「人生100年時代が来た」と言われるようになりましたが、多くの人が自分のことだと実感するまでには至っていません。

数年前まで人生80年と言われていただけに一気に100歳と言われてもピンとこないのが現実です。しかし、年末に届く喪中はがきを見ると90歳後半から100歳以上で亡くなられる人が多いことに気づきます。

100年前の平均寿命は40歳前半でしたが、その時代に生まれた人が100歳を迎えています。現在、100歳以上の人口は8万450人(厚生労働省2020年9月15日発表)。平均寿命が100歳を超える日が近い将来訪れるのではないでしょうか。

長生きリスクとは

長生きできることは嬉しいことです。不老不死を求めて歴史上の人物は数知れず、少しでも長生きしたいと考えるのは当然です。一方で、高齢になれば病気やケガ、介護のリスクも高まる中で、生活費がいつ足りなくなるのかと不安を感じる方もいるでしょう。

「病気、ケガ、介護」リスク

「病気、ケガ、介護」リスクは、予期せぬ事態を想定した事前の対策が必要です。健康寿命(厚生労働省2016年)から考えると男性は72.14歳、女性は74.79歳であるため、長い間病院でお世話になる可能性が高いといえます。

健康保険や介護保険、障害年金などの公的な保障制度で補うことができればいいのですが、不足するのであれば自己負担となり、手持ちの資金や加入している民間の医療や介護保険でカバーしなければなりません。

「生活費リスク」

「生活費」リスクは、日常生活をおくる上で最低限必要とされる金額が、生存中ずっと安定して確保されなければなりません。

公的年金で確保できればいいですが、総務省が発表した「2019年家計調査(家計収支編)」によれば、高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上)での可処分所得は206,678円なのに対して消費支出は239,947円で、毎月33,269円足りない計算となります。

また、高齢単身無職世帯(60歳以上)では、可処分所得112,649円に対して消費支出は139,739円となり、こちらも毎月27,090円不足します。

ただし、これらはあくまでデータに基づいて算出された平均の金額です。

「生きていく」ということはこんな単純なものではありません。一人一人の顔が違うように「生き方」すなわち「お金の使い方」も千差万別です。

「100歳の自分」を想像しよう

老後に必要となる金額を知るためには想像することから始めるのが一番だと思います。

まずは100歳の自分を想像してみましょう。その上でどんな1日を送っていたいのか、24時間時計を描いてみましょう。

朝起きてから寝るまでどのような時間の使い方をしたいですか?

元気で充実した生活を送っていたいと考えるはずです。そんな24時間(1日)を過ごすためにはいくら必要でしょうか?

毎日同じ時間の使い方をするわけではないので、次は1週間分(7日分)の24時間時計を描いてください。7つ描くことができれば「100歳の1週間の時間割」が完成します。

「100歳家計簿」から見えてくるもの

この時間割から1ヶ月分の生活費を見積もっていけば「100歳の家計簿」が完成します。見積もりに欠かせないのは現状の家計簿を参考に100歳の生活を想像して金額を導き出すことです。

決して、「100歳の家計簿」の金額は正確なものではありませんが、老後に必要な生活費のイメージをつかむことができるはずです。

その上で、将来受け取れる年金の見込み額をねんきん定期便で確認してみましょう。

1ヶ月分の年金より「100歳家計簿」の方が 少なければ、公的年金だけで生活費が賄えることになります。

逆に1ヶ月分の年金より「100歳家計簿」の方が多ければ、年金だけでは生活に支障が出てしまいます。その場合、少しでもその差額を埋めるための事前の対策が必要となります。

ただし、想像して描いた100歳の24時間時計を変更すれば「100歳家計簿」の金額も変わっていきます。

例えば、2日に1回の外食を3日に1回にしたり、習い事の数を減らしたり、贅沢なことを見直したりすることで「100歳家計簿」の金額と年金との差を縮められれば将来の不安も和らぐのではないでしょうか。

今後、社会はどのように変わっていくのかわかりませんが、長生きすることで生じる「病気、ケガ、介護」そして、「生活費」のリスクを少しでも回避するためには、自分らしい生き方を想像し、自分に必要な金額を導き出すことでその対処法は見えてくるはずです。

長い人生を安心して暮らすためにも少しでも早いうちから「100歳家計簿」に取り組みましょう。