浸水家屋、最大の敵は「カビ」 報道少ない岡山県高梁市 時間との戦い

高梁市広瀬の浸水家屋 泥かきなどが終わったが壁や柱などが次々とカビに覆われていく

西日本豪雨の被害は広範囲に及び、未だ全容解明には至っていません。

私は、発災当初から自分のLINEのIDをSNSなどで公開し、被災地域で発信の支援が必要な人は連絡を下さいと呼びかけてきました。「うちの地域を取材して欲しい、発信して皆さんに状況を知らせて欲しい」という依頼が愛媛、広島、岡山など各県の方々から今も寄せられ続けています。連絡を下さった方々の地域を一つ一つ訪ねながら発信を続けています。まだまだ支援を必要としている地域ばかりです。

今日、お伝えするのは岡山県高梁市の浸水家屋が直面するあらたな課題です。現場の動画ルポを記事の終わりに貼っておきますのでぜひご覧下さい。

岡山県高梁市は人口約3万人の山あいの町
岡山県高梁市は人口約3万人の山あいの町

■4メートル以上の水に襲われた県北の町、高梁市

「報道をしてほしい」という地元の方からの連絡を受け駆けつけた、岡山県北部の山あいの町、高梁市。

町の中心部を一級河川の高梁川が流れています。岡山県によりますと、市内に設置された高梁川広瀬観測所では今月6日午後10時に8メートルに設定された氾濫危険水位を4.89メートル上回り、12.89メートルの水位を記録。その後、計測不能となり水が住宅地に溢れて洪水を引き起こしました。

高梁川の堤防のすぐそばに住む男性は「雨が激しく降りはじめてから1時間もしないうちに地面から1メートル位水が上がってきた。3時間しないうちに家の2階の方まで。あっという間だった。」と当時を振り返ります。

男性が働いている運送会社では20台あったダンプカーのうち14台が水に浸かり使えなくなりました。生業をどう再建すればいいのか、まだ先行きを見通すことができていません。

男性はじっと川を見つめていた
男性はじっと川を見つめていた

下流域では高梁川水系の各河川が決壊。倉敷市真備町をはじめ、矢掛町や総社市、岡山市などで浸水の被害をもたらしました。本流の水量が激増したために支流が合流できずに決壊するバックウォーター現象によるものだという専門家の指摘もありました。

今回の豪雨災害で高梁市では、床上浸水350棟、床下浸水190棟などの被害が出ています。特に被害が深刻なJR伯備線・備中広瀬駅前は、高さ4メートルの泥水に襲われました。伯備線の復旧は8月中頃までかかるといいます。

■片付けが進みボランティアの受付は縮小、しかし難敵「カビ」との格闘が始まる

災害ボランティアセンターを運営する地元の社会福祉協議会は「多くの皆様のご協力により、家屋内からの土泥搬出、浸水した家財道具の搬出等が進んでいます。ご支援をありがとうございました」とアナウンスし、今月24日からボランティアの受け入れは岡山県内在住の人に限るとしています。

しかし、現場では新たな難敵に直面しています。それは「カビ」です。

JR伯備線の備中広瀬駅は駅舎全体が水没した
JR伯備線の備中広瀬駅は駅舎全体が水没した

駅舎全体が水没した、JR伯備線の備中広瀬駅前の住宅街は高さ3メートルから4メートルを超える高さの泥水に襲われました。

69歳の男性が暮らす木造住宅は先週半ばにようやく泥のかき出しや使えなくなった家具の運び出しなどが一段落しました。床下の泥などを早く洗い出し、生活再建につなげたいところですが、今、壁や柱、そして天井の梁などにびっしりとカビが生えはじめています。家主の男性は「高圧洗浄機などで洗い流していければと思うのですが、泥の掻''''''き出しなどが終わらない限りは手もつけられないので、どうしようかと思っています」と語り、壁を見つめていました。

定年後、大阪と故郷である高梁市の実家とで二拠点生活を続ける男性。畑仕事も楽しみの一つだった。
定年後、大阪と故郷である高梁市の実家とで二拠点生活を続ける男性。畑仕事も楽しみの一つだった。
壁や梁にびっしりとカビがはえはじめている。
壁や梁にびっしりとカビがはえはじめている。

高梁市役所では、地域局や市民センターなどを窓口に希望者に対して消毒液を配布しています。床や壁面の拭き取りの他、手洗いや冷蔵庫の中の消毒などに使えると言います。浸水した箇所はしっかりと乾かしてから拭き取って欲しいと呼びかけていますが、住宅の室内全体を覆ってしまったカビを根絶できるかどうかは限界があるといいます。担当職員は「住宅再建を目指す場合、カビへの対処は専門業者に相談してもらえたら」と語っています。浸水家屋が直面する課題への対処はまだまだこれからです。

高梁市では住民の生活再建に向けた義援金を受け付けています。地元の方にお話を伺って回ると、被災以降思った以上に手元の現金が出ていってしまうことに頭を悩ませていました。

みなさんからの支援が届くことを願うばかりです。