新型コロナウイルスの流行で高卒以上の子供の進路にいかなる影響が生じたかをさぐる(2020年公開版)
新型コロナウイルスの流行は大学などに通う子供達にどのような影響をおよぼしたのだろうか。日本政策金融公庫が2020年10月に発表した教育費に関する調査(※)の結果から確認する。
次に示すのは調査対象母集団のうち子供が高校卒業以降、つまり実質的には各種専門学校や短大、大学に在学中の保護者に対し、新型コロナウイルスの流行によって自分の子供の進路などに影響があったか否かを尋ねた結果。13.7%の人が何らかの形で影響があったと回答している。
あくまでも子供が大学などに在学中の保護者に限定されるが、1割強の人が新型コロナウイルスの影響で子供の進路などに影響があったとしている。1割強に過ぎないのか、1割強もいるのか、判断が難しいところ。
具体的にどのような影響があったのか、影響があった人に複数回答で尋ねたところ、もっとも多くの人が該当したのは「海外留学をあきらめた・退学や休学をした」で28.7%に達した。
経済的困窮化によるものか、渡航禁止によるものか、それとも政情不安定化によるものかまでは明らかにされていないが、ほとんどは往来ができなくなったことによるものだろう。海外留学を予定していたとしても、流行が沈静化して海外渡航が容易になるのは先の話だと判断し、あきらめるというケースもあるものと考えられる。
次いで多いのは「自宅通学に変更した」で24.4%。学生寮や下宿住まいを止めて自宅から通学することにしたのは、やはり経済的困窮化によるものか(自宅通いより下宿住まいの方が費用はかかる)、それとも下宿先での感染リスクを懸念してのものか。通学時間が長くなるとなれば、それだけ感染リスクも上乗せされるという考え方もあるのだが。
次いで「学校を変更した」が14.6%。これも経済的困窮化、通学における感染リスクなど複数の理由が考えられる。新型コロナウイルスの流行のせいで本来行きたかった大学などを進路として選べなくなるのは、子供本人にしてみれば無念に違いない。さらに「進学をあきらめた・退学や休学をした」も8.7%確認できる。
ちなみに子供が大学などに在学中の保護者全体比を算出すると次の通りとなる。
大学などに在学中の保護者のうち4%近くが自分の子供の進路などについて「海外留学をあきらめた・退学や休学をした」、3.3%が「自宅通学に変更した」、2.0%が「学校を変更した」となる。やはり小さからぬ影響があったに違いないことが分かる数字ではある。
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※教育費に関する調査
直近年分となる2020年分は、2020年9月7日から14日にかけて64歳以下の男女で高校以上に在学中である子供を持つ保護者に対し、インターネット経由で行われたもので、有効回答数は4700人。各都道府県別で100人ずつ。
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