日本が開発途上国などに行っている資金協力や技術協力などの開発協力による支援はなぜ必要だと考えられているのか。国民の意思を内閣府の「外交に関する世論調査」(※)から確認する。

日本も含め先進国は開発途上国に対し、資金協力や技術協力などの開発協力を行っている。今件調査ではかつて「ODA」(Official Development Assistance(政府開発援助))との表現を用い、政府あるいは政府の実施機関により、開発途上国や国際機関に供与・貸与される、資金や技術提供による協力行為のことを対象としていたが、2014年調査分からは有償資金協力や技術協力も併せた、より広義な支援を意味する「開発協力」の表現が用いられている。

とはいえ目的はODAと何ら変わるところはない。外務省の解説によると、ODAは国際社会での重要な責務であり、日本の信頼をつちかい、存在感を高めることに資する役割を果たしている。また開発途上国の安定・発展化に寄与することで、国際平和に依拠し、資源・食料を海外に依存する日本にはプラスとなるとも解説している。

この開発協力について、どのような観点から意義がある、実施すべきであると考えているかを聞いたところ、「災害や感染症など世界的な課題に対して各国が協力して助け合う必要があるから」とする意見がもっとも多く、58.9%に達していた。グラフの空欄はその年では該当の選択肢が無かったことを意味する。

↑ 政府による開発協力を実施すべき観点(複数回答)
↑ 政府による開発協力を実施すべき観点(複数回答)

トップとなる「災害や感染症など世界的な課題に対して各国が協力して助け合う必要があるから」は前回年の46.3%から大きく値を増やしている。同意する人が急激に増えたのは、新型コロナウイルスの世界的流行による危機的状況が大きく影響しているのだろう。

続く項目は「エネルギー資源などの安定供給の確保に資するから」。日本は石油、ガス、石炭などエネルギー資源の大部分を海外に依存しており、諸外国の情勢不安定化はそれらの資源の供給が不安定化することにもつながる(前世紀のオイルショックが好例)。この項目への回答者が多いのも納得できる話ではある。

また同じ値で「国際社会での日本への信頼を高める必要があるから」がついているが、こちらも少なからず新型コロナウイルスの世界的流行というイレギュラーな要素が影響したものと思われる。信頼が無ければ外交交渉も経済的な協力関係も資源の買い入れもスムーズには進まない。海外とのさまざまな関係の維持強化のための基盤が信頼であり、それを高めるのは有意義であるに違いない。

経年推移で見ると直近年でいくつかの項目が大きく増加している。これは新型コロナウイルスの世界的流行という特異な状況が生じ、考慮すべき要素に大きな変化が生じた結果だと思われる。

直近年分につき年齢階層別に見ると、複数の選択肢で高齢者が高い値を示す傾向が見受けられる。

↑ 政府による開発協力を実施すべき観点(複数回答、年齢階層別)(2020年)
↑ 政府による開発協力を実施すべき観点(複数回答、年齢階層別)(2020年)

若年層は関心度が低いこともあり、複数の項目で18~29歳の値が他の年齢階層と比べて低め。ただし「災害や感染症など世界的な課題に対して各国が協力して助け合う必要があるから」では高い値を示している。新型コロナウイルスの世界的流行に対する危機感を強く感じ取っているからこその反応と考えることができる。

他方高齢層では複数の項目で高い値が出ている。国際社会における日本の立ち位置について、低い評価を受けること、日本企業や自治体の展開の現状に不安を抱いている感はある。この数年、海外における日本企業の入札事案が他国、特に中国に競り負ける報道が相次いでいることから、それを受けての反応だろう。直近年に限れば、新型コロナウイルスのワクチン開発・生産に関する日本の立ち位置の弱さも影響しているのかもしれない。

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※外交に関する世論調査

2020年10月22日から12月6日にかけて、全国18歳以上の日本国籍を有する人の中から層化2段無作為抽出法によって選ばれた人に対し、郵送法によって行われたもので、有効回答数は1865人。男女比は909対956、年齢階層別構成比は10代27人・20代186人・30代216人・40代337人・50代312人・60代319人・70歳以上468人。

調査方法について2019年調査までは調査員による個別面接聴取法が用いられていたが、2020年調査では新型コロナウイルス流行という特殊事情により、郵送法が用いられている。調査方法の変更で一部設問の選択肢や回答傾向に違いが生じていることに注意が必要となる(「分からない」が無くなり回答がなかった結果分が「無回答」になっている、回答の意思が明確化されたために一部設問で「無回答」の値が2019年調査結果と比べて有意に少なくなっているなど)。

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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

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