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春めく東北 もう雪は積もらないのか?

平野貴久気象解説者/気象予報士/防災士/ウェザーマップ所属
11月からの累積降雪量(気象庁ホームページより)

 先週は寒い日が多かった宮城県内ですが、今週は最高気温が10℃を超える日も出てくるなど、少し春めいてきました。

 これは全国的に言えることですが、この冬は総じて雪の量が少なくなっています。

 上の図は11月からの累積降雪量を平年と比べたものですが、平年よりも少ない青の表示がほとんどです。仙台では2月、1センチ以上の積雪はまだ観測されていません。上空5500メートル付近の寒気があまり強くなかったこと、低気圧の影響を受けにくかったことなどが原因として挙げられますが、このような状況のためか「今年はもう雪は降らない?」と最近はよく聞かれるものです。

この先も気温は高い傾向だが…

2月21日発表の1か月予報(気象庁ホームページより)
2月21日発表の1か月予報(気象庁ホームページより)

 きのう発表された1か月予報によると、東北地方の平均気温は「高い」確率が70パーセント。週ごとに見ても、一貫して高い予測となっています。偏西風が平年よりも北を流れて寒気の南下が弱い予想で、それを考慮した形です。今後は春に向かって加速していくものとみられます。

 ただ、これはあくまで平均的な気温の傾向を表したもので、時々「寒の戻り」があるなど、気温は日々変動します。

過去には4月に大雪となったことも

2013年4月21日の天気図(ウェザーマップ)
2013年4月21日の天気図(ウェザーマップ)

 仙台では過去何度か、4月に雪が降って積もったことがあります。

 直近では2013年4月21日。寒気が南下したところを低気圧が通過し、雪が降りました。積雪は1センチ。ソメイヨシノの開花から12日後のことでした。4日前には最高気温が25℃を超えて夏日となっていただけに、この雪には少々驚かされた記憶があります。観測史上2番目に遅い積雪でした。

 また、1998年4月1日~2日にかけては、発達した南岸低気圧の影響で大雪となり、仙台では17センチの積雪を観測しています。これは4月の積雪の記録となっています。南岸低気圧の雪は下層の寒気が重要になりますが、4月1日9時の仙台上空1500メートル付近の気温は-9.5℃。-6℃が雪の目安とされていますから、雪が降るには十分な寒気が4月にもかかわらず南下していたことになります。この時も、2日前には最高気温が20℃を超えるような暖かさとなっていただけに、これだけの大雪は想像できなかったことと思います。

 遅い雪が降った年と今年が同じ状況とは言えませんが、寒の戻りと低気圧の通過が重なったりすれば、雪の降る可能性は十分にあり、積雪の可能性もゼロではありません。はっきりと言い切れない部分は多いですが、車のタイヤ交換などは、もう少し慎重に考えておいた方がよさそうです。

気象解説者/気象予報士/防災士/ウェザーマップ所属

1980年愛知県生まれ。大学では気象学を専攻。卒業後は番組制作会社でリサーチャーとして活動。メディアを通じて自ら気象情報を発信したいという思いから、2009年に気象予報士の資格を取得。2012年から宮城県の仙台放送にて気象キャスターを務める。現在「仙台放送 Live News it!」出演中。予報はもちろんのこと、これまで宮城県内さまざまな場所を取材した経験から見えてくることなども発信できたらと思います。

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