。

また豚に関しては牛肉に変わってということもあり、一時期、高騰したが、急速にそれまでの価格に戻ったのだ。

畜肉部門はスーパーにとって優等生であり、前年よりプラスに転じることが多い一方で何か外的要因があると一気に価格が上下するのだ。

一時期、頻繁に登場していた惣菜売り場で見かけるのが牛肉、豚、鶏肉が安価な鶏に変更して販売もされている。

それが酢鶏なのだ。

豚ばかり取って帰るお客様、お客様は神様と言えど・・・

酢豚を量り売り惣菜で販売した際、ある顧客が来ると豚ばかりを取って帰ってしまうことがあり、困ったものだった。

それが不思議なほどにお年寄りの方が多かったのだ。

豚ばかりを取ってかえってしまう顧客が店舗に現れると「来た!」とバックルームで言っていたものだ。

その顧客がいなくなると、酢豚の状態は見るも無残な野菜の甘酢炒めと化した。

さて本来、惣菜の開発として手掛けるものとして以下の順番がある。

NO1が和惣菜

NO2が中華惣菜

NO3が洋惣菜

冷惣菜を除いて、この順番が売れ筋だった。

さてNO3となった洋惣菜は難しく、たとえばトマトソースは赤い色を維持することが難しい。

それもあってしばし完成度の高い商品がなかなか陳列されなかった。おのずと売り上げに直結しなかったのだ。

中華は、店舗内オペレーションも当時、いたって楽であり、具材を揚げ、それをたれに絡めるのがスーパーの調理方法である。

なんといっても、ひと手間かかる中華は家庭では面倒である。そのため、一時期、四国の惣菜店、そして大手デパ地下惣菜店では、中華惣菜のみを販売した売り場を展開しているところも多く見かけられた。その中で必ず、商品調査としてみる中華店があった。それが渋谷のフードショーであった。

渋谷店のみでしか販売されていない商品もあり、そのために遠方から状況して購入するために訪ねる惣菜社長もいたほどだ。

しかし最近、その店をベンチマークするといった声もスーパー、弁当専門店では、とんと聞かれなくなったのだ。

主たる要因として以下が考えられる。

・消費税導入の前年(2013年)と導入後とを比較すると違いが価格が上がったり、ポーションがより小さくなって販売されている。

・原料の高騰

中華では豚を使用することが多く、価格は変動しやすく、価格設定が難しい。

消費税導入前2013年、導入後2014年

そこで導入前の2013年5月、導入後の2014年5月の売り場状況を比較してみた。これだけで明確に違いがわかるとは一概に言えない。しかし明らかに変化しているところもあるのだ。

その前に・・・

以前にも書いた、エンゲル係数をみてもご覧の通り、消費税導入後、ぐんと上がっている。

エンゲル係数 池田恵里 家計調査より作成
エンゲル係数 池田恵里 家計調査より作成

さて話は戻って、何故、5月の売り場をみたか?

これは消費税が4月に導入され、その後5月を同月比するとわかりやすいと思い、全部ではないが注目すべき商品を取り上げてみた。

調査した企業はヤオコー、ベニマル、ヨーカドーである。いずれも本体価格。

消費税導入前と導入後の価格の変化(本体価格)池田恵里調査
消費税導入前と導入後の価格の変化(本体価格)池田恵里調査

最近の傾向

チャーハン単体で販売されているところが多く見受けられるようになった。

なかには焼きそばと炒飯セットの弁当も見かけられた。

たれメーカーで中華に定評があるN社に聞いてみると、「中華たれの売れ行きは良く、四川の辛いタイプの麻婆豆腐のソースや黒酢の酢豚、油淋鶏ソースが売れており、中華調味料は、前年比107%で推移しており、惣菜売り場によく中華が見かけられるようです」とのこと。

その原因としては、ファミレスでの中華は、前年対比でプラスとなっており、売れているとのことで、やはり外食が火付けとなり、それが中食に流れるのではと、たれメーカーB社は言われる。

