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生後9ヶ月の赤ん坊も拉致された その様子はハマスが公開した映像に収められていた

堀潤ジャーナリスト

イスラム組織ハマスによる拉致襲撃から2週間以上が経過した。イスラエル軍によるガザへの報復攻撃は続き、ガザでの死者は4300人を超えた。地上戦に向けた準備も整えられており、イスラエル軍トップのハレビ参謀総長は大規模な軍事作戦を示唆。今後もさらに死傷者が増えると見られる。

一方、7日以降の一連の衝突でイスラエル側では少なくとも1400人が死亡。外国人を含む210人が人質に取られている。ハマスは停戦に向けた交渉カードとして、人質を「人間の盾」として使っている。

こうした中、8bitNewsでは、イスラエルと日本のダブル、ミエル・イチハラさんと共に、家族や友人を拉致された人々へのインタビューを続けている。

今回は4歳と生後9ヶ月の子どもを含む、弟夫婦と義理の両親が拉致されたオフリー・ビバスさんのインタビューをお伝えする。

堀・ミエル)

現状、今まで起きたことについて教えて下さい。

オフリ)

わたしの名前はオフリです。 ヤルデン・ビバスの妹です。 ヤルデンは、妻のシリと、2歳の息子達、4歳のアリエルと9ヶ月のクフィルと拉致されました。

8bitNewsより
8bitNewsより

ビバス一家の他、同じキブツ、ニルオズに住むシリの両親マルギットとヨシ、シルバーマンもガザへ拉致されてしまいました。

土曜日の朝6時半にヤルデンから全員でシェルターに避難するとメッセージがありました。

彼は私たちに『あぁ、ほらまた始まったよ』と書いていました。 ガザ地区近辺に住んでいる過去4年で慣れてしまったミサイル攻撃の事を指してました。

ヤルデンさん夫妻 8bitNewsより
ヤルデンさん夫妻 8bitNewsより

しかし、私達も彼らも今回は今までの攻撃とまったくの別物であり、「キブツにテロリストが侵入して来た」と知りました。

『とても怖い、恐怖で死にそう、本当に最後かもしれない』と大きな恐怖と生命の危機を感じているとメッセージが送られてきました。

『外では強い銃撃音がする、僕は拳銃を持ってるけど、彼等は自動火器をもってる』とのメッセージが送られてきました。

ヤルデンさんの自宅に侵入する戦闘員 8bitNewsより
ヤルデンさんの自宅に侵入する戦闘員 8bitNewsより

Aヤルデンはテロリストに対抗するチャンスがない事をさとり、『家の外からすさまじい銃撃音と、 アラビア語で怒鳴るテロリストが聞こえてくる』とメッセージが送られて来ました。

『凄くこわい、恐怖に震えている』と彼はいい、私は彼らに静かし、落ち着くようにと伝えまし たが、状況が理解できない4歳児と9ヶ月の赤ん坊がいるなか、沈黙を貫くのは非常に困難だと彼は いいました。

朝9時半に、彼は私と私達の両親へ『愛してる』とメッセージを送り、 9時43分に彼から『侵入された(テロリストに)』とメッセージが送られ、以来彼らとの連絡は途絶え、彼らに何が起こったのか、何もわかりません。

2時間後に写真が、そのさらに1時間後に子供たちとシリがガザ地区に拉致される様子を映した動画を 見つけました。

拉致されるシリさんと子どもたち ハマスが公開 8bitNewsより
拉致されるシリさんと子どもたち ハマスが公開 8bitNewsより

その写真と動画に弟のヤルデンの姿はなく、翌日の火曜日の朝までなんの情報も掴めませんでし た。

拉致翌日の火曜日はヤルデンの誕生日で、監禁された状態で過ごした誕生日になりました。

その日初めてヤルデンの写真が届き、テロリスト達に誘拐されている様子を写した写真がみつかりました。

最初はバイク、その後はピックアップトラックかトラックの様なトランクに乗せられ、彼は非常に恐がっているように見えました。彼は頭に負傷し、頭から出血があり、テロリストが片手で彼の首を絞め、もう一方の手でハンマーをもっているのがみえました。 テロリストがハンマーで頭を殴ったのか、何が何が起きたのか正確にはわかりません。

頭から血を流すヤルデンさん 8bitNewsより
頭から血を流すヤルデンさん 8bitNewsより

火曜日のあの写真以降、彼らの生存状況は得られておらず、 どこで、どのような状況下で監禁されているのかもわかりません。

シリは小さい子友達2人と拉致されていて、そもそも食事が出されているのかもわかりませんが、クフィルは生後9時ヶ月でまだミルクが必要で固形がたべれませんし、アリエルは元々小柄で年齢の割には小さく体重が増えにくい子なので、平均体重以下の子供が残酷な環境下、一週間も食事を摂っていないと考えると。。。

