Yahoo!ニュース

サラリーマンのお酒は外飲み21.6%、家飲み49.3%…会社員の「仕事後の一杯」の実情

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 仕事帰りに居酒屋で一杯。楽しいひとときではあるが(写真:アフロ)

男性会社員は2割強が外飲み、家飲みは半数近く

会社員にとって昼食時間とともに数少ない憩いの時間が「居酒屋などでの飲み」。ちょっとした料理の味を楽しみながら、日頃の疲れをお酒でいやす、息抜きとして多くの人が堪能している。一方、最近ではお酒や料理を自宅で用意し、居酒屋的な気分を自宅で味わう「家飲み」も注目されるようになった。今回は新生銀行の定点観測的調査報告書「サラリーマンのお小遣い調査」(※)の最新版をもとに、経験している人は多いものの、全体的な状況は把握しにくい、会社員の飲み事情を確認する。

まずは仕事が終わった後の息抜き、娯楽としてのお酒の飲み傾向について。居酒屋などでの外飲みをするか、外飲みはしないが家飲みをするか、そもそもお酒は飲まないか、この3つの選択肢から1つを選んでもらっている(外飲み・家飲みの双方のパターンの人もいることが考えられるが、その場合は多い方を選んでもらっているとの認識でよい)。全体としては男性は21.6%が外飲み・49.3%が家飲み・29.2%がお酒を飲まない、女性は17.7%が外飲み、44.4%が家飲み、37.9%がお酒を飲まないとの結果に落ち着いた。

↑ 仕事が終わった後のお酒の飲み傾向(会社員、男性、年齢階層別)(2021年)
↑ 仕事が終わった後のお酒の飲み傾向(会社員、男性、年齢階層別)(2021年)

↑ 仕事が終わった後のお酒の飲み傾向(会社員、女性、年齢階層別)(2021年)
↑ 仕事が終わった後のお酒の飲み傾向(会社員、女性、年齢階層別)(2021年)

男性は年齢階層別では大きな差異は無く、傾向の類も見受けられない。30代がやや外飲みが多い、年が上になるに連れて家飲みが多くなるというぐらいだろうか。金銭的な問題や家庭でのコミュニケーションを大切にする傾向があるのかもしれない。

女性はおおよそだが若年層ほど外飲みが多くなる傾向がある。同時に年が上になるに連れて家飲みが増えてくる(40代では大きく減るが、飲まない人が多いため)。外飲みが年上ほど減るのは金銭的問題に加え、未既婚の違いが影響しているものと考えられる。会社員であっても既婚の女性が外飲みをすることに、懸念を示す配偶者も少なからずいるのだろう。

外飲みの回数と金額と

今調査では外飲みをしている人に限り、その回数の集計も行っている。実際に外飲みをしている人には自分との差異をチェックし、多いか少ないか、比較のための参考値となるだろう。

↑ 仕事が終わった後に1か月平均で何回ぐらい外でお酒を飲みに行くか(外に飲みに行く人限定、男女別・年齢階層別、回)(2021年)
↑ 仕事が終わった後に1か月平均で何回ぐらい外でお酒を飲みに行くか(外に飲みに行く人限定、男女別・年齢階層別、回)(2021年)

男性は30代では多いぐらいで特段傾向だったものはない。女性も男性同様に30代がもっとも多く、全体的な傾向の類を見い出すことができない。30代で多いのは、金銭的にも周辺環境的にも余裕ができるからだろうか。40代と50代で回数が少なめになるのは、上でも触れているが既婚者の外飲みを配偶者が嫌うからかもしれない。未既婚別の動向が分かればよいのだが、残念ながら未公開。

飲み代に関しては外飲みは男性は40代で低めだがおおよそ変わりはなし、家飲みは逆に40代がもっとも高くそれ以外は2000円台。法則性の類は見られない。一方女性は外飲みでは30代がもっとも高く、それ以外は5000円前後。家飲みは2000円前後でこちらも法則性の類は無し。元々対象者数が少ない(例えば女性の30代外飲みは31人のみ)ため、ばらつきが生じてしまうのだろう。

↑ 飲む人の1回あたりの平均飲み代(男性、年齢階層別・種類別、円)(2021年)
↑ 飲む人の1回あたりの平均飲み代(男性、年齢階層別・種類別、円)(2021年)

↑ 飲む人の1回あたりの平均飲み代(女性、年齢階層別・種類別、円)(2021年)
↑ 飲む人の1回あたりの平均飲み代(女性、年齢階層別・種類別、円)(2021年)

年齢階層別で差異はあるが、男女を問わず家飲みは外飲みの半分から1/3程度で済むことになる。居酒屋などの料理、雰囲気を楽しみたいのなら話は別だが、純粋にお酒や小料理を堪能し、一息つきたいだけなら、家飲みを選択する人が増えるのも道理ではある。単身者でもコンビニでお酒のつまみは自在に選ぶこともできる、便利な時代となっているのも、家飲みを後押ししているのだろう。もっとも昨今に限れば、新型コロナウイルスの流行による、感染リスクを避けるための家飲みシフトの可能性もあるのだが。

■関連記事:

【価格か料理の美味さか、男女で異なる「仕事の後の一杯」の場所選び(2014年)】

【お酒の効用、家と外ではまったく別物!?】

※サラリーマンのお小遣い調査

直近年分となる2021年分は2021年4月16日から19日にインターネット経由で行われたもので、有効回答数は2718人。男女会社員(正社員・契約社員・派遣社員)に加え、男女パート・アルバイト就業者も含む。公開資料では多くを占める会社員は男性1252人・女性842人。年齢階層別構成比は20代から50代まで10歳区切りでほぼ均等割り当て(実社員数を基にしたウェイトバックはかけられていないので、全体値では社会の実情と比べて偏りを示している場合がある)。未婚・既婚比は男性が40.2対59.8、女性は59.5対40.5。今調査は1979年からほぼ定点観測的に行われているが、毎年同じ人物を調査しているわけではないことに注意。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

不破雷蔵の最近の記事