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台風12号+秋雨前線 東北地方も大雨のおそれ

平野貴久気象解説者/気象予報士/防災士/ウェザーマップ所属
台風12号と秋雨前線の雨雲(ウェザーマップ提供)

最接近にこだわりすぎない

 台風12号が日本の南の海上を北上しています。昨日よりも東寄りのコースをとる予想になり、現状、関東から東北地方にかけて、より影響が大きくなる予想に変わっています。

 台風が接近するとよく、「上陸するのか」「最接近はいつなのか」ということを気にされる方は多いと思います。確かに、近づけば近づくほど影響は大きくなりますし、それが気になるのは自然なことだと思います。ただ、上陸や最接近にこだわりすぎるのも危険なことがあります。

接近前から大雨のおそれ

 進路予想を見ると、東北地方に最も接近するのは、25日(金)であるといえます。ただ、今回は台風単独の接近ではなく、北側に秋雨前線が停滞しています。台風+前線は、大雨に警戒が必要な典型的なパターンです。台風周辺の暖かく湿った空気によって、前線の活動が活発化し、台風接近前から雨が降り、大雨になりうるわけです。東北地方であれば、最接近前の24日(木)から大雨に警戒が必要になってきます。また、オホーツク海付近にある強力な高気圧が、台風の北上を妨げ、長い時間にわたって雨が降り続く可能性もあります。

22日(火)18時時点での台風12号の進路予想(ウェザーマップ提供)
22日(火)18時時点での台風12号の進路予想(ウェザーマップ提供)
22日(火)18時の実況天気図(ウェザーマップ提供)
22日(火)18時の実況天気図(ウェザーマップ提供)

「マイ・タイムライン」の活用

 大雨や台風の接近時などに役立つものに「マイ・タイムライン」があります。これは、自分や家族がとるべき防災行動を、時系列にまとめたものです。荒天が予想される3日前には何をする、2日前、1日前には何をするというように、具体的な行動を時系列に書き記しておきます。これをしておくことで、「いつ」「誰が」「何をする」かが明確になり、急な判断が迫られるような時に役に立ちます。

 ただ、気象現象は、マイ・タイムラインで想定した通りに進むとは限りません。今回であれば、台風最接近よりもだいぶ前から大雨のおそれがあるため、タイムラインを前倒しで考えるなど、臨機応変な行動が必要になってきます。

備えは、あす23日(水)までに

 きょう夕方に気象庁から発表された情報によると、23日(水)18時~24日(木)18時までの24時間雨量は、多い所で、東北太平洋側で100~200ミリ、東北日本海側で100~150ミリ、その後、25日(金)にかけて雨量はさらに増える予想です。

 まだ予想される雨量には幅がありますが、東北地方においては、あす23日(水)までに一通りの備えは終えておく必要があるといえます。

23日(水)18時~24日(木)18時  24時間予想降水量(ウェザーマップ提供)
23日(水)18時~24日(木)18時 24時間予想降水量(ウェザーマップ提供)
気象解説者/気象予報士/防災士/ウェザーマップ所属

1980年愛知県生まれ。大学では気象学を専攻。卒業後は番組制作会社でリサーチャーとして活動。メディアを通じて自ら気象情報を発信したいという思いから、2009年に気象予報士の資格を取得。2012年から宮城県の仙台放送にて気象キャスターを務める。現在「仙台放送 Live News it!」出演中。予報はもちろんのこと、これまで宮城県内さまざまな場所を取材した経験から見えてくることなども発信できたらと思います。

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