例えば、ダッカルビが今ちょっとしたブームであるが、これも外食で定着した後、中食で陳列されるようになった。

以前にも書いたかもしれないが、外食で売れ筋になると保守的な惣菜はようやく提案するといった流れが多くなったのだ。

チャーハンと焼きそばのセット弁当

中にはチャーハンと焼きそばのセット弁当までもある。

東北の大手スーパーの方に聞くとこのセットの販売状況が多いとのこと。

チャーハンのみでも「このところ売れています」と言われる。

メーカーにも聞いてみると、「ビールを飲みながら焼きそばをつまみで食べ、しめにチャーハンが全国的に売れているのですよ」

なるほど・・・

確かにおつまみ需要とのセットで相関関係が強い。

以前、私も売り場で見て、チャーハンが単体でこのように大量陳列している。

ヨークマルシェ 筆者撮影
ヨークマルシェ 筆者撮影

この他にセブンーイレブンでは一人用設定のちょっと斬新な形の容器で販売されている。

チャーハン 筆者撮影
チャーハン 筆者撮影

古いデーターではあるが2015年のTBS生活データーでは20代から50代の男性にはチャーハンは圧倒的な人気がある。

そして今や30%が単身者である男性がコンビニでは顧客全体の50%を既に獲得していることから、いかに客数を維持するかにかかってきており、ここに注目したのであろう。

ローソンでも炒飯が108円で販売しており、つまみにもなるおかずと〆のセットで購入して500円まででおさまるようになっている。

そしてチャーハンがよく販売されるようになった背景にはもう一つ、人手不足が挙げられる。

既に中華の揚げて混ぜることさえも厨房の人手不足から店舗内オペレーションが回らないといった声も現場から聞こえる。

冷凍のチャーハンの技術は進んでおり、顧客層、そして消費税のこともあって、できうる限り、値段を上げない範囲で商品を並べることに懸命であるのだ。

さて、すこーし脱線するがこれは関西ではよく見かける食べ方であり、さらに最近では大阪のスーパーを覗くとこのような売り方までも

阪急オアシス 298円 筆者撮影
阪急オアシス 298円 筆者撮影

「よく他社さんでチャーハンと焼きそばのセットがあるのですが、ここではこの売り方なのですか」と阪急オアシスの店員に聞くと、

阪急オアシスでは主食を焼きそばにしつつ、食べやすい形で販売しているとのこと。

三菱食品では、冷凍食品だと弁当のおかずが売り上げをけん引していたが、最近では炒飯、おにぎりが主流になってきているとのこと。

ちなみに外食で客数を維持しているところは中華系が強く、これが中食の商品の品揃えに大きく影響しているとか。

塩気の多く、はっきりした味付けがアルコールのあてにされるのだ。

最近のコンビニのしかも冷凍食品をみると、おのずとわかるような品揃えとなっている。

アルコールのあてにもおかずにもなり、小ポーションでチャーハンも同じように個食対応している。

そして消費税を考えると、あくまでワンコインで収まるような価格設定であるのだ。そして消費税導入となり、エンゲル係数も天井に近づきつつある今、ワンコイン500円までの価格設定は外せない。

ワンコイン。最近、とみに感じることは20年前から500円までというのが一つの価格設定基準であり、そこに変化はない。

フードジャーナリスト

神戸女学院大学音楽学部ピアノ科卒、同研究科修了。その後、演奏活動,並びに神戸女学院大学講師として10年間指導。料理コンクールに多数、入選・特選し、それを機に31歳の時、社会人1年生として、フリーで料理界に入る。スタート当初は社会経験がなかったこと、素人だったこともあり、なかなか仕事に繋がらなかった。その後、ようやく大手惣菜チェーン、スーパー、ファミリーレストランなどの商品開発を手掛け、現在、食品業界で各社、顧問契約を交わしている。執筆は、中食・外食専門雑誌の連載など多数。業界を超え、あらゆる角度から、足での情報、現場を知ることに心がけている。フードサービス学会、商品開発・管理学会会員

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