年齢階層別のインターネット利用率をさぐる(2020年公開版)

↑ 高齢層でもインターネットを使いこなす人が増えている昨今だが。(写真:アフロ)

日常生活への浸透、機能拡大による利便性の向上などの変化を受け、インターネットの利用層は、老若男女を問わず拡大中。その実情を総務省が2020年5月に発表した「通信利用動向調査」(※)の公開値から確認する。

今回発表された最新版の「通信利用動向調査」によれば、2019年時点のインターネットの人口普及率(過去1年間にインターネットを一度でも利用したことがある人の率)は89.8%・利用者人口は1億815万人との値が出ている。

↑ インターネット利用者数および人口普及率(6歳以上の個人)
↑ インターネット利用者数および人口普及率(6歳以上の個人)

これを直近5年間分について、年齢階層別に確認したのが次のグラフ。「全体で約8割とはやや少なくないか?」との印象を持つ人もいるだろうが、年齢区分で見ると13歳以降は60代前半まで、8割どころか9割強の利用率なのが確認できる。

↑ インターネット利用率(個人、年齢階層別)
↑ インターネット利用率(個人、年齢階層別)

6~12歳が8割台に留まっているのは、まだ幼い状態の人も含まれ、またリスクを考えれば仕方がない。一方、60代前半以降では利用率は漸減していく。高齢層ほどインターネットの利用を避ける傾向にあることは、これまで数多くの調査資料でも明らかにされている通りで、今回の結果も納得がいく。

その理由までは今件調査結果だけでは特定できないが、経年による視聴覚の衰えの問題や、利用の際に覚えねばならないことが多く難儀させられる、さらには「新しい物事への挑戦」には何事も失敗がつきものだが、その失敗を恐れる(主に時間のロスの観点で)傾向が強いこと、そして昨今浸透しつつあるスマートフォンやタブレット型端末におけるタッチパネルは苦手(指先が乾燥気味で反応しにくい)などが考えられる。また現状の生活環境においてインターネットが要らない、メリットとデメリットを比較した場合に必要性を感じない人も多分にいるのも要因だろう。

ただしここ数年、高齢層の大きな伸びも確認されている。特に直近年の伸びは著しい。上記グラフでもその伸び方はよくわかるが、それをさらに対象期間を拡大したのが次のグラフ。さすがに80歳以上はやや凸凹があるものの、60歳以降は概して増加を見せている。

↑ インターネット利用率(個人、60歳以上、年齢階層別)
↑ インターネット利用率(個人、60歳以上、年齢階層別)

元々伸び代が大きいこともあるが、若年層に追いつき追い越せとばかりの勢いが感じられる。ただしここ数年は伸び率が鈍化、さらには頭打ちになっていた感はある。また80歳以上はほぼ横ばい。

50代までと60代以降にやや大きな差異が生じるのは、50代までは業務としてインターネットの利用が求められる事例が多いからに他ならない。経年による身体機能の衰えで利用ができなくなる事例をのぞけば、それらの人達は定年退職を迎えても(60代を過ぎても)インターネットは利用し続けるはず。高齢層の利用は環境の変化とインターネット「世代」の年齢の積み上げ、二つの要素で底上げされていく。

このままの勢いが続けば、この数年のうちに「インターネットは若者のツール。高齢層には関係の無い話」といった、世間の一部で語られている、常識扱いされている言い回しも、過去のものとなりそうだ。いや、すでに70代でも過半数が利用している以上、すでに過去のものと認識しても問題は無さそうではあるのだが。

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※通信利用動向調査

2019年分は2019年12月に、「世帯向けは都道府県および都市規模を層化基準とした層化二段無作為抽出法で選ばれた、20歳以上の世帯主がいる世帯・構成員に」「企業向けは公務を除く産業に属する常用雇用者規模100人以上の企業に」対して、郵送による調査票の配布および回収の形式によって行われている(一部オンラインでも実施されている)。有効回答数はそれぞれ1万5410世帯(3万9658人)、2122企業。各種値には国勢調査や全国企業の産業や規模の分布に従った、ウェイトバックが行われている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。