Yahoo!ニュース

単身30歳未満の貯蓄は男性156.6万・女性186.7万円…単身世帯の年収や貯蓄額の実情

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 貯蓄は大事だが先立つものが無いと。(写真:milatas/イメージマート)

労働の対価などで得られる収入で人々は日々の生活を充足させ、さらに将来やリスクに備え蓄財をしていく。単身世帯のお金の実情を総務省統計局が2021年5月までに発表した全国家計構造調査(※)の結果から検証する。

最初に示すのは全体、そして男女のみで区分した、現在の貯蓄額と年収。今件における貯蓄額とは預貯金に加え生保・損保の掛け金(払込総額)、株式や投信などの有価証券(時価換算。債券は額面)を意味する。なお同居しているが別世帯勘定の世帯の各種貯蓄、現金のまま保有しているたんす預金、知人などへの貸金、公的年金などの掛け金、手持ちの現金は貯蓄とは見なさない。

↑ 貯蓄額と年収(単身世帯、男女別、万円)(2019年)
↑ 貯蓄額と年収(単身世帯、男女別、万円)(2019年)

若年層から高齢層まで、会社役員から無職まですべて合わせ、全体の年収は平均341.7万円。貯蓄残高は967.9万円。男女別では女性より男性の方が貯蓄高が大きく、年収も男性の方が上となる。貯蓄高は後述で具体的に示すが、おおよそ高齢層が平均を底上げする形となっている。

続いてこれを男女別、年齢階層別に区分して各値を算出したのが次のグラフ。左右ともに縦軸の区分は男女共通にしてある。

↑ 貯蓄額と年収(単身世帯、男性、年齢階層別、万円)(2019年)
↑ 貯蓄額と年収(単身世帯、男性、年齢階層別、万円)(2019年)

↑ 貯蓄額と年収(単身世帯、女性、年齢階層別、万円)(2019年)
↑ 貯蓄額と年収(単身世帯、女性、年齢階層別、万円)(2019年)

年収は概して男性の方が高い。ところが貯蓄額を見ると、40代までは男女であまり大きな違いは出ていない。年収は女性の方が低いので、当然貯蓄年収比は、40代までは女性の方が上になる。50代以降でも貯蓄年収比において男女差は大きな違いはなく、60代は再び女性の方が上になる。

男女を問わず60代以降になると正社員としての就労が難しいことから、年収は50代と比べて大きく減少するが、住宅ローンの完済派も増え、退職金で貯蓄が大きくふくらむ人も多々出てくる。60代以降は年金とこれまでの貯蓄の取り崩しで生活を立てる人も増加するため貯蓄額は減るが(60代そのものは退職金で上乗せ派が多いため、年齢区分では最大値を示す)、年収は60代よりやや落ちる程度なことから、貯蓄年収比にも大きな変化は生じない次第ではある。

■関連記事:

【「手取りからもっと貯蓄を」単身世帯の方が高い貯蓄割合(最新)】

【貯蓄率減少は本当なの? 家計の貯蓄率(最新)】

※全国家計構造調査

家計における消費、所得、資産および負債の実態を総合的に把握し、世帯の所得分布および消費の水準、構造などを全国的および地域別に明らかにすることを目的としている。調査間隔は5年おきで、直近となる2019年は10月から11月にかけて実施されている。対象世帯数は全国から無作為に選定した約9万世帯。調査票は調査員から渡され、その回答は調査票に記述・調査員に提出か、電子調査票でオンライン回答をするか、郵送提出か、調査票ごとに調査世帯が選択できるようになっている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

不破雷蔵の最近の記事