スタートアップの 祭典となれるか?RISING EXPO

RISING EXPO - スタートアップとVCの出会いの場
RISING EXPO - スタートアップとVCの出会いの場

スタートアップとは、創業2-3年までのベンチャー企業だ。ベンチャーというからには、成長性の高い市場において数年以内のIPOを目指す、もしくはM&Aによるイグジットを目指すという出口戦略を持っている企業に限られる。つまり、スタートアップの定義とは、IPOかM&Aなどの出口戦略に基づいて資金を調達し、急成長を目指す新興企業、である。

最近、日本国内でも、若手起業家に対するインキュベーションを専門的に行うベンチャーキャピタル(VC)が増えている。米シリコンバレーの有力ベンチャーキャピタル、Y Combinatorの躍進を真似てのことだろうが、多くのスタートアップに日本円で200−500万円程度の出資を行い、大型投資ラウンドの実行までの後押しをする。その結果、一気に起業を目指す若者が増えているのは、決して気のせいではないようだ。

しかし逆に、創業して数年経ち、より大きな成長を目指して資金調達が必要になっているベンチャーにとってこの流行は痛し痒しで、数千万~数億円単位の投資に応じるVCが少なくなっている。こうした状況は、資金需要を満たせない中堅ベンチャーを破綻に追い込むことになりかねない。つまり、現在の国内のVC投資は、Y Combinator型の創業時の少額出資か(アーリーステージ)、IPOなどの出口が見えたベンチャーへの最後の大型投資(レイターステージ)に二分されている(ある意味中抜きされている)のが実情なのである。

こうした背景の中で、サイバーエージェントベンチャーズ(以下CAV)が、1億円以上のファイナンスを狙うベンチャーと、資金力のあるVCとのマッチングの場を提供しようと、新たなイベントを開催しようとしている。

それがRISING EXPO 2012 FALLだ。

CAVは先述のY Combinatorのクローンの一つだ、というのが僕の認識だが、今回1億円以上の大型増資を狙うスタートアップにターゲットを絞って、チャンスメイキングしようとしている。VCから資金を得るためには出口戦略(主にIPOかM&Aによって、資金調達に協力してくれた投資家や社員に報いるための戦略)が必要だ。そして、その出口戦略の妥当性を証明するためのロジックが重要となる。

ビジネスモデルを練り上げる上で、最も必要なことはエッジの効いたアイデアだ。できるだけ多くの人々にアピールできる、優れた事業アイデアがなければならない。そして、本当に優れた事業アイデアやビジネスモデルであれば、企画やコンセプトの特徴を一言で簡単に説明できるはずであり、これをハイコンセプトと言う。

例えば日本人が米国人にトヨタを説明するなら、「和製ゼネラルモーターズ(GM)」だ。倖田來未なら「和製レディーガガ」。

このように、ハイコンセプトは、多くの人に受け入れられるようにシンプルなものでなければならない。Amazonは「世界最大のオンライン書店」だし、Macは「普通の人のためのコンピューター」。Facebookであれば、「大学生のための”排他的”ソーシャルネットワーク」だし、ウィンドウズ95は「マイクロソフト版Mac」、Google+は「Facebookキラー」となる。

自分たちの製品やサービスに、売りやすく受け入れやすいハイコンセプトを持たせることができれば、開発者のモチベーションも高まるし、プレスやVCからの受けも良くなる。というより、ハイコンセプトはむしろVCへの売り込みのため、と捉えた方がいいだろう。

今回のRISING EXPOでは、選抜されたスタートアップに対して、10分程度のプレゼンの機会が与えられるという。登壇者たちは、ハイコンセプトをいかに上手に説明するかに腐心してるだろう。CAVが望むような結果(つまり登壇するスタートアップが大型増資を成功させること)につながるかどうかは分からないが、少額投資を大量に張るというスタイルの流行の陰に泣く、金さえあれば成長可能なスタートアップたちの夢をつなぐイベントになることを強く願っている。