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竹島問題に関心がない人4割近く、その理由は?(2019年公開版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 今も韓国によって不法占拠・支配が継続中の竹島。日本人の関心は。(写真:Office of North Gyeongsang Province/ロイター/アフロ)

竹島問題に関心がある人は約6割

内閣府は2019年12月、竹島に関する世論調査(※)の結果概要を発表した。その公開資料から竹島への関心のある無しなどの実情を確認する。

竹島は島根県に属し、隠岐島の北西約157キロ、北緯37度14分・東経131度52分に位置する、男島・女島から構成される島。戦後発効したサンフランシスコ講和条約で国際的に日本領帰属として確定したが、その直前に韓国が独自かつ一方的に海洋主権宣言(李承晩ライン宣言)を行い竹島の領有を主張、同島を自国領海に取り込み、以後同国が武力によって不法占拠・支配を継続しており、日本の施政権行使がさまたげられる状態が続いている。

↑ 竹島の位置(島根県公式サイト・Web竹島問題研究所から)
↑ 竹島の位置(島根県公式サイト・Web竹島問題研究所から)

その竹島について関心があるか否かを聞いたところ