今でも60代は紙の新聞をニュース系テキストメディアで一番読んでいる(2020年公開版)

↑ ニュースを取得するスタイルは人それぞれ。その実情は。(写真:ペイレスイメージズ/アフロイメージマート)

ポータル提供のニュースが一番読まれている

速報性や拡散性、画像や音声、動画などのマルチメディア性、蓄積と検索、リンクによる過去データの検証の容易さなど、インターネットはニュースを配信するのにプラスとなる特徴を多数持っている。これを受けて法人の新聞社やポータルサイト、さらには個人の情報発信者に至るまで、多様な立ち位置から、インターネット上にニュース・情報が提供されている。紙媒体としての新聞と、これらインターネット上のニュース系情報サイト・サービスは、どのような利用状況にあるのだろうか。総務省が2020年9月に情報通信政策研究所の調査結果として公式サイトで発表した「令和元年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(※)の公開値を基に、その実情を探る。

今件では新聞やニュースサイトなど、ニュースを読んでいるテキスト系媒体の利用状況を尋ねている。紙の新聞以外に新聞社が提供する有料サイト(日経新聞電子版など)、同無料サイト(YOMIURI ONLINEなど)、ポータルサイトが提供しているニュース配信サービス(Yahoo!ニュースなど)、ソーシャルメディアが提供しているニュース配信サービス(LINE NEWSなど)、さらにはキュレーションサービス(スマートニュースなど)、そしてそれらのいずれの方法でも読んでいないの選択肢を提示し、複数回答で答えてもらった結果が次のグラフ。

↑ ニュースを読んでいるテキスト系媒体(複数回答、年齢階層別)(2019年)
↑ ニュースを読んでいるテキスト系媒体(複数回答、年齢階層別)(2019年)

全体ではポータルサイトによるニュース配信利用率がもっとも高く67.1%、次いで紙媒体の新聞が49.2%。紙媒体の新聞がトップではなかったのは、今調査では2016年分以降4年連続。さらにソーシャルメディアによるニュース配信が続く。新聞各社が積極展開している新しいビジネスモデルこと、新聞社の有料サイトは利用率が2.7%に留まっている。

年齢階層別に見ると、紙媒体の新聞利用率が歳を重ねるに連れて上昇していくのは、他の多数の調査結果からも容易に想像ができた通り。60代では5人に4人が新聞を読んでいる。同時にインターネット経由のニュース利用が漸減しており、年齢とともに「インターネットから紙へ」が進んでいる状況が分かる。ただしピークは媒体によって異なり、例えばポータルサイトによるニュース配信では40代が、ソーシャルメディアによるニュース配信では10代がピークとなっている。新聞社の無料サイトはどの年齢階層でもさほど違いはないが、最高値をつけているのは50代。

有料無料を問わず、新聞社自身が提供するウェブ上のニュースよりも、それらを集約したポータルサイト提供のニュースやソーシャルメディア提供のニュース配信の方が需要が大きく、多数の人が利用している実情は皮肉な話。他サービスと一緒にまとめて利用できることや、多様なニュースの集約で幅広い情報を一括して確認できるメリットが好かれているのだろう。特定の出版社の発行本のみを集めた本屋より、さまざまな出版社発刊の本を集めたごく普通の本屋の方が需要が大きいのと同じではある。

一方、ソーシャルメディアでも付加価値施策の一環として展開を始めている、ポータルサイトと同様のニュース配信サービスの利用者は10代がピークで、6割台。年齢階層別の動きはソーシャルメディアを利用している人の数の割合にほぼ連動している。ポータルサイトによるニュース配信サービスでも一部行われているが、ソーシャルメディアを利用するのと同じ感覚で読めるよう、ダイジェストでの提供が多いため、他人との交流をするかのように目を通している人も多分にいるのだろう。要は知人とのやりとりも、ニュース媒体経由からの情報取得も、同じ情報の斜め読み的な感覚で接しているものと考えられる。

昨今では各種メディアが公式アカウントを取得し、ソーシャルメディア上でニュースのダイジェストと記事ページへの誘導を書きこむ事例が増えている。この手法は今調査の回答用紙では「新聞社自身がTwitterなどで提供するものは『新聞社提供の無料サイト』に該当」と説明されていることから、それを加算した上でも利用者はさほど多くない実情を見るに、そのような形でのニュース取得者もまた、少数派のようである。

多様な意味で注目を集めているキュレーションサービスだが、こちらは全体で16.9%と少なめ。ただし中年層でいくぶん利用率が高く、全年齢階層で新聞社による無料サイトを超えるほどの利用率を示している。

一番使っているのはどれだ?

これら新聞・ニュースサイトのうち、どれを一番使っているかを聞いた結果が次のグラフ。

↑ もっとも利用しているニュース・テキスト系媒体(2019年)
↑ もっとも利用しているニュース・テキスト系媒体(2019年)

全体ではポータルサイトによるニュース配信がトップで4割強、次いで紙の新聞が3割近く、ソーシャルメディアによるニュース配信が1割台後半、以上がトップ3。

年齢階層別動向では10代はソーシャルメディアによるニュース配信がトップで4割台、次いでポータルサイトによるニュース配信が1/4強で続く。20代以降はポータルサイトによるニュース配信のウェイトが高まり、ソーシャルメディアによるニュース配信は減少していく。20~40代はポータルサイトによるニュース配信が最大値を示すが、年齢とともに紙の新聞の値が増加し、50代ではポータルサイトによるニュース配信を超えて最大値となる。

トップの媒体のみを挙げると、10代はソーシャルメディアによるニュース配信、20~40代はポータルサイトによるニュース配信、50代以降は紙の新聞となる。新聞社の有料・無料サイトは「もっとも利用している」の選択としてはほとんどゼロ、誤差範囲でしかない。キュレーションサービスは数%程度。

新聞社自身のニュースサイトは有料版がほとんど使われず、無料サイトも利用率は想像以上に低い。やはりまとめて一度に確認ができるポータルサイトによるニュース配信、そして常用しているソーシャルメディアによるニュース配信の利便性に、多くの人が魅力を覚えているようだ。

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※令和元年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査

2020年1月14日から1月19日にかけて、全国125地点をランダムロケーションクォータサンプリング(調査地点を無作為に抽出、地点ごとにサンプル数を割り当て、該当地域で調査対象者を抽出する方法)によって抽出し、訪問留置調査方式により、13~69歳の1500サンプルを対象としたもの。アンケート調査と日記式調査を同時並行で実施し、後者は平日2日・休日1日で行われている。よってグラフの表記上は「10代」だが、厳密には13~19歳を意味する。

調査のタイミングにより一部調査結果においてイレギュラー的な動きが確認できるが、これについて報告書では「調査時期の違いによる影響や単年の一時的な傾向である可能性も否定できず、継続的な傾向の把握については今後の調査などの結果も踏まえる必要がある」と但し書きをしている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。