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世界の人口は2060年に100億人を突破…国連予想による米英露の人口推移をさぐる(2022年公開版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
世界の人口はいかなる変移を見せるのか(写真:イメージマート)

国連では定期的に世界人口の推移予想の検証結果を更新している。その最新データ「World Population Prospects 2022(世界人口の見通し、2022年改訂版)」(国連事務局経済社会局の人口部局による、人口統計学的な推計によるデータ)から、2100年までの世界全体と、米英露の人口推移を確認する。

最初はアメリカ合衆国。

↑ アメリカ合衆国の年齢階層別人口数推定(万人)(World Population Prospects 2022より)
↑ アメリカ合衆国の年齢階層別人口数推定(万人)(World Population Prospects 2022より)

↑ アメリカ合衆国の年齢階層別人口比率推定(World Population Prospects 2022より)
↑ アメリカ合衆国の年齢階層別人口比率推定(World Population Prospects 2022より)

2100年に至るまで、人口は緩やかに、そしてほぼ一定率のまま上昇を継続。高齢化は2035年前後まではやや歩みは速いが、それ以降は緩やかなスピードに落ち着いたまま進行していく。2100年時点での人口は約3.9億人。ただしアメリカ合衆国でもこの数年の間、急速な合計特殊出産率の低下(いわゆる「先進国病」)が確認でき、人口減少・高齢化の加速懸念が出てきた。3年前の予想版(2019年版)と比べると2100年時点の人口予想は3980万人ほど減っているが、同年の高齢層比率は2.7%ポイントほど増加している。

続いてイギリス。

↑ イギリスの年齢階層別人口数推定(万人)(World Population Prospects 2022より)
↑ イギリスの年齢階層別人口数推定(万人)(World Population Prospects 2022より)

↑ イギリスの年齢階層別人口比率推定(World Population Prospects 2022より)
↑ イギリスの年齢階層別人口比率推定(World Population Prospects 2022より)

イギリスも人口は漸増していくが勢いは緩やかなものとなり、2055年をピークとしてそれ以降は緩やかに減少する。64歳以下の総人口は微減な一方で、65歳以上の人口が比較的早いペースで増え、結果として高齢化が急速に進んでいく。

次はロシア連邦。

↑ ロシア連邦の年齢階層別人口数推定(万人)(World Population Prospects 2022より)
↑ ロシア連邦の年齢階層別人口数推定(万人)(World Population Prospects 2022より)

↑ ロシア連邦の年齢階層別人口比率推定(World Population Prospects 2022より)
↑ ロシア連邦の年齢階層別人口比率推定(World Population Prospects 2022より)

ロシア連邦は日本同様に人口減少のプロセスを歩んでおり、しかも減少スピードはほぼ一定のままで2100年まで推移する。他方高齢者の比率は2060年の27.4%で一度目の高い値をつけ、それ以後はむしろ一時的だが減少する動きすら見せるも、その後再び増加。最大値は2090年の28.0%となる動きは興味深い。

最後に世界全体の動向。

↑ 世界全体の年齢階層別人口数推定(万人)(World Population Prospects 2022より)
↑ 世界全体の年齢階層別人口数推定(万人)(World Population Prospects 2022より)

↑ 世界全体の年齢階層別人口比率推定(World Population Prospects 2022より)
↑ 世界全体の年齢階層別人口比率推定(World Population Prospects 2022より)

ロシア連邦や日本など一部先進諸国のように、人口を減らしていく国もあるが、概して新興国は人口増加の過程にあり、2060年ぐらいまでは急激なスピードで世界人口は増加していく。2060年あたりから64歳以下の人口増加が足踏み状態となり、2070年をピークとしてそれ以降は漸減していく。総人口のピークは2085年で、それ以降は漸減する。

そして2060年には世界の総人口は100億人を突破する、との推定が出ている。

今件データはあくまでも予想・推定の域を出ていない。人口変動要素に変化があれば、予想年数が先に行くほど数字はぶれていく。あくまでも指針の一つ程度として見ておいた方が無難である。

見方を変えれば、特段変化が無ければ、これらの値が現実のものとなる可能性は高い。各国の今後を占う上で、無視できない数字といえよう。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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