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暖冬、寒の戻り、台風… 今年の宮城県の天気"5大"ニュース

平野貴久気象解説者/気象予報士/防災士/ウェザーマップ所属
台風19号は宮城県に大きな被害をもたらした(ウェザーマップ提供)

 今年も残すところあと数日。この1年の宮城県の天気を振り返ってみると、今年は…いえ、今年も、と言ったほうが正確でしょうか、極端な現象が多かったように感じます。今年は台風19号の被害があまりにも大きく、その印象が強かったと思いますが、それ以外にも極端な現象がありました。ここで、私が印象に残った現象を、今年の天気"5大"ニュースとして、振り返りたいと思います。

1. 暖冬 仙台では2月の積雪0センチ

 昨冬は寒気の影響が弱く、全国的な「暖冬」でした。特に2月はその傾向が顕著で、仙台の平均気温は平年より1.7℃も高くなりました。そして低気圧の影響も受けにくかったため、雪があまり降らなかったのも特徴です。仙台では2002年以来17年ぶりに、2月の最深積雪が0センチとなりました。

2. 寒の戻り 4月に積雪

桜と雪(4月11日  仙台市内で筆者撮影)
桜と雪(4月11日 仙台市内で筆者撮影)

 暖冬の帳尻合わせのように、4月はじめは強い「寒の戻り」がありました。ソメイヨシノの標本木が開花目前で大ブレーキがかかったことは、強く印象に残っています。そして、南岸低気圧の接近も相まった4月11日は各地で雪が降り、仙台では積雪が5センチに達しました。仙台で4月に5センチ以上の積雪を観測するのは、実に21年ぶりのことでした。

3. よく晴れた5月 猛烈な暑さも

 5月は高気圧に覆われる日が多く、例年以上に晴れが多くなりました。県内の17地点で1か月の日照時間が通年での1位を記録。また、大陸から暖かい空気が流れ込んだ下旬は猛暑にも見舞われ、14地点で5月の最高気温を更新しました。

4. 曇りや雨続きの7月 日照不足に

イネの生育が心配された(7月17日  多賀城市内で筆者撮影)
イネの生育が心配された(7月17日 多賀城市内で筆者撮影)

 7月は梅雨。もともと曇りや雨が多い月ではありますが、今年はオホーツク海高気圧がたびたび出現したことで、その曇り具合は例年以上でした。特に県の南部ではその傾向が顕著で、梅雨明けまでの24日間(7月1日~24日)の日照時間は、平年の4割ほどにとどまりました。農作物に大きな影響はなかったものの、イネの冷害が懸念される事態となりました。

5. 台風19号 記録的な大雨に

 10月12日~13日にかけて、台風19号の接近により、記録的な大雨になりました。24時間雨量の最大値は、丸森町筆甫で588ミリ、丸森で421ミリなど、特に県の南部では、予想を大きく上回る大雨になりました。これについては、台風の北側に前線が形成されたこと、さらには地形の効果も加わったことで、記録的な大雨になったと、先日、気象庁から分析の結果が出ています。

 改めて、局地的な現象の予測の難しさ、予測技術の限界というものを痛感させられました。

今後も極端な現象は増える?

 先日、気象庁は、2019年の年平均気温が、日本では過去最高、世界では過去2番目に高くなる見込みであると発表しました。近年は高温となる年が多くなっていますが、この一因として、地球温暖化が挙げられます。地球温暖化が進めば、空気中の水蒸気量が増えて、一度に降る雨の量が増えることが予想されますし、極端な高温が出ることも予想されます。台風に関しても、数は減るが、強さは増すというシミュレーションの結果もあります。要するに、極端な現象が増えていく可能性があるということです。

 今後、地球温暖化のペースを緩やかにすることはできても、完全に抑えることはできそうにありません。今年のような極端な現象が増えていくという前提で、備えを進めていかなければなりません。

気象解説者/気象予報士/防災士/ウェザーマップ所属

1980年愛知県生まれ。大学では気象学を専攻。卒業後は番組制作会社でリサーチャーとして活動。メディアを通じて自ら気象情報を発信したいという思いから、2009年に気象予報士の資格を取得。2012年から宮城県の仙台放送にて気象キャスターを務める。現在「仙台放送 Live News it!」出演中。予報はもちろんのこと、これまで宮城県内さまざまな場所を取材した経験から見えてくることなども発信できたらと思います。

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