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参議院本会議代表質問、安倍首相への「一手」に注目

郷原信郎郷原総合コンプライアンス法律事務所 代表弁護士
(写真:つのだよしお/アフロ)

 本日(12月2日)午後1時から参議院本会議で開かれる代表質問が、今臨時国会で安倍晋三首相が野党から直接質問を受ける最後の場となる。

 代表質問なので、一問一答形式の委員会とは異なり、何回も質問と答弁の応酬を繰り返すのではないが、代表質問に対する内閣総理大臣の答弁に対しても、与えられた質問時間の範囲内で2回まで再質問(参議院規則110条)を行うことが可能だ。

 【「桜を見る会」前夜祭、安倍首相説明の「詰み」を盤面解説】で「将棋の盤面」を用いて解説したように、前夜祭における公選法違反、政治資金規正法違反に関する安倍首相の「説明」は、完全に「詰み」の状態である。

 しかも、11月29日の「桜を見る会」追及本部法務班でのヒアリングでも説明したように(ビデオニュース【「ホテルが直接領収書を渡した」は嘘 ?!追及本部が郷原弁護士を招き公開ヒアリング】)、安倍首相が、ホテルニューオータニ側に説明を押し付けるという最悪の「一手」(6七玉)を打ったのに対して、この問題に対する「追及」で、

安倍首相夫妻、事務所、後援会関係者は、夕食会の参加費をホテルに支払ったのか

という質問を行うことで、安倍首相側には、後援会の政治資金収支報告書に

支払ったと言えば、主催者の後援会側の「支出」、支払っていないと言えば、ホテルニューオータニから後援会への「寄附」

の記載義務があったことになり、政治資金規正法違反が否定できなくなる。

 安倍首相がまともに答弁しなければ、再質問も可能なはずだ。

 つまり、「5五金」を、「6六金」と動かす「一手」だけで詰む「一手詰め」なのである。

 この点は、先日のヒアリングで、野党の追及本部の議員に、十分に説明した。

 今日の参議院本会議での代表質問で、野党側がこの「一手」を打って、「桜を見る会」前夜祭の問題を、安倍首相の「投了」(安倍晋三後援会の政治資金収支報告書訂正の必要性を認める)で終わらせることができるかどうかが、最大の注目点となる。

郷原総合コンプライアンス法律事務所 代表弁護士

1955年、島根県生まれ。東京大学理学部卒。東京地検特捜部、長崎地検次席検事、法務省法務総合研究所総括研究官などを経て、2006年に弁護士登録。08年、郷原総合コンプライアンス法律事務所開設。これまで、名城大学教授、関西大学客員教授、総務省顧問、日本郵政ガバナンス検証委員会委員長、総務省年金業務監視委員会委員長などを歴任。著書に『歪んだ法に壊される日本』(KADOKAWA)『単純化という病』(朝日新書)『告発の正義』『検察の正義』(ちくま新書)、『「法令遵守」が日本を滅ぼす』(新潮新書)、『思考停止社会─「遵守」に蝕まれる日本』(講談社現代新書)など多数。

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