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そこには“驚愕の素顔”があった! トランプ氏が公務の大半を自由時間にあてるワケ

飯塚真紀子在米ジャーナリスト
大統領執務室には午前8時には在室しているスケジュールになっているが実際は...。(写真:ロイター/アフロ)

 トランプ氏が、昨年11月7日から2月1日までの約3ヶ月間の公務の60%を“エグゼクティブ・タイム”と呼ばれる自由時間に費やしていることが判明し、アメリカで問題となっている。アメリカのニュースサイト・アクシオスが入手したスケジュールでそのことが発覚したのだ。

 トランプ氏が多くの時間を“エグゼクティブ・タイム”にあてていることは、一年前も、同じアクシオスがトランプ氏の裏スケジュールをスクープしていたので、筆者もそれについて紹介した(詳しくは、トランプ大統領は毎日どう過ごしているのだろう? “裏スケジュール”で暴露された一日の過ごし方とは?をお読み下さい)。

 トランプ氏は、一年前のアクシオスのスクープで“エグゼクティブ・タイム”の存在が発覚して批判された後も、懲りることなく、その自由時間を謳歌し続けていたわけだ。

ノマドワークということなのか?

 トランプ氏は主に午前中の時間を“エグゼクティブ・タイム”にあてている。CBSニュースによると、トランプ氏は、スケジュール上は、午前8時には大統領執務室に在室することになってはいても、実際には在室しておらず、居住棟で、ケーブルニュースや新聞をチェックしてはツィートするような“エグゼクティブ・タイム”を過ごしている日が多いという。

 批判が噴出する中、トランプ氏に好意的な報道をしているフォックス・ニュースの司会者は、以下のようにトランプ氏を擁護している。

「トランプ氏は、議会のメンバーと打ち合わせをしたり、政策に対処したり、電話したりするなど、執務室でしているのと同じ仕事を居住棟でもしているんです。多くのアメリカ人は、どこにいても働けるようなライフスタイルを送ることができる世の中になったことを理解していると思う」

 トランプ氏は現代的な“ノマドワーカー”だといいたいのか。

トランプ氏は“ヒッキー”だった

 それにしても、なぜ、トランプ氏は多くの時間を居住棟での“エグゼクティブ・タイム”にあてているのか? その理由について、思い当たる節があった。それは、ワシントン・ポスト紙のシニアエディターで、『トランプ』の著者でもあるマーク・フィッシャー氏が筆者にしてくれたエピソードだ。フィッシャー氏は、トランプ氏の“驚愕の素顔”について、こう話したのだ。

「本当のトランプ氏は、“トランプ”というブランドを代表しているトランプ氏とは全く違うのです。トランプ氏を知る人たちに話を聞いてわかったことですが、トランプ氏は常に一人でいたいタイプの人間なんです。そのため、とても孤立した生活を送ってきました。70年代〜90年代に、トランプ氏と交流があった女性たちによると、トランプ氏はテレビ収録の仕事を終えると、誰とも交流することなく、さっさと一人、家に戻ってテレビを見るような生活を送っていたそうです。一貫して、家に一人でいたがったというのです。

 また、基金集めのパーティーやイベントに出席した時も、アシスタントに『すぐに帰宅するには、いくらの小切手を書けばいいんだ?』と聞き、基金用の小切手を渡すと、帰宅していたそうです。トランプ氏は、人々が抱いているイメージとは裏腹、一人でいたがるタイプの人間なんです」

 常に多くの人々に囲まれ、華やかな日常を送っているかに見えた実業家時代のトランプ氏が、実は“ヒッキー“だったとは驚きだ。

 一人でいたい。そんな“本当の顔”を持つトランプ氏であるから、大統領となった今も、一人テレビを見てツィートしたり、一人居住棟にこもって電話会議をしたりする“エグゼクティブ・タイム”を愛しているのかもしれない。

 そういえば、メラニア夫人とは寝室が別という報道もあった。

 しかし、大統領の職務は実業家のそれとは全く異なる。ヒッキーのような“エグゼクティブ・タイム”が長いのは問題ではないか。

 批判を受けて、サンダース報道官は「トランプ氏は成果をあげているではないか」と反論しているが、結果を出せばいいという話ではないだろう。それに、“国境の壁”のように、トランプ氏が欲する結果を出すことができていない公約もある。トランプ氏の“一人好き”が、“国境の壁”以前に、ホワイトハウスの側近たちとの間に“乗り越えられない壁”を作ってしまっているからではないか? 

 孤立した生活を愛するというトランプ氏の本性が、ひいては、彼自身を政権内での孤立にも導き、アメリカをも孤立主義へと向かわせているのではないか? そう考えるのは行き過ぎだろうか?

在米ジャーナリスト

大分県生まれ。早稲田大学卒業。出版社にて編集記者を務めた後、渡米。ロサンゼルスを拠点に、政治、経済、社会、トレンドなどをテーマに、様々なメディアに寄稿している。ノーム・チョムスキー、ロバート・シラー、ジェームズ・ワトソン、ジャレド・ダイアモンド、エズラ・ヴォーゲル、ジム・ロジャーズなど多数の知識人にインタビュー。著書に『9・11の標的をつくった男 天才と差別ー建築家ミノル・ヤマサキの生涯』(講談社刊)、『そしてぼくは銃口を向けた」』、『銃弾の向こう側』、『ある日本人ゲイの告白』(草思社刊)、訳書に『封印された「放射能」の恐怖 フクシマ事故で何人がガンになるのか』(講談社 )がある。

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