外食はどこまで利用されているのだろうか(2020年10月発表版)
外食は食生活の向上に貢献しているのはもちろん、食の準備のアウトソーシングとも表現できる。現在どこまで浸透しているのだろうか。今回は厚生労働省が2020年10月に発表した「令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要」(※)の内容から、その実情を確認する。
次に示すのは外食(飲食店での食事)を日常生活においてどの程度利用しているかを尋ねたもの。回答者は20歳以上の成人で、婚姻の有無、就業中か否か、世帯構成などは問われていない。成人全体としての、あるいは各年齢階層それぞれの全体的な値であることに注意。実際には就業状態などで外食の利用頻度は大きな違いを見せるのは言うまでもない。
毎日2回以上、実質的に食生活の過半数を外食に頼っている人はごく少数だが多くの年齢階層に存在する。毎日1回、例えば土日も合わせた就業者の昼食や朝食といったケースでの利用は男性の就業年齢階層では多めで5%前後、女性は1~2%台に限定される。平日のお昼時における利用と思われる週4~6回の回答率も合算すると、就業しているか否かで外食利用の頻度に大きな違いが出ることが分かる。
実際、多分が定年退職を迎える60代以降になると、男性でも外食の利用頻度は急激に下がる。他方、男性の20~30代が高いのは、独身回答者が多く、配偶者が調理したお弁当を持参しての昼食の機会がないからだろう。
一般的な調査では把握がしにくい高齢層の外食事情を見ると、男性の方が利用度合いは高い。60代でも週1以上で利用している人は4割に近いが、女性は2割強。毎日外食を利用する人もゼロではなく、確実に存在している。
各項目の回答値の中央値を用い(「毎日2回以上」は週16回利用と設定)、平均利用回数を算出した結果が次のグラフ。外食を利用しない人も合わせた平均値と、外食を利用する人のみにおける平均値を併記している。
全般的に男性の方が利用回数は多いことが分かる。他方、利用する人に限定すると、40~60代の利用回数が多めなこと、女性は年齢による回数の差異がさほどない(20代が少々多いかな、という程度)など、興味深い結果が見受けられる。女性の場合は単に食事をするだけでなく、例えば知人を誘った上での懇談会的なものも兼ねているのかもしれない。
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※国民健康・栄養調査
健康増進法に基づき、国民の身体の状況、栄養素など摂取量および生活習慣の状況を明らかにし、国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基礎資料を得ることを目的とするもの。調査時期は2019年11月中。今回調査分では調査実施世帯数は2836世帯で、調査方法は調査票方式。
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