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8月のアイスクリーム支出額、みんなはいくら? ジェラートの日にちなみデータを大検証

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ アイスクリームはどれほど出荷され、いつ食べられているのか。その深部を大検証。(写真:PantherMedia/イメージマート)

8月27日は映画「ローマの休日」が公開された1953年8月27日にちなみ、ジェラートの日と定められている。「ローマの休日」ではオードリー・ヘプバーンが演じるアン王女が、スペイン広場の階段で食したジェラートが印象的で、それに基づいたものであるとのこと。今回はこの記念日にちなみ、総務省統計局の調査「家計調査」でジェラートにほぼ一致する「アイスクリーム・シャーベット」など、多様な数字的な動向を確認し、アイスクリームのあれこれを学んでいくことにする。

主に用いるデータは総務省統計局の家計調査からのもの。対象とする品目はアイスクリーム・シャーベットだが、言葉の定義としては次の通りとなる。

アイスクリーム・シャーベット…氷菓子も含む。アイスキャンディー、ソフトクリーム、アイスケーキ

ジェラートは元々イタリア語の「凍った」を意味する氷菓を指し、アイスクリームと比べると空気含有量が少ないため高密度な味わいなのが特徴。しかしながら家計調査など一般の調査ではジェラートのみを対象としたものはほとんど見当たらないため、今回は家計調査の品目ではアイスクリーム・シャーベットを精査対象とする。

まずはアイスクリームの出荷金額。こちらは経済産業省の工業統計調査の結果を用いている。またシャーベットは含まず、アイスクリームのみである。さらにこのアイスクリームには乳製品以外は含まれていない。

↑ アイスクリームの出荷金額(億円)
↑ アイスクリームの出荷金額(億円)

値を取得可能な最古の1999年では2138.3億円。それ以降、ほぼ右肩上がりで出荷金額は増えていき、最新値となる2018年では4398.3億円。前年比はプラス11.7%と1割以上の増加。2018年の出荷金額が大幅に増えたのは、記録的猛暑となったからだろう。もっとも2018年以降毎年のように記録を塗り替える形で猛暑が続いており、2019年以降も出荷金額は大きく増加するものと思われる。

続いて月単位でのアイスクリーム・シャーベットへの支出金額動向。家計調査で月単位のデータが取得できるのは二人以上世帯のみなので、二人以上世帯の動向を確認する。1年分丸ごと確認できる最新分となる2020年の動向は次の通り。また、取得可能なもっとも古いものとなる2002年の値を併記し、月ごとの支出金額がどのような変化を示したのか、増減率のグラフも作ってみる。

↑ アイスクリーム・シャーベットへの支出金額(二人以上世帯、月額、円)
↑ アイスクリーム・シャーベットへの支出金額(二人以上世帯、月額、円)

↑ アイスクリーム・シャーベットへの支出金額(二人以上世帯、月額、2002年から2020年への増減率)
↑ アイスクリーム・シャーベットへの支出金額(二人以上世帯、月額、2002年から2020年への増減率)

最近は冬にもアイスクリームなどを食べることが当たり前となり、むしろ通好みとの話もあるが、やはり夏の支出金額はけた違い。2020年では8月がもっともアイスクリーム・シャーベットへの支出金額が大きく、1658円。もっとも小さい2月の482円と比べると3倍以上の金額となっている。

2002年の支出金額と2020年のを比較すると、すべての月で2020年の方が大きな値となっている。特に増加率が大きいのは11月のプラス86.6%、9月のプラス68.0%、5月のプラス64.8%、2月のプラス62.8%。11月のプラス86.6%や7月のプラス4.6%だけを見ると「夏場にアイスクリームなどを食べるのは昔も今も変わらないが、冬場もよく食べるようになった」とも言えなくもないが、9月や5月、2月にも大きく値が増えていることから、「冬場もよく食べるようになった」との断言は難しい。

それではアイスクリーム・シャーベットへの支出金額は昔も今も変わりないものだったのだろうか。家計調査の総世帯で継続する形でのデータが取得できる2002年以降の動向を確認したのが次のグラフ。

↑ アイスクリーム・シャーベットへの支出金額(総世帯、年額、円)
↑ アイスクリーム・シャーベットへの支出金額(総世帯、年額、円)

生産量はおおよそ漸増していることもあり、世帯ベースでの支出金額は増加傾向にある。もっともこれは商品単価が上昇しているのも一因だろう。直近年となる2020年は記録のある限りでは最高額となる8023円を示している。

次にアイスクリーム・シャーベットへの支出金額の地域別動向。こちらは家計調査の総世帯の値を基に勘案している。

↑ 年間アイスクリーム・シャーベット支出金額トップ10(総世帯、都道府県別、円)(2020年)
↑ 年間アイスクリーム・シャーベット支出金額トップ10(総世帯、都道府県別、円)(2020年)

↑ アイスクリーム・シャーベットの年間支出金額(総世帯、都道府県別、円)(2020年)
↑ アイスクリーム・シャーベットの年間支出金額(総世帯、都道府県別、円)(2020年)

↑ 年間アイスクリーム・シャーベット支出金額(総世帯、都道府県別、円)(2020年)
↑ 年間アイスクリーム・シャーベット支出金額(総世帯、都道府県別、円)(2020年)

アイスクリーム・シャーベット支出金額のトップは埼玉県の9853円、次いで石川県の9821円、群馬県の9547円。ちなみに最低金額は兵庫県の5471円。トップの埼玉県と比較すると半分強でしかない。

地図化・棒グラフ化の限りでは傾向だったものは見出しにくい。あえて言えば関東から中部地方が高いというぐらいだろうか。

技術進歩による多様化、流通機構の進歩、そして容易に購入できる場となるコンビニやスーパーの大規模展開で、ジェラートなりアイスクリームなりは身近な食品となっている。自宅の冷凍庫を開ければ保存してあるアイスクリームをいくつ見つけることができるだろうか。

ここ数年は毎年のように最高気温を更新するような猛暑が続いている。アイスクリームの市場拡大もさらに進むことだろう。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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