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利用者28.7%・利用本数53.6本…有料動画配信の利用実情をさぐる(2022年公開版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
スマートフォンで有料動画を楽しんでいる人も多いはず(写真:アフロ)

映像や音楽の市場を大きく変質させ、エンタメ部門に新たな旋風を巻き起こす技術・サービスとして、急速に浸透しているのが有料動画配信。個別の作品をデータ単位で買い取る、あるいはレンタルソフトのように短期間視聴できるスタイルだけでなく、クラウドサービスのように特定作品を視聴する権利を得られる「半永久視聴権」の販売や、一定期間は特定の枠組み内で好きな映像が観放題の定額サービスも展開され、急速にその利用者を積み増ししている。今回は日本映像ソフト協会が2022年5月に発表した、日本の映像ソフト協会そのものやソフト関連の実地調査結果を絡めた白書「映像ソフト市場規模及びユーザー動向調査」の内容を基に、有料動画配信サービスの実情を確認する。

直近の2021年では有料動画配信サービス市場は4863億円を示している。この市場には「定額見放題サービス」「都度課金サービス」「有料動画購入サービス」などが該当する。

↑ 映像ソフト市場規模(億円)
↑ 映像ソフト市場規模(億円)

この有料動画配信の利用状況を確認したところ、2020年では調査対象母集団(16~69歳。一般調査は1750人、有料動画配信の内情調査は1340人。いずれも男女・年齢・インターネットの利用状況に関するウェイトバックがかけられており、調査対象母集団の属性に関する偏りは最小限に抑えられている)の28.7%が利用していることが分かった。おおよそ10人に3人。また、利用者における平均利用本数は53.6本。

↑ 有料動画配信利用率
↑ 有料動画配信利用率

↑ 有料動画配信利用者の平均利用傾向
↑ 有料動画配信利用者の平均利用傾向

2015年から計測対象範囲を大きく拡大していることから、経年傾向を推し量ることは難しいものの、2021年は前年比で利用率は増え、利用金額も増えたが、1人あたりの利用本数は減ってしまっている。報告書ではこの現象について「ライトユーザー化が進んでいる傾向」と説明している。

もっとも業界から見れば、利用者あたりの利用本数が減っても利用率が増え、利用金額も増加、そして市場そのものが拡大しているのだから、悪い話ではない。実際、業界全体の統計結果からも2020年が3973億円、2021年が4863億円で890億円も拡大しているのが実情ではある。

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(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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