インターネットニュースの有料サービスを利用している人は1割にも満たない(2022年度版)
紙媒体同様に多種類の様式が用意されているインターネットニュースの有料サービスは、どこまで利用されているのだろうか。その実情を新聞通信調査会が2022年11月に発表した「メディアに関する世論調査」(※)の結果を基に確認する。
次に示すのはインターネットニュースの有料サービスの利用状況。複数回答ではあるが全選択肢の値を足しても100%に満たないのは、選択肢に無い様式のインターネットの有料ニュースサービスを利用していた、またはどの選択肢に該当するか分からず回答しなかった人がいたと考えられる。
利用していないと断言している人が92.8%と圧倒的多数。アプリゲームの課金やインターネット通販の利用などインターネットのサービスでお金を使う人は多いはずだが、インターネットニュースに限るとほんのわずかでしかない実情が分かる。有料の電子新聞や新聞記事の購入者は4.0%、新聞以外の有料ニュースサイトやアプリは1.3%、雑誌の有料記事にいたっては0.6%でしかない。
なおいずれの様式にせよ利用している人の合計は男性で7.1%、女性で4.2%。全体値は非公開だが加重平均で概算すると5.56%。月ぎめによる(紙媒体の)新聞購読者率58.3%と比べればずいぶんと低い値だ。
この実情を属性別で確認したのが次のグラフ。回答者が皆無の属性は値の部分が空欄になっている。
18~19歳で新聞以外の有料ニュースサイトやアプリ、雑誌の有料記事を利用している人は皆無。いずれかを利用している人がもっとも多いのは40代と60代で、有料電子新聞・新聞記事は40代と50代が最多。雑誌の有料記事は60代が最多となっている。70歳以上もそれなりに利用しているのには驚きを覚えるかもしれない。
有料電子新聞・新聞記事の動向を見ると、男女別では男性の方が利用率は高い。仕事などで使うケースが多いことを考えれば当然の結果かもしれない。そして年齢階層別では18~19歳は1.8%、20代以降は40代・50代まで年齢とともに増加し、40代・50代がピーク。60代でも3.4%が利用している。しかし見方を変えれば、どの属性でも利用率は1割に満たない。
今後電子新聞がもっと使いやすく、コストパフォーマンスに優れた内容・サービスを提供し、紙媒体の新聞よりも購読する魅力にあふれる存在となる、あるいは紙媒体の新聞は必要ないが電子新聞ならば購読してもよいと考えられるようになることで、この比率は増えることになるのだろうか。少なくとも現状では、紙媒体の新聞読者の減少分を補てんできるほどの増加は期待できそうにない。それが分かるのが次のグラフ。
現在電子新聞を購読している人も含まれるが、今後(も)電子新聞を購読するとの意思を持つ人は5.4%(2.9%+2.5%)。記事のみの購入の人3.1%を合わせても8.5%でしかない。
紙媒体の新聞だけを購入する人が47.2%いるのは幸いだが、今後情勢の変化でこの47.2%の人が紙媒体の新聞から離れたとして、電子新聞にどれだけの人が移行することになるのだろうか。
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※メディアに関する世論調査
直近分となる第15回は2022年8月26日から9月13日にかけて住民基本台帳からの層化二段無作為抽出法によって抽出された18歳以上の男女個人5000人に対して、専門調査員による訪問留置法によって行われたもので、有効回答数は2993人。有効回答者の属性は男性1399人・女性1594人、18~19歳55人・20代246人・30代386人・40代520人・50代500人・60代495人・70代以上791人。過去の調査もほぼ同じ条件で行われている。
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