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世界のスマートスピーカーやAR・VRの市場規模実情をさぐる(2020年公開版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 未来のコンシェルジェ的な存在のスマートスピーカー。その市場動向は。(写真:アフロ)

新技術を用いた新しい商品として注目を集めているスマートスピーカーや、ARやVRと呼ばれる疑似現実技術による商品。その市場規模の実情を、総務省が2020年8月に公開した、2020年版となる最新の「情報通信白書」の内容から確認する。

最初に示すのは、世界のスマートスピーカーのスマートフォンの市場規模。2019年までが確定値で2020年以降は予想値。データの一次ソースはイギリスに本社を置く情報事業の多国籍企業Informa社となっている。今件はあくまでも市場規模≒出荷台数で、該当年に出荷された台数であり、その時点で利用されている台数ではないことに注意。

↑ 世界のスマートスピーカー市場規模(2020年以降は予想値、億台)
↑ 世界のスマートスピーカー市場規模(2020年以降は予想値、億台)

収録データは2016年以降のみだが、IT系企業の大手がこぞって展開を始めたのは2014年のアマゾンによる「Amazon Echo」がきっかけ。現在ではアマゾン以外にグーグル、アップル、マイクロソフト、ソニー、LINEなどがそれぞれ独自のスマートスピーカーを展開している。単純に利便性の提供だけでなく、利用者の生活の囲い込みをすることで多様なデータの取得、そして経済活動そのものを掌握できることから、期待は非常に大きなものと思われる。

2022年における予想値は年間2.2億台。2019年時点の1.0億台の2倍以上。あるいはこれすらも、まだ甘い予想かもしれない。

続いてARやVRと呼ばれる疑似現実技術関連市場。似ているようで別物だが、ざっと説明すると次の通り。

・AR…Augmented Reality(拡張現実)

現実世界の情報に仮想情報を加えて反映させていくもの。メインは現実世界の情報。「ポケモンGO」が好例。アニメではARの概念がよく分かるものとして「電脳コイル」が知られている。

・VR…Virtual Reality(仮想現実)

コンピューターなどを用いて疑似的な仮想空間を生成し、利用者がその空間に存在しているかのような体験をさせる技術。HMD(Head Mounted Display、ヘッドマウントディスプレイ)が使われることが多い。

ARとVRとではVRの方が利用者ベースでの利用ツールが多くなり支出額が大きくなる(ARは概して利用者がすでに持っている他のデジタルツールでの活用となる)。今件データではARとVRを合わせた市場として実測・予想している。

↑ 世界のAR/VR市場規模・VRヘッドセット出荷台数(2020年以降は予想値、億ドル・百万台)
↑ 世界のAR/VR市場規模・VRヘッドセット出荷台数(2020年以降は予想値、億ドル・百万台)

AR・VRともに大きく成長中で、今後もそのペースが継続することが予想されているのには違いない。

白書では「消費者向けのエンターテインメント向け以外でも、企業で利用が広がっており、例えば、不動産分野で物件を、旅行分野で旅先を疑似体験するもののほか、他の分野でも訓練や教育、3次元空間でのナビゲーションなどに活用されている」とし、単にエンターテインメント部門だけでなく実用部門でも実績をあげ、今後も領域を拡大していくことが期待できると記されている。

なおVRのゲームハードウェア販売台数が一時的に減少する傾向を示していることについて白書では「VRゲームに多数のベンダーが参入したものの、市場で淘汰が進んだことにより、2019年にかけて販売台数が減少する結果となった。ただし、2020年以降は販売台数の増加が見込まれている」と説明している。

インターネットやスマートフォンのように一定の普及率を示すことで、その普及を前提とした新たな企画や商品、サービスの参入も容易になり、それは市場の相乗効果的な広がりにつながっていく。市場規模の広がりとともに、どのような世界が展開されるのか、それもまた今後が楽しみな話ではある。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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