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世界大会プレーオフで日本代表が名門相手に歴史的一勝

平岩康佑eスポーツアナウンサー
会場入りする選手たち(提供:Riot Games)

日本時間17日未明、VALORANTの世界大会「2022 VALORANT Champions Tour Stage 1 - Masters Reykjavik」のプレーオフが行われ、日本代表のZETA DIVISIONがTeam Liquid(オランダ)と戦い2−1で勝利。日本代表として初めて世界大会のプレーオフでの白星をもぎ取った。歴史的な快挙を深夜にもかかわらず30万人以上のファンが見守った。

コーチと作戦会議に臨むZETA DIVISION(提供:Riot Games)
コーチと作戦会議に臨むZETA DIVISION(提供:Riot Games)

負けられない一戦で世界の強豪を撃破

最後は日本代表のSugarZ3roが相手選手全員を一人で倒すACEで勝ちきると、満面の笑みで仲間と肩を組んだ。ばつが悪い表情で肩を落としたのは名門Team Liquidの方だった。海外のVALORANTファンなら誰もが予想しない展開だっただろう。

一度破れても、敗者復活リーグから勝ち上がれるダブルエリミネーション形式で行われている本大会。先日ドイツの強豪G2に破れた日本代表のZETA DIVISION(以下:ZETA)は負ければ即帰国の途につかなければいけない一戦。しかも、相手はeスポーツファンなら誰もが知る名門Team Liquid(以下:Liquid)だった。

Liquidは創設22年の歴史を誇るオランダの古豪で、ユニフォームの袖にはホンダやDELLなどの大企業が名を連ねる。アベンジャーズシリーズで知られるマーベルとのコラボユニフォームも以前大きな話題になった。

敗退が決まったTeam Liquid(提供:Riot Games)
敗退が決まったTeam Liquid(提供:Riot Games)

強豪相手に焦りの見えない試合を展開

日本代表のZETAはファーストマップのフラクチャーで13-7と圧倒的なスタートを切るが、そこはさすがのLiquid、2マップ目のヘイブンで4-13と完全に流れを持っていく試合展開に持ち込んだ。

しかし、むかえた最終マップのスプリットでZETAは4本連取でのスタート。前のマップでの悪い流れを引きずらない姿はZETAの今大会での大きな進化を感じさせた。Liquidも追い上げを見せるも、最後までリードを守ったZETAが勝利。Liquidは完全敗退が決まりアイスランドを去る。

試合後のインタビューでZETAのTENNNは「自分の中では自信があった、100点満点の試合だった」と振り返った。さらに、歴史的快挙を自らのACEで決めきったSugarZ3roは「気付けばACEだった、初戦から全く緊張せずに試合を出来ている」と大舞台でも十分な手応えを感じているようだった。

拳を合わせるDepとSugarZero(提供:Riot Games)
拳を合わせるDepとSugarZero(提供:Riot Games)

止まらない日本代表ZETAの快進撃

時差や食事など慣れない環境下での連戦、初戦の大敗からメンタルの立て直しや、作戦の見直しなどもあった今大会。厳しい環境の中で快進撃を続ける日本代表ZETAの戦いに、ぜひ大きな声援を送ってほしい。

次戦は、初戦で大敗を喫したDRX(韓国)とOpTic Gaming(米国)の敗者との一戦となる。日本時間4月19日試合開始予定だ。イギリスのFNATICに続き、Team Liquidも倒したZETA DIVISION。初のプレーオフで勝利を上げ”世界のZETA”の名前をどこまで深く刻み込めるか。

eスポーツアナウンサー

1987年東京生まれ、朝日放送にアナウンサーとして入社しプロ野球や女子プロゴルフなどの実況を担当。2017年には高校野球の実況が評価され、ANNアナウンサー賞 優秀賞を受賞。2018年に退社し、株式会社ODYSSEYを設立。アナウンサーのマネジメント事業やコンサルティング業を展開し、自らも日本最大級のeスポーツイベントRAGEやCRカップなどで実況を担当。テレビ朝日「ReALe」レギュラー、著書に「人生の公式ルートにとらわれない生き方」

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