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定額見放題サービス利用者の選択対象の実情をさぐる(2022年公開版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
定額料金で好きなだけ動画を楽しめる定額見放題サービス。利用者の実情は(写真:アフロ)

AmazonプライムビデオやNetflix、Huluなど、期間単位で一定料金を支払えば所定の動画集の中から好きなだけ視聴ができる、動画の定額見放題サービス。有料図書館の利用サービスのようなものだが、その魅力は用意されている動画ならば何度でも繰り返し視聴でき、定額支払い分以上の料金負担を気にしない点にある。他方、他社サービスに顧客を奪われないよう、各社とも提供動画の充実や操作系の改善などを常に推し進めている。今回は日本映像ソフト協会が2022年5月に発表した、日本の映像ソフト協会そのものやソフト関連の実地調査結果を絡めた白書「映像ソフト市場規模及びユーザー動向調査」の最新版(※)を基に、定額見放題サービスを利用している人の、利用サービスの選択実情を確認する。利用者は具体的にどのサービスを利用しているのだろうか。

次に示すのは定額見放題サービスを利用している人に、具体的にどのサービスを利用しているかを尋ねた結果。単独のサービスを使っている人もいれば、複数を利用している人もいる。なお選択肢には3つのサービスしか挙げられていないが、前回調査までには用意されていた選択肢(CATV局のVODなど)は利用者がごく少数だったため、今回調査では除外されたものと考えられる。

↑ 定額見放題サービスの利用配信事業者の重複状況(2021年)
↑ 定額見放題サービスの利用配信事業者の重複状況(2021年)

Amazonプライムビデオのみの単独利用者は59.9%、Netflix単独は13.6%、Hulu単独は6.7%。Amazonプライムビデオが圧倒しており、そのサービスだけで満足している実情がうかがえる。

一方併用している事例を見ると、Amazonプライムビデオに加えて他社サービスを利用するというパターンが多い。NetflixとHuluだけでも13.9%に達している。

定額見放題サービスとして知名度が高いNetflixやHuluだが、実際の利用者はさほど多くはないようだ。例えばNetflixでは単独13.6%+Amazonプライムビデオとの組み合わせ10.6%+Huluとの組み合わせ2.6%+3社すべて3.3%となり、30.1%でしかない。一方でAmazonプライムビデオは、グラフ上での数字を単純加算すると77.1%。

利用ハードルの低さや提供動画の多さがあるとはいえ、Amazonプライムビデオの実力を改めて思い知らされる話には違いない。

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※「映像ソフト市場規模及びユーザー動向調査」の最新版

2022年1月にインターネット経由で実施されたもので、調査対象は16~69歳。一般調査は1750人、有料動画配信の内情調査は1340人を対象としている。いずれも男女・年齢・インターネットの利用状況に関するウェイトバックがかけられており、調査対象母集団の属性に関する偏りは最小限に抑えられている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

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(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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