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職場における男女の地位の平等感の実情をさぐる(2023年公開版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
職場では男女間の公平さはどのように認識されているのか(写真:イメージマート)

能力や経験、資格の有無ではなく、単純に男女の違いで男性、あるいは女性が優遇されるという、男女間における地位の不平等さ。職場に関してはどのような認識がされているのだろうか。内閣府が2023年3月に発表した「男女共同参画社会に関する世論調査」(※)の結果から確認していく。

回答者自身が認識する男女の地位の平等感について、「職場」「社会通念・慣習・しきたりなど」それぞれの観点で「男性が非常に優遇」「男性が優遇」(以上男性優遇派)、「女性が優遇」「女性が非常に優遇」(以上女性優遇派)、そして「平等」「無回答」の計6選択肢の中から選んでもらった結果が次のグラフ。まずは「職場」だが、全体では64.1%の人が男性優遇派となった。「平等」は26.4%、女性優遇派は7.7%に過ぎない。

↑ 職場における男女の地位の平等感(男女別)(2022年)
↑ 職場における男女の地位の平等感(男女別)(2022年)

↑ 職場における男女の地位の平等感(年齢階層別)(2022年)
↑ 職場における男女の地位の平等感(年齢階層別)(2022年)

ぱっと見で青系統色の面積が大きいことから、認識の上では男性優遇派であるとの意見が多数を占めていることが分かる。「平等」は3割前後にとどまっており、少なくとも「職場では男性の方が優遇されている」との雰囲気が支配的なようすがうかがえる。

いくつか特徴を挙げてみると、男女別では多少の違いはあれど「男性は『女性優遇』」「女性は『男性優遇』」の値が、相対する属性よりも大きい。また40~50代にかけて「男性が非常に優遇」の値が大きいのが興味深い。職場での経験を経て昇進したり多様な方面で活躍の場を与えられるに連れて、男性が優遇されていると認識できる機会が多々得られるということか。

なお今回のデータはあくまでも回答した人の主観による認識。具体的な制度や数字に基づいた、男女平等の関係を示したものではない。その点に注意をした上で、データを見てもらえるとありがたい。

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※男女共同参画社会に関する世論調査

数年に一度、不定期の形で実施されている世論調査。直近分は2022年11月24日から2023年1月1日にかけて、日本国内に居住する18歳以上の日本国籍保有者から層化2段無作為抽出法によって抽出された人を対象に、郵送法で行われている。有効回答数は2847人。男女比は1534対1313。年齢階層比は18~29歳272人・30代307人・40代443人・50代501人・60代503人・70歳以上821人。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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