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携帯ゲーム機を持っていなくて欲しい人は3.7%のみ…ゲーム機の所有・利用状況

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
多くの人にとって今なおゲーム機は心の友だが(写真:アフロ)

据置型の普及率は6割近く

昨今ではインターネット接続が当たり前となりオンラインゲームも多数発売され、一方で同様のゲームが遊べるスマートフォンとのし烈な市場の覇権争いが繰り広げられているゲーム機。その所有・利用実情を総務省が2023年6月に情報通信政策研究所の調査結果として公式サイトで発表した「令和4年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(※)の公開値を基に確認する。

次に示すのは据置型ゲーム機の所有および利用状況。自宅にある・無いを回答者に答えてもらい、ある場合には回答者自身が利用しているか、それとも利用していないか(置いてあるだけなのか、家族の別の人が使っているかは問わない)、無い場合には自宅に欲しいか、必要ないかを答えてもらっている。単純にあるか無いかの回答だけでなく、ある場合には利用状況を、無い場合には所有希望の有無まで尋ねることで、細かい需要を確認できる。なお今件は回答用紙には「テレビゲーム機(任天堂据置型ゲーム機、PlayStationシリーズなど)」と記載されている。

↑ 据置型ゲーム機所有状況(自宅、属性別)(2022年)
↑ 据置型ゲーム機所有状況(自宅、属性別)(2022年)

↑ 据置型ゲーム機所有状況(自宅、「無い」、属性別)(2022年)
↑ 据置型ゲーム機所有状況(自宅、「無い」、属性別)(2022年)

全体では自宅所有率は57.1%。しかし利用率は27.1%にとどまっている。かつて使っていたが今はほこりをかぶっているとのケースもあろうが、むしろ子供が使っているが保護者である回答者は遊んでいない事例が多いのだろう。実際年齢階層別では低年齢ほど利用率では高い値を示している。10代では所有率80.7%、利用率55.7%。

就業形態別では、一番時間に余裕があり、ゲームへの興味も深いであろう学生・生徒が一番高い値を示している。他方、無職の値は低いが、これは多分が高齢者であるため。世帯年収別では、600~800万円未満の層までは低世帯年収ほど低所有率・低利用率を示している。一方で都市規模別では規則性のようなものは見られない。

非所有者の状況だが、属性に限らずほとんどの人が据置型ゲーム機は必要ないと回答している。かろうじて30代の「無い・欲しい」率が1割に届きそうな程度。現在自宅に据置型ゲーム機がある人がもう一台、あるいは買い替えで購入する可能性までは推し量れないが、少なくとも現在一台も無い世帯において、新たに購入される可能性はほとんど無いと見てよい。一言で表現すれば世帯ベースでは飽和状態にある。

携帯ゲーム機も飽和状態かも

続いて携帯ゲーム機。こちらは回答票には「携帯型ゲーム機(ニンテンドー3DS、PS Vitaなど)」と表記されている。

↑ 携帯ゲーム機所有状況(自宅、属性別)(2022年)
↑ 携帯ゲーム機所有状況(自宅、属性別)(2022年)

↑ 携帯ゲーム機所有状況(自宅、「無い」、属性別)(2022年)
↑ 携帯ゲーム機所有状況(自宅、「無い」、属性別)(2022年)

全体では自宅所有率・利用率ともに据置型ゲーム機と大体同じ。所有率は男女差に大きな開きは無いものの利用率は男性の方が高い。そしてやはり10代の値が圧倒的に高い。20代以降の減少ぶりも据置型ゲーム機同様で、利用率では年齢とともに低い値となる(40代で所有率がいくぶん跳ねるのは子供がいる影響だろうか。所有率が高くても利用率が低いのが、推論の確証性を後押ししている)。就業形態別ではやはり学生・生徒がずば抜けて高く、3/4強が所有し、5割強が利用している。

世帯年収別では据置型ゲーム機同様、おおよそ低世帯年収ほど低所有率を示している。そして利用率では200万円以上において大きな変化が生じていない(800~1000万円未満がいくぶん落ちている程度)。都市規模別では所有率において都市規模が大きいほど高い値となる傾向がある。

非所有者の思惑は、意外にも据置型ゲーム機と同じで、ほぼ飽和状態にあることが分かる。自宅に携帯ゲーム機が無い人の大多数は、将来にわたっても欲しいとは思わないと答えている。代替わり、買い増しなどの理由で現在の所有者がさらに購入する可能性は否定できないが、現在非所有者が新たに購入する機会はあまり無いとの結論に達する。

今件はあくまでも回答時の状況で、しかも13歳以上の回答者に限られている。大学生や社会人になり一人暮らしを始める=新世帯で暮らすようになる場合の環境変化、12歳以下の子供の所有願望は反映されていない。

しかし少なくとも現状では多分に、据置型ゲーム機・携帯ゲーム機ともに、飽和に近い状態であることは否定できまい。さらに今後の動向を見守る必要があるが、タブレット型端末やスマートフォンの浸透で、稼働率が低下する、つまり自宅にあるが使っていない人の割合がこれまで以上に増える可能性は大いに考えられよう。

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※令和4年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査

今調査は2022年11月5日から11月11日にかけて、全国125地点をランダムロケーションクォータサンプリング(調査地点を無作為に抽出、地点ごとにサンプル数を割り当て、該当地域で調査対象者を抽出する方法)によって抽出し、訪問留置調査方式により、13~69歳の1500サンプルを対象としたもの。アンケート調査と日記式調査を同時並行で実施し、後者は平日2日・休日1日で行われている。よってグラフの表記上は「10代」だが、厳密には13~19歳を意味する。

調査のタイミングにより一部調査結果においてイレギュラー的な動きが確認できるが、これについて報告書では「経年での利用時間などの変化については、調査時期の違いによる影響や単年の一時的な傾向である可能性も否定できず、継続的な傾向の把握については今後の調査などの結果も踏まえる必要がある」と但し書きを入れている。さらに2020年分の調査については「令和2年度調査は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う、11都府県を対象とした緊急事態宣言下で行われたものであることにも留意が必要」との補足があった。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項のない限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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