もう一週間以上経ちますが、彼らが今どうしているかわかりません。

AP通信が伝えているのを発見 8bitNewsより
AP通信が伝えているのを発見 8bitNewsより

想定ですが、ヤルデンと、シラと子供達は別居されられ監禁されていると考えています。 ヤルデンは負傷の治療を受けれたのか、負傷がどれほど深刻なのか、わかりませんし子供達と妻がどうなったのかわからず、切り離されているヤルデンはとても辛く、怖く、心配で狂い苦しんでるでしょう。

何もわからないまま、私たちは心配しながら待つばかりです。とても怖いです。

恐怖で、寝れらず、食べれず、ただただ生きているサインを待つ日々です。

これが私達の現状です。

8bitNewsより
8bitNewsより

堀・ミエル)

日本政府、日本国民に伝えたいメッセージはありますか?

オフリ)

私が皆さんに伝えたい事は、私達の家族、その他拉致被害者の解放し、帰国されるために、全世 界が迅速に介入しなければならない国際問題であるという事です。

ハマスはある種の政治運動でもなく、政党でもない、猛烈に恐しい事を犯したテロ組織であると 世界が理解しないといけないのです。

イスラエルで起きたことは、世界のどこでも起こり得るとことだと、世界は理解する必要があり ます。そして『ハマス』というテロ組織に終止符を打たなければなりません。

ただ、その前に最も優先的に国際社会の介入、そして拉致された民間人を解放しないといけない

のです。

8bitNewsより
8bitNewsより

普通に生活をしていた民間人の、子供・幼児、女性、高齢者、障害者。

私達と同じようにただただ普通に生活していただけの民間人たちが、ある日拉致され、拷問を受け、レイプされ、国際社会は直ちに介入し人質解放と帰国のため、全力を尽くさなければなりません。 何をされているか、本当にわからないんです。

世界が介入しないといけないんです、、

もう、これを終わりにして、解放してあげないと行けない んです。

堀・ミエル)

ご家族のお人柄などを教えて頂けますか?

オフリ)

私の弟は、写真で見てわかるように堅いのいい大きく強そうな男性ですが、内心はとても繊細で 優しい思いやり溢れる人です。

あぁ見えてとても心配性でずっと子供の心配をしていて、息子のアリエルは赤毛の元気一杯な男の子で、ジャンプしたり、登ったり、走ったりするのが大好きな子です。

8bitNewsより
8bitNewsより

ヤルデンはそれを見てはアリエルを追いかけて『危ないよ!こけるよ、怪我するよ、それは危ないから気をつけて』とずっと走り回る心配性な父親なんです。

クフィルはまだ生後9ヶ月の赤ちゃんです。 にっこり笑って愛嬌振り撒く、よく笑い人見知りしない、手を差し伸べればすぐに喜んで抱き付 いてくる人たらしな子です。 まだ最近離乳食を始めたばかりで、最近ハイハイを始めたばかりです。

8bitNewsより
8bitNewsより

シリは家族の中心で家族の代表であり、家族と子供達のために惜しまず尽くす母親です。子供達のためにはなんでもするような母、子供達のため、家族ため、みんなをより良くする事を常に考えていた母です。

本当に、ただただ人生を生きたかった普通の家族です。

彼らは、ミサイル攻撃のストレスと不安を抱えたこの生活にはもはや耐えられず、あの地域を離れたいと考えていたんです。

私と私の家族も1ヶ月前まで近くのキブツに住んでいて、そこにもテロリスト侵入がありました。 イスラエル北部へ引っ越してきましたが、彼らも北部へ引っ越したいと思っていました。

アリエルと私の娘は同い年で大親友なのです。

昨日、娘が旦那の携帯で遊んでいた時に、アリエルとクフィルの写真が出てきたんです。

それを見た娘は大興奮し、『パパ!ママ!見つけたよ!ルリを見つけたよ!(ルリ:アリエルのあだ名)ルリを見つけたよ!言ったでしょ、探すの手伝うって!私が助けてあげるって言ったでしょ!』と大喜びで言ったんです。

