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テレビや新聞、インターネットなどのメディアとの接触時間の実情をさぐる(2020年公開版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 情報を伝達する多様なメディア。その利用時間の実情は。(写真:アフロ)

年齢階層別に大きな差異が見えるメディア接触時間

世の中には情報を伝える多様なメディアが存在する。それらに人々はどの程度の時間を費やしているのだろうか。博報堂DYメディアパートナーズのメディア環境研究所が2020年7月までに発表した「メディア定点調査2020」(※)の公開値から確認する。

テレビ、ラジオ、新聞、雑誌から構成される従来型4マスメディア、パソコンと携帯電話、さらにはタブレット型端末の利用まで含めたメディアの接触時間の総計は、 2020年では411.7分/日(週平均)との結果が出ている。昨年2019年が411.6分/日だから、わずかだが増加していることになる。

また年齢階層別・男女別では、20代男性がもっとも長く484.5分の値を示している。次いで長いのは30代男性で480.9分。女性に限れば60代女性がもっとも長く416.2分。

↑ メディア接触時間(1日あたり、週平均、年齢階層別・男女別、分)(2020年)
↑ メディア接触時間(1日あたり、週平均、年齢階層別・男女別、分)(2020年)
↑ メディア接触時間(1日あたり、週平均、前年比、年齢階層別・男女別、分)(2019年)
↑ メディア接触時間(1日あたり、週平均、前年比、年齢階層別・男女別、分)(2019年)

全般的には男女ともに傾向だったものは見出しにくいが、あえて言えば成人若年層と高齢層が長めというところ。男女とも40代が一番メディア接触時間が短くなっている。

また前年2019年分と比べると、男性では中年層、女性では若年層で減少が見られる。40代男性がもっとも短かったのは前年比で大きな減少が生じたのが原因だが、女性40代は前年比で増加したにもかかわらず、女性の中では一番短いとの結果が出てしまっている。

これを各メディア毎の時間配分で区分すると、多様な特徴が確認できる。

↑ メディア接触時間(1日あたり、週平均、年齢階層別・男女別、分)(2020年)
↑ メディア接触時間(1日あたり、週平均、年齢階層別・男女別、分)(2020年)

・男性は40代、女性は50代まで、タブレット型端末と携帯電話の接触時間の合計が長時間(100分超)。

・パソコンは同じ年齢階層なら女性より男性の方が長い。仕事での活用場面が多いのが原因と考えられる。

・テレビは男性が40代、女性では15~19歳がもっとも短い。男性は50代以降、女性は15~19歳以降、年齢が上になるに連れて増えていく。また同年齢階層ならテレビは男性よりも女性の方が長い。

・ラジオは男性では60代で、女性は40代でもっとも長い。余暇時間の利用対象としての聴取だろうか。男性中年層が長めなのはカーステレオによるものと考えられる。

・男女とも年齢が上になるに連れて、従来型4マス(テレビ・ラジオ・新聞・雑誌)の接触割合が増え、新メディア(パソコン、タブレット型端末、携帯電話)が減っていく。

・15~19歳から30代まで男女とも、さらに男性は40代に至るまで、タブレット型端末と携帯電話の合計がテレビの接触時間を上回っている。

・男性は15~19歳から50代まで、女性は15~19歳から30代でパソコン・タブレット型端末・携帯電話の合計(緑系統色の着色部分)がテレビを上回っている。

インターネットを用いる端末への接触時間が、特に若年層で長いこと、年が上になるに連れてテレビへの接触時間が伸びる傾向など、メディア系の調査結果ではお馴染みの、そして実体験からも容易に想像可能な、年齢階層間におけるメディア接触様式のギャップがあらためて認識できる結果ではある。

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※メディア定点調査2020

調査方法は郵送調査方式。調査期間は2020年1月23日から2月7日。東京・大阪・愛知の3地区を対象に RDD(Random Digit Dialing)方式で選ばれた15歳から69歳の男女個人に対し調査票が送付され、1932通が回収された。各値は2019年の住民基本台帳を基に年齢階層・男女でのウェイトバックが実施されている。また特記無き限り記事内のデータは基本的に東京地区のもの。

過去の調査では利用機器に2014年からタブレット型端末が追加されている。2013年までは(ノート)パソコンと同一視され回答にくわえられていた可能性もあるが、2014年以降は機器として独立項目が設けられたため、以前と比べてメディア接触時間の合計が上乗せされている可能性が高い(メディア接触時間が有意で増加している)。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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