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83.5%は挨拶をする程度の付き合いをしている…高齢者の近所付き合いの実情(2022年公開版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
孤独感が強くなる高齢者の日常生活。近所付き合いの実情は(写真:アフロ)

会社を退職し、子供も家を出てしまうため、人との接点が少なくなる高齢者の日常生活。高齢者はどれぐらい近所付き合いをしているのだろうか。内閣府が発表した「高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査」(※)の結果から確認する。

次に示すのは調査対象母集団において、どのような近所づきあいを回答者がしているか、複数回答で答えてもらったもの。例えば「会えば挨拶」は83.5%とあるので、普段近所の人と出会えば挨拶など交わす程度の付き合いをしている人は83.5%に達していることになる。

↑ 普段近所の人とどのような付き合いをしているか(複数回答)(2021年)
↑ 普段近所の人とどのような付き合いをしているか(複数回答)(2021年)

「外で立ち話」は55.4%。単純な挨拶だけでなく、最近の天気や近所で起きた出来事、気になったことなどを立ち話する程度には付き合いをしている人がそれだけいることになる。さらに「物をあげたりもらったり」は48.2%。自分は使えない贈呈品や、作り過ぎて余った料理を隣近所におすそ分けするのがよい例だろう。

「相談をしたりされたり」「お茶や食事」「趣味をともに」など、よりプライベートな領域に食い込んで付き合うものとなると、該当者は1割台となる。近所付き合いにしても随分と深い関係のようにみえる。単なるご近所ではなく、友達に近い間柄かもしれない。

ある意味、困った時に頼りになるパターンとなる「家事や用事をしたりされたり」「病気の時に助け合う」は6%台。高齢者にとってはある意味生命線ともなりうる話だが、そこまでの深いお付き合いを近所としている人は少数派のようだ。

これを男女別・年齢階層別で見ると次の通りとなる。

↑ 普段近所の人とどのような付き合いをしているか(複数回答、男女別・年齢階層別)(2021年)
↑ 普段近所の人とどのような付き合いをしているか(複数回答、男女別・年齢階層別)(2021年)

シンプルな付き合いは年齢が下の方が多いが、深い付き合いになるに連れて年齢が上の方が値は高くなる。単純に年を取っている方が深い近所付き合いをしているのか、それともその世代の習慣なのかは今件調査の結果からだけでは分からないが、とにかく現状では年上の方が深い近所付き合いをしているようだ。

また男女別では「会えば挨拶」「趣味をともに」「家事や用事をしたりされたり」などの一部を除けば、おおよそ女性の方が値は高い。男性よりも女性の方が、近所付き合いに慣れているということだろうか。

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※高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査

2021年12月6日から12月24日にかけて、層化二段無作為抽出を用いて選ばれた全国の60歳以上の男女に対し郵送調査法で行われたもので、有効回答数は2435人。男女比は1188対1247。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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