携帯電話、特にスマホの普及に連れ、電話の利用形態が世帯単位から個人単位へとシフトし、それに伴い固定電話の利用状況も減少を見せている。その実情を総務省が2021年7月に発表した情報通信白書の内容から確認する。

同じく総務省が発表している、電気通信サービスの契約数およびシェアに関する定期報告書によれば、携帯電話の普及率は1995年時点では1%台だったのが、2000年には4割を超え、最新データでは154.0%との値が出ている。

↑ 携帯電話人口普及率(PHSやBWA除く)(電気通信サービスの契約数およびシェアに関する定期報告書より筆者作成)
↑ 携帯電話人口普及率(PHSやBWA除く)(電気通信サービスの契約数およびシェアに関する定期報告書より筆者作成)

一方固定電話(電話の設置を希望する契約者と、NTT東西との契約に従って敷設される電話回線による加入電話に加え、IP電話、さらにはCATV電話、そしてNTT東西以外の電気通信事業者が提供する直収電話も含めた総計)の加入契約者数は漸減傾向を続けており、直近の2020年度末(2021年3月末)には5284万件となっている。電話インフラの所有・利用のトレンドが確実に変化を遂げつつあるのが分かる。

↑ 固定電話の加入契約者数(万契約)
↑ 固定電話の加入契約者数(万契約)

また固定電話内部においても、NTT東西加入の加入電話は、一般の加入電話・ISDNともに減少する一方、IP電話は漸増を続けており、直近では全固定電話のうち68%をIP電話が占める形となっている。停電時に使えないなどの短所もあるが、安価に設置・利用できることから、固定電話を必要とする場面でのIP電話の利用は浸透を続けており、今後も契約数そのものに加えて固定電話に占めるシェアも増加していくものと考えられる。

一方、携帯電話の普及に伴う固定電話の利用減少トレンドは、公衆電話にも表れている。むしろ減少度合いは固定電話よりも大きい。

↑ NTT東・西日本における公衆電話設置数(構成内容別)
↑ NTT東・西日本における公衆電話設置数(構成内容別)

今後は利便性やコストパフォーマンスの上で、携帯電話やIP電話の加入契約数(率)がこれまで以上に増えていくことは間違いない。一方、先の震災の時に大活躍した経験からも分かる通り、「万が一」の時のために頼れるインフラとして、固定電話(加入電話)や公衆電話が無くなることはありえない。

しかし固定・公衆電話が今後も引き続き、漸減傾向を続けることもまた容易に想像がつく。時代の流れとはいえ、少々寂しさを覚えるのは筆者だけではあるまい。

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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

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