日本フードサービス協会は2021年10月25日付で、同協会の会員会社で構成される外食産業の市場動向調査における最新値となる、2021年9月度の調査結果を公開した。それによると同月の総合売上は前年同月比でマイナス8.2%を示した。新型コロナウイルスの新規感染者数は減少傾向に転じたものの、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の発出継続による制限継続で客足は大きく鈍る状態は継続しており、比較対象となる前年同月の2020年9月が外出自粛下で大きな落ち込み(総合売上は前年同月比マイナス14.0%)を示していたにもかかわらず、それとの比較でも大きなマイナスとなってしまった。

全業態すべてを合わせた2021年9月度売上状況は、前年同月比で91.8%となり、8.2%の減少を記録した。これは前回月から継続する形で2か月連続の減少。前年同月と比べると日取り(休日や土曜日の日数)の上では休日・土曜日ともに変わらず、売上には影響なし。気象環境では雨天日は東京は少なく大阪は多く、平均気温は東京と大阪ともに低めのため、客足への影響判断はマイナスと解釈できる。

また、新型コロナウイルスの流行による外出自粛や多人数が集まる場所への忌避感は強い。まん延防止等重点措置や緊急事態宣言が一部地域に対して月末まで発出継続中で、該当地域では営業時間の短縮要請や酒類の販売提供に関する要請が行われ、客数の大幅減が生じる状況となっている。就業者の在宅勤務も継続され、就業者相手の業態では苦戦が続いている。

業態別に詳しく動向を見ると、ファストフードは全体では前回月から継続する形で7か月連続のプラス(プラス5.3%)。ハンバーガーチェーン店がメインの洋風だが、そのメイン企業となるマクドナルドは、2014年夏からの相次ぐトラブルをきっかけとした多様な問題点の露呈による低迷から復活の動きを見せている。今回月では「従前通りテイクアウト・デリバリー需要が堅調であるのに加え、キャンペーンにより客数も増加」とあり、テイクアウトやデリバリーの選択肢を持つことへの奏功の影響が大きく、さらにキャンペーン効果も加わり、売上はプラス15.7%とプラスに。なお2年前同月比、つまり新型コロナウイルス流行前となる2019年9月との比較では、全業態で唯一のプラス(プラス19.8%)を示している。

なおマクドナルド単体の2021年9月における営業成績はプラス14.7%(売上、既存店、前年同月比)とプラスを示している。客数はプラス4.3%、客単価はプラス10.0%と大幅に伸びている。

牛丼チェーン店を含む和風は、客数はマイナス1.9%、客単価はプラス0.7%となり、売上はマイナス1.3%。麺類は客数マイナス10.6%、客単価はプラス0.6%となり、売上はマイナス10.1%。和風は「季節商品・復活商品の販売が好調だったが、営業時間短縮などにより客数が減少」とある。持ち帰り米飯/回転寿司は売上がマイナス0.5%。「時短営業の中でも持ち帰り需要が堅調」とあり、巣ごもり需要でマイナスを最小限にとどめられたようだ。

パブ/居酒屋部門では、パブ・ビアホールの売上はマイナス73.3%、居酒屋の売上はマイナス83.2%。部門全体では売上はマイナス80.4%を示した。「緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の延長で殆ど営業できない状態が続き、多くの店舗が休業に追い込まれた」と説明されており、新型コロナウイルスの流行と業界の体質との相性の悪さのダメージが継続中であることがうかがえる。

↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2021年9月分)(日本フードサービス協会報告書より抜粋)
↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2021年9月分)(日本フードサービス協会報告書より抜粋)

↑ 外食産業売上前年同月比(業態別)(2021年9月)
↑ 外食産業売上前年同月比(業態別)(2021年9月)

↑ 外食産業売上2年前同月比(業態別)(2021年9月)
↑ 外食産業売上2年前同月比(業態別)(2021年9月)

新型コロナウイルスの影響だが、そもそも論として店舗が自主休業していれば客が来るはずもなく、営業しても(場合によっては自治体からの要請に従う形で)時短や販売品の制限を行うところも多く、イートインは客同士の距離を取るために収容効率が悪化、さらに来店客数そのものが三密忌避気運で少ないことから、客数は激減する形となった。企業も従業員のリスク回避で集団での外食をひかえたり、リモートワークの浸透で出社する人が少ないため催しで外食を使う機会が無くなり、これも大きなマイナスの影響を与えている。疫病の影響である以上、仕方がないとはいえ、衝撃的な値には違いない。特にその店舗スタイルや就業者向けのビジネスの色合いが強いパブや居酒屋は大きな痛手が継続している。さらに営業時間の短縮要請や夜の酒類提供時間の短縮・自粛要請がダメージをより大きなものとしている。

次回月の2021年10月分では、新型コロナウイルスの新規感染者数は減少を継続し、まん延防止等重点措置や緊急事態宣言が解除されたことで、厳しさのピークは過ぎた感がある中でのものとなる。他方、今回月同様、前年同月の2020年10月ではすでに新型コロナウイルス流行による大きな影響(総合売上は前年同月比マイナス5.7%)が生じており、それとの比較となるため、プラスを示すかもしれない。

上記は今記事のダイジェストニュース動画(筆者作成)。合わせてご視聴いただければ幸いである。

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