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元全日本バレーのエース・越川優がインドアに復帰。電撃入団決めたヴォレアス北海道とは?

市川忍スポーツライター
VOREAS HOKKAIDO 提供

インドアとビーチの二刀流目指す

8月1日、元全日本男子バレーボールのエースで、ビーチバレーボールに転向し東京オリンピックを目指していた越川優が、3年ぶりにインドアに復帰することを発表した。男子2部に所属するヴォレアス北海道と契約を結び、今後はインドアとビーチの二刀流で活動を続ける。

8月3日の記者会見で越川はこう語った。

「今まで東京オリンピックを目指してビーチバレーボールを続けてきましたが、今回の新型コロナウイルス感染症の影響を受け、この3か月で私のバレーボール人生が一気に変わることになりました。36歳という年齢になり、バレーボール選手としてだけでなくバレーボール人としてやるべきこと、自分にしかできないことを探していたなかで、ヴォレアス北海道というチームとの出会いがあり、私の新たなバレーボール人生を進むべきタイミングが来たと思っています」

コロナ禍によりさまざまな競技の国際大会、国内大会が中止に追い込まれているが、ビーチバレーボールも例外ではない。ワールドツアーを転戦することでポイントを稼ぎ、世界ランキングを上げていくビーチバレーボールにとって、海外へ行けないことの影響は極めて大きかった。インドアとの両立により、越川は競技を続けるための環境を整えたのではないかと考えられる。

越川は続ける。

「うまく越川を料理していただき、私の持っている力を利用して、さらにこのバレーボール界を発展させていけるように頑張っていきます。そしてVリーグ1部昇格を果たすために自分の力を発揮していきます」

ヴォレアス北海道の降旗雄平ゼネラルマネジャーは会見で語った。

「さまざまな華々しい成績はもちろん、メンタルの面でもヴォレアス北海道の若手選手にいい影響を与えてくれる存在であると思っています。新しい選手が入ることでチームはどんどん進化します。今シーズンの目標であるV2優勝、そして入替戦での完全勝利を目指していますのでみなさま期待していてください」

ヴォレアス北海道ってどんなチーム?

では越川が選んだヴォレアス北海道とはどういったチームなのか。

ヴォレアス北海道は2016年に、北海道を拠点とする初めてのプロバレーボールチームとして誕生した。2017/2018年、Vリーグの3部に参戦。そこで初参入初優勝を果たし、翌年は2部リーグに昇格。2019/2020年シーズンも圧倒的な強さでチャレンジマッチ(入れ替え戦)への挑戦権を得ていたが、今年2月、新型コロナウイルス感染症拡大のため、リーグ戦の2試合とチャレンジマッチが中止に追い込まれる事態となった。延期を求めて上訴したが、その願いは届かずに2020年10月に開幕する2020/2021年シーズンも2部リーグで戦うことが決まっている。

「圧倒的な強さで」と表現したが、リーグ打ち切りとなった時点でのヴォレアスの成績は19勝1敗、勝ち点55の2位。最終節の2戦で逆転1位をねらっていた。ただしヴォレアスの強さを「圧倒的」と表現する理由は、その戦績だけではない。

各国でさまざまなチームを率いた経験を持つエド・クライン監督が作り上げようとしているチームの戦略は、ワールドスタンダードである。セッター以外の4名のアタッカーが一斉に攻撃に入るシンクロ攻撃や、bickと呼ばれるセンターからのファーストテンポのバックアタックなど、日本代表や1部リーグのチームが用いている戦術で2部リーグを戦っている。

エド監督は2019/2020シーズンの最中、こうきっぱりと語っている。

「日本に来たのはディビジョン2にいるためではありません。もちろん日本で最高のチームと闘いたいですし、1部への昇格は大きな目標です。今後はV2での優勝はもちろん、1部でも戦いきれるチーム作りをしていきたいと思っています」

選手も元全日本代表の古田史郎、田城貴之など1部の経験者が在籍。長身セッターの辰巳遼や、アンダーカテゴリーの全日本代表に選ばれた経験のある佐々木博秋など、注目の選手が顔をそろえている。

越川の加入でV1を目指すと報道するメディアもあるが、ヴォレアスはすでに2部のチームの中では頭ひとつ抜けている。課題があるとすれば、レギュラーの選手が出場しているときと、そうではないときの安定感に大きな差がある部分だ。主将の古田が以前、語っていた。

「現在のヴォレアスは、いいときはいいけれど、その力を安定して発揮できないところですね。もっと安定感のあるプレーをしなければ1部との差は埋まりません」

古田が分析した、その「安定感の差」を埋めるために、越川の経験値は大きな戦力となるだろう。

開拓者の集団に心強い戦力が加わった。近日中に発表されるであろうV.LEAGUE・ディビジョン2の日程に注目だ。

スポーツライター

現在、Number Webにて埼玉西武ライオンズを中心とした野球関連、バレーボールのコラムを執筆中。「Number」「埼玉西武ライオンズ公式ファンブック」などでも取材&執筆を手掛ける。2008年の男子バレーボールチーム16年ぶり五輪出場を追った「復活~全日本男子バレーボールチームの挑戦」(角川書店)がある。Yahoo!公式コメンテーター

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