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小学生は普段どこで遊ぶ・過ごすことが多いのだろうか(2023年発表版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
小学生は放課後にどこで遊んだり過ごしたりしているのだろうか(写真:アフロ)

小学生は遊び盛り。小学校での授業が終わると、公園や友達の家、さらには学校にとどまって遊ぶことが多いイメージがある。近所に小学校がある人は、授業が終わっているであろう夕方の時分に、自宅に帰らずに学校の校庭などで遊んでいる小学生の姿をよく目にしているのではないだろうか。今回は学研教育総合研究所が公開している「小学生の日常生活・学習に関する調査」(※)の結果から、小学生が放課後にどこで遊ぶ・過ごすことが多いのか、その実情について確認する。

次に示すのは小学生に対し、放課後にどこで遊ぶ、あるいは過ごすことが多いのかについて、複数回答で尋ねた結果。もっとも多くの人が答えた場所は「自宅」だった。68.7%の小学生が「放課後は自宅で遊ぶ・過ごすことが多い」と答えている。

↑ 放課後はどこで遊ぶ・過ごすことが多いか(小学生、複数回答)(2023年)
↑ 放課後はどこで遊ぶ・過ごすことが多いか(小学生、複数回答)(2023年)

具体的にどのような遊びをする、あるいは単に時間を過ごすのかまでは分からないが、「自宅」との回答が群を抜いて高い値を示しており、冒頭で触れた世間一般的にあるイメージとは異なる実情に、驚きを覚える人もいるだろう。「自宅」での遊びがしたいからなのか、公園や友達の家など他の場所が無い・使いづらいからなのかまでは分からないが、遊ぶ場所・時間を過ごす場所として「自宅」が多くの小学生に選ばれている。

さらに「友達の家」が21.3%しかおらず、「自宅」の68.7%とは大きく離れていることにも注目したい。単に家遊びを好むのなら、「友達の家」も「自宅」に近い値を出すはずだか、実際にはそうではない。自宅で一人遊びや兄弟姉妹と遊ぶことになるのだろうか。あるいは新型コロナウイルスの流行という現状にあわせ、そのような放課後の時間経過を余儀なくされているのかもしれない。それとも主に家庭用ゲーム機などのゲームで遊ぶので、外に出る必要がないだけなのだろうか。

「自宅」に次いで多いのは「公園・運動場」の25.0%。サッカーや野球、バドミントン、缶蹴り、遊具を使っての遊びなど、色々な時間の過ごし方が想像できる。あるいは単に公園や運動場は待ちあわせの目印的なものでしかなく、その場に集まっておしゃべりをしたり携帯ゲーム機で遊んだりしているのかもしれない。

「学童(学童保育。厚労省の管轄で日中保護者が家庭にいない小学生に対して、適切な遊び場や生活の場を与えて健全な育成を図る事業)」や「習い事」、「学校」「塾・教室」などもそれなりの値を示しており、小学生における放課後の居場所として機能していることがうかがえる。特に「習い事」は11.8%と高い値が示されており、小学生にとっての習い事は単純にそれを学びたいからだけではなく、友達とともに時を過ごしたいとの理由もあるだろうことが推測できる。

上位陣について属性別に見たのが次のグラフ。

↑ 放課後はどこで遊ぶ・過ごすことが多いか(小学生、複数回答、上位陣、属性別)(2023年)
↑ 放課後はどこで遊ぶ・過ごすことが多いか(小学生、複数回答、上位陣、属性別)(2023年)

「自宅」は性別・学年を問わず高い値のまま。小学1年生でいくぶん低めだが、その分「学童」が高くなっているため、自宅にいても保護者が(パートなどで)おらず寂しさを覚えて、学童に足を運んでいるのかもしれない。あるいは幼い時分に子供一人で自宅にいるのを不安視した保護者が、学童に行くよう諭している可能性もある。学年が上がるに連れて「学童」の値が減っていくのも、その推論を裏付ける形となる。

「公園・運動場」はおおよそ学年が上になるに連れて値が大きくなる。「友達の家」も同じような傾向。成長に連れて、積極的に外へ出るようになるのだろうか。あるいは、そのような場所でも友達同士で携帯ゲーム機で遊ぶのが多いことから、単純に高学年ほど携帯ゲーム機を持つ人が増えるだけかもしれない。

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※小学生の日常生活・学習に関する調査

2023年10月27日から11月1日にかけてインターネット経由で、小学生の子供がいる保護者を対象として保護者付き添いの下で小学生本人が回答するように答えてもらったもので、有効回答数は1200人。男女別・学年別で均等割り当て。調査協力会社はクロス・マーケティング。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項のない限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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