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合計特殊出生率2.81?!

一井暁子一般社団法人つながる地域づくり研究所 代表理事
合計特殊出生率2.81を発表する奈義町長

岡山県奈義町が、一人の女性が一生の間に生む子どもの数(合計特殊出生率)が、2.81になった!と発表しました(2014年速報値)。

「2.81」は、どれほどスゴイ数値なのでしょうか。 

なんと、厚生労働省が発表している、全国の市町村の合計特殊出生率ランキング第1位が、2.81。鹿児島県伊仙町という、徳之島にある町です。

これは5年間(2008~2012年)の平均値ではありますが、並んでいます。

ランキング第2位以下は、沖縄県久米島町(2.31)、沖縄県宮古島市(2.27)、沖縄県宜野座村(2.20)、長崎県対馬市(2.18)・・・と沖縄・九州の自治体が続き、離島も多く見られます。

昨年の全国の合計特殊出生率は1.42で、9年ぶりに前年より下がりました。

「2.81」、2倍近いですね。

都道府県別では、沖縄県(1.86)、宮崎県(1.69)、島根県(1.66)が上位で、最下位は東京都(1.15)でした。

日本の合計特殊出生率は、戦後直後の第1次ベビーブーム期には4.3を超えていましたが、1950年以降、急激に下がり、ほぼ2.1台が続きました。第2次ベビーブームが終わった1975年に2.0を割り込み、その後は低下傾向です。

人口を維持するためには、2.07が必要だといわれ、合計特殊出生率の低迷は、少子高齢化、そして人口減少という大問題を引き起こしているのです。

しかし、2.07より高い市町村は、全国で、たった16しかありません。

このままでは日本の人口は減り続け、2060年には約8700万人になってしまう、と推計されています。

合計特殊出生率が上がる、つまり、一人の女性が生む子どもの数を増やすには、どうしたらいいのでしょうか。

奈義町では、2012年に「子育て応援宣言」を行い、出産祝い金(第3子以降:20~40万円)や保育料軽減、病児・病後児保育、子育て支援施設の整備、高校生までの医療費無料化、不妊・不育治療助成など、様々な支援策に取り組んでいます。

今後は、子育て支援に加え、特色ある教育にも力を入れていくそうです。

そういった施策の、何が効果があるのか、本当にその影響なのか。子育て世代のヒアリングや意識調査なども行って、検証していくことも、トップランナーとしての責務ではないでしょうか。

そして、検証された施策が全国に広がって、人口6000人の小さな町の挑戦から、日本の未来が変われば!と思います。

一般社団法人つながる地域づくり研究所 代表理事

1970年生まれ。東京大学法学部中退。地中美術館(香川県直島)、岡山県議会議員などを経て、2013年、ローカル・シンクタンク「一般社団法人つながる地域づくり研究所」(岡山県岡山市)を設立。自治体と民間と住民をつなぎ、地方創生やまちづくりの現場を伴走支援する。「官民連携まちづくり推進協議会」「文化と教育の先端自治体連合」など、共通するテーマに取り組む、全国の自治体団体の事務局も務める。地域や自治体、企業の声を聞き、「しごとコンビニ」や「放課後企業クラブ」などの新たなしくみを生み出している。

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