その言葉で現実が突き刺さり、また心が折れました。

拉致される前の木曜日、アリエルは母親のシリに『ママ、もうキブツを出たい、僕トト(私の娘のあだ名)の近くに住みたいよ』と言ったんです。

どうすれば子供たちにより良い未来とより良い生活環境を与えれるのかを常に考え、それが彼らの最大の関心事でした。

家族で犬を飼っており、弟は本当に動物愛が強い人で、とても愛されている犬でした。 この愛犬は撃たれていて、死体として家で見つかりました。

8bitNewsより
8bitNewsより

多くの善良な人達の助けもあり、なんとか死体を回収し愛犬を母の家の庭に埋葬しました。

本当にごく普通の家族だったんです。 普通の日常があり、幼稚園、仕事、毎日を生きるごく普通の家族だったんですが、突然全てが止まり、私たちはずっと彼らに何が起きたのか、わからないままです。

堀・ミエル)

あなたが見つけたビデオについて教えて頂けますか?

オフリ)

弟から最後に連絡がきた2、3時間後で、生きているのか死んでいるのかわからない大きな不安 を感じていた中、この動画は少なくとも彼らが生きていることを示してくれました。

ただ動画に映っていた、これから何されるのかわからない、恐怖に震えたシリの顔が頭に焼き付いて抜けないんです。

動画や、その後に届いた弟の写真、全ての画がずっと目の前にあるかのようで、頭から離れません。

彼らの顔を、目を見ればどれだけの恐怖心を感じているのかが分かります。

拉致される両親 8bitNewsより
拉致される両親 8bitNewsより

大量の武器を持った人がたちに囲まれ、叫ばれ、その人らに拉致され、知らないところへ連れて行かれ、連れていかれる途中で、他にどんな恐怖や残酷を見たのか、経験したのか、そして今どれだけ恐怖に震えながら日々を送っているのか何もわかりません。

なので、はい、確かに彼らは生きてガザ地区へ拉致されました。 ですがもうあの動画から1週間以上がたったので生きているのかもわかりません。

そして土曜日、当日のテロ攻撃の痕跡や死体の状態を見ると、落ち着けないですし、いま彼がどんな拷問を受けているのか、、、と想像が膨らんでしまうばかりです。

なのでこの動画はある種の希望を与えてくれましたが、それからさらに長い時間がたち、不安はさらに強まるばかりです。

堀・ミエル)

複雑な感情的だとおもいますが、ご家族への安全にも関わるイスラエル軍のガザ地上戦についてどうお考えでしょうか?

8bitNewsより
8bitNewsより

オフリ)

現在イスラエル国家が、国と全国民のため全力を尽くしてくれてると信じるしかできません。 イスラエルは国としてひどく負傷し、出血しており、深いトラウマ状態です。 戦争が終わるまでには全イスラエル国民が少なくとも1人は家族・親族・友人を失い、 死んだ、殺害された、拉致された人を個人的に知らない人はいないでしょう。

これ以上の犠牲者、無地の民間人被害者を増やさずに、直ちに終わることを願うばかりです。

ですが一刻も早くテロ組織ハマスに終止符を打つをうたなければなりません。今日はイスラエル、明日はどこでテロを犯すか計り知れません。

ISが世界中に行き着いたように、ハマスも同じく世界中へたどり着きます。 彼らが持っている唯一の目的は『殺す』ことです。

8bitNewsより
8bitNewsより

堀・ミエル)

最後に国連や日本政府へのメッセージを下さい。

オフリ)

国際社会に対して、ハマスの活動を停止させるための支援を求めます。テロ組織のハマスは両側の人を苦しめるばかりです。

現実的にまず第一段階目としては、赤十字、あるいはその他の人道団体の訪問・面談と拉致被害 者の生存確認を要求します。

面談し、薬や食料等の必要な人道支援をしてもらう必要があります。

先ほど話したクフィルは生後9ヶ月のまだミルクが必要な赤ん坊ですし、シリの母はパーキンソ ン病を患っているため日常的に薬が必要です。

これが私の今の唯一の希望です。

全世界に拉致被害者が直ちに健康状態で解放されるよう、に全力を尽くしてもらうことです。

ジャーナリスト

NPO法人8bitNews代表理事/株式会社GARDEN代表。2001年NHK入局。「ニュースウォッチ9」リポーター、「Bizスポ」キャスター。2012年、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校で客員研究員。2013年、NHKを退局しNPO法人「8bitNews」代表に。2016年(株)GARDEN設立。現在、TOKYO MX「堀潤モーニングFLAG」キャスター、Amazon Music「JAM THE WORLD」、ABEMA「AbemaPrime」コメンテーター。2019年4月より早稲田大学グローバル科学知融合研究所招聘研究員。2020年3月映画「わたしは分断を許さない」公開。

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