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世界各国での情報取得のためのソーシャルメディアの使われ度合いをさぐる(2017~2020年分)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 情報取得のためにソーシャルメディアを使っている人はどれぐらいいるのか。(写真:アフロ)

コミュニケーションツールとして人々の間に普及しているソーシャルメディア。情報取得のツールとしてはどこまで認識されているのか。国別の違いを、世界規模で国単位の価値観を定点観測している「World Values Survey(世界価値観調査)」(※)の公開結果から確認する。

次に示すのはソーシャルメディアを用いて国内外の情報を取得しているか否かの割合。「用いる」であり、サービス入会・アカウント取得をしているか否かは問われていない。利用頻度の観点から「毎日」「週一」「月一」「月一未満」「全然用いない」「分からない」のいずれか一つを選んでもらうことになる(結果として「無回答」もありうる)。その上で、一定程度以上の利用頻度に該当する(定期利用)ものとして「毎日」と「週一」を足し、ほとんど使わないに値するものとして「月一未満」と「全然用いない」を加算し、それぞれの該当率とする。

ソーシャルメディアの定義について設問では「Facebook、Twitter、etc.」との説明があるためFacebookとTwitterは確実に該当する。それ以外にも回答者自身がソーシャルメディアと認識できるサービスすべてが当てはまるとみてよいだろう(日本ならばLINEも多分に含まれる)。

↑ 国内外の情報を取得する際にソーシャルメディアを週一以上で使っている(2017~2020年)
↑ 国内外の情報を取得する際にソーシャルメディアを週一以上で使っている(2017~2020年)

↑ 国内外の情報を取得する際にソーシャルメディアを使うことは月一未満である(2017~2020年)
↑ 国内外の情報を取得する際にソーシャルメディアを使うことは月一未満である(2017~2020年)

ソーシャルメディアを実質的に定期利用している国としてもっとも高い値を示したのはトルコ。76.7%の人が該当している。次いでイラン、コロンビア、香港、中国、イラク、タイ、アメリカ合衆国。ここまでが6割超え。特にトルコでは3/4超の値を示しており、同国の色々な事情(特にインターネット上の情報に対する規制関連)が透けて見えてくる。

日本では36.1%。ソーシャルメディアを使っている人そのものが他国と比べれば少ないこと、ソーシャルメディアを情報取得ツールとして認識していない・利用していない人が多分にいることが、値の低さを示す結果を導いているといえよう。もっとも韓国も37.5%と日本同様に低い値なのは意外ではある。コミュニケーションツールとしての認識・利用が強いのかもしれない。

当然、月一未満の人の値は定期利用者の値の序列とは真逆のような形となる。もっとも高い値はエジプトの63.1%、ドイツの62.4%、ロシアの59.1%、そして日本の58.6%。トルコでは18.7%に留まっている。

今件はあくまでも「情報取得の手段としてソーシャルメディアを使うか」との問いであり、回答者が単なるコミュニケーションを情報手段とは認識していなければ、たとえソーシャルメディアを多用していても該当しないと回答することになる。その意味では、今件の結果はソーシャルメディアそのものの利用状況を意味しない。

とはいえ、ソーシャルメディア普及の実情の一面を知る上では、貴重な結果には違いない。

■関連記事:

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【ソーシャルメディアでの情報発信によるトラブル経験、その国際比較をグラフ化してみる(最新)】

※World Values Survey(世界価値観調査)

世界100か国以上が参加して実施している国際的プロジェクト「世界価値観調査」によるもの。各国・地域毎に全国の18歳以上85歳以下の男女1000サンプル程度(実際には1000~2000人程度)の回収を基本とした個人対象の意識調査。調査そのものはおおよそ5年おきに実施されているが、調査期間によって一時的に対象外となる国も少なくない。また現時点では集計が完全には終わっておらず、値が掲載されていない国もある。直近の調査結果は2017年から2020年にかけて行われたものだが、記事執筆時点で項目によって調査結果が掲載されていない国が複数確認できる(最終的な報告書は2021年秋に発表予定)。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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