自転車乗車中の交通事故死者数の詳細をさぐる(2021年公開版)

↑ 自転車による事故。死に至る場合も。(写真:アフロ)

自転車事故死者数は漸減中

自転車への注目が高まる昨今だが、同時に自転車による交通事故も増加するのではとの懸念もある。警察庁の報告書「令和2年における交通事故の発生状況などについて」を基に、自転車乗車中の交通事故死者数の実情を確認する。

まずはデータが取得可能、あるいは過去の報告書から参照できる2005年以降における、自転車乗車中の死者数推移(対自動車によるものが多いが、対歩行者・対二輪車・自転車相互・自転車単独までも含めた合計値)。直近年となる2020年分は、該当者の年齢階層別の状況も別途グラフ化する。

↑ 自転車乗車中の交通事故死者数
↑ 自転車乗車中の交通事故死者数

↑ 自転車乗車中の交通事故死者数(年齢階層別)(2020年)
↑ 自転車乗車中の交通事故死者数(年齢階層別)(2020年)

2005年以降は緩やかながらも確実に減少傾向にあった自転車乗車中の死者数。日本の総人口は漸減しているが、その減り方を大きく上回る形での減少傾向で、明らかに交通法規の順守浸透度合いの改善、啓蒙や規制の強化、さらには医療技術の進歩など、各方面の状況改善による結果が出ていると判断できる。

直近年の傾向を見れば分かる通り、自転車乗車中による交通事故死者数もまた、他の状況下におけるものと同様、高齢者が対象となるケースが多い。年齢階層別で見ると50代から増加の動きがあるが、60代後半から大きく増加しているのが分かる。老化による運転不注意が生じやすくなるのに加え、この年齢階層の人口そのものが増加している、さらに定年退職を迎え自転車に乗る機会が増えているのが要因と考えられる。

高齢層は減り方がゆるやか

それではこれを大まかな年齢区分、具体的には未成年(19歳以下)・成年(20~64歳)・高齢層(65歳以上)に区分し、その動向を確認する。人数そのものの推移に加え、各年の全体に占める比率の推移も精査する。

↑ 自転車乗車中の交通事故死者数(積み上げグラフ、主要年齢階層区分別、人)
↑ 自転車乗車中の交通事故死者数(積み上げグラフ、主要年齢階層区分別、人)

↑ 自転車乗車中の交通事故死者数(主要年齢階層区分別、比率)
↑ 自転車乗車中の交通事故死者数(主要年齢階層区分別、比率)

高齢層はもみあいを見せながらも比率の上では増加傾向にある。つまり高齢層の人数そのものが増えていることもあり、他の年齢層と比べて死者数の減少率が小さく、結果として死者数全体における比率が増加した形である。2011年を最後に6割を切ることはない。それどころか直近年の2020年でははじめて7割に届いてしまった。

一方未成年や成年は人数、比率ともに漸減傾向にある。ただし成年は2010年以降は30%を行き来し、横ばいの気配も見せている。

取得可能な最古となる2005年と、直近の2020年の人数を比較すると、未成年者では71%、成年では62%もの減少が見られるが、高齢層では43%の減少に留まっている。各年総数に占める比率が昔と比べ、高齢層において増加してしまうのも仕方が無い。

これらは死者数の絶対値の動向だが、次に示すのは各年齢階層における人口10万人あたりの該当数。この数が大きいほど、その年齢階層で自転車乗車中に命を落とす人の割合が高いことになる。例えば20代前半の2020年における値は0.14とあるので、20代前半の人が10万人いると、そのうち0.14人が2020年に自転車乗車中に亡くなったことになる。

↑ 自転車乗車中の交通事故死者数(各年齢階層人口10万人あたり、年齢階層別)(2005年と2020年)
↑ 自転車乗車中の交通事故死者数(各年齢階層人口10万人あたり、年齢階層別)(2005年と2020年)

現時点で値が取得可能な最古のものとなる2005年の分を併記したが、未成年者ではおおよそ大きく減少し、環境の整備や啓蒙などが進んでいることがうかがえる。また高齢層も割合としては大きく減っているが、元々の値が大きいことから、減った上でも成年や未成年と比べると大きいのには違いない。

そして高齢層の人数そのものが増加しているのはご承知の通り。従って対10万人比で減少する、環境整備や啓蒙が浸透し、医療技術が発展しても、絶対数そのものの減少度合いがゆるやかなまま、そしてさらには横ばいとなってしまう次第ではある。

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