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セミナーにSNSでの個人の発信にオンライン署名…若者が参加する社会運動の実情

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
ハッシュタグでの世論形成も社会運動の一つ(写真:アフロ)

解決すべきと思われる社会全体の問題を社会課題と呼んでいる。その課題を解決するため、いわゆる社会運動に参加している若者はどれぐらいいるのだろうか。そしてどのような社会運動に参加したことがあるのだろうか。連合が2022年3月に発表した、若年層における社会運動に関する調査「Z世代が考える社会を良くするための社会運動調査2022」(※)の内容から確認する。

今調査の調査対象母集団では全体で87.0%が社会課題に関心があるとしている。

↑ 関心のある社会課題があるか(属性別)(2021年)
↑ 関心のある社会課題があるか(属性別)(2021年)

それではその社会課題を解決する手段としての社会運動(具体的にはセミナーへの参加、集会やデモ、募金などの資金提供、インターネット上での情報展開など)に、若年層は参加した経験があるのだろうか。全体では36.8%が参加経験ありという結果になった。

↑ 社会課題を解決するために社会運動に参加したことがある(2021年)
↑ 社会課題を解決するために社会運動に参加したことがある(2021年)

男女別では男性の方が参加率は高い。10%ポイントほどの差がついている。他方、年齢階層別では大きな差異は無い。

それでは具体的に、どのような社会運動に参加したことがあるのか。参加した人限定で複数回答で答えてもらった結果が次のグラフ。

↑ 社会課題を解決するために参加したことのある社会運動(参加経験者限定、複数回答、属性別)(2021年)
↑ 社会課題を解決するために参加したことのある社会運動(参加経験者限定、複数回答、属性別)(2021年)

全体ではセミナーがもっとも多く25.4%、次いでSNSでの個人の発信が23.2%、オンライン署名とクラファンや募金などの資金提供が18.7%、直筆の署名が18.3%で続く。社会運動という言葉では真っ先にイメージされがちな、集会やデモ、マーチなどは14.7%にとどまっている。

男女別では男性の方が積極的に参加しているように見えるが、クラファンや募金などの資金提供、直筆署名は女性の方が値は上。年齢階層別では15~19歳ではセミナーや直筆署名、政府や団体、企業への要請などの値は年上の層と比べて低いが、集会やデモ、マーチなどは逆に高い値を示している。あるいは自発的にではなく、保護者に連れられてデモに参加するケースもあるのだろうか。

なお全体比を勘案するのには、社会課題を解決するために社会運動に参加したことがある人の割合をかければよい。例えば「ハッシュタグでの世論形成」は17.2%なので、それに参加経験者の36.8%をかけると、約6.3%となる。若年層の6.3%ほどが、社会課題を解決するためとの意識の下で、ハッシュタグでの世論形成に参加したことがあるとしている。多いようで少ないようで、微妙な値には違いない。

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※Z世代が考える社会を良くするための社会運動調査2022

2021年12月21日から23日にかけて15~29歳の男女に対してインターネット経由で行われたもので、有効回答数は1500人。男女・5歳区切りの年齢区分で均等割り当て。調査実施機関はネットエイジア。Z世代とは本来1990年代後半から2000年代に生まれた世代と定義されているが、今調査では社会人も含めた若年層の15~29歳をZ世代としている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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