紙巻たばこの販売実績をさぐる(2020年度第2四半期まで)
喫煙忌避の動きが強まる中で、紙巻たばこはどれほど売れているのか。日本たばこ協会の公開情報を基に、その実情を確認する。
日本たばこ協会が2020年11月に発表した2020年度第2四半期(2020年7~9月、2020年度Q2)の紙巻たばこの販売実績報告書によれば、2020年第2四半期の紙巻たばこの販売実績は294億本となり、前年同期ではマイナス9.0%となった。販売代金はマイナス6.6%の7083億円を示している。
今四半期においては販売本数は前年同期比マイナス9.0%、販売代金は前年同期比マイナス6.6%。減少幅がやや小さめとなっているが、これは2020年10月に実施されたたばこ税引き上げに伴うたばこの大幅値上げを前にした、2020年9月に生じた駆け込み需要によるものと考えられる。前年同月には消費税率引き上げに伴うたばこの値上げが生じているものの、2020年10月の値上げ幅の方がはるかに大きく、その分駆け込み需要も大きくなったものと考えられる(例えばメビウスの場合2019年10月の値上げでは480円から490円と10円の上げ幅に留まっているが、2020年10月の値上げでは490円から540円と50円もの上げ幅となっている)。
なお前四半期から紙巻たばこ以外にリトルシガー(たばこの葉を巻紙で巻いたたばこ。たばこ税法上は葉巻たばこに分類されるため、紙巻たばこと比べて安価で提供される)と加熱式たばこ(販売数量は1箱20本換算)の販売本数・販売代金も公開されるようになった。それによるとリトルシガーは37億本・629億円、加熱式たばこは114億本・2854億円となっている。リトルシガーはともかく、加熱式たばこは現状ですでに相当のシェアを確保していることが確認できる。
たばこは物価上昇や市場、その他各方面からの要請(例えば価格引き上げにより間接的なたばこ離れを誘うべきとの健康面での意見)に伴い、何度となく値上げされてきた。特にたばこ税の引き上げによるところが多い。
たばこ税は2021年10月からも引き上げが決まっており、これに伴いたばこの価格も同じタイミングで引き上げられるものと考えられる。たばこの販売本数はさらに減少していくだろう。
今後も価格動向とともに、販売本数・販売代金の動きについて注意深く見守りたい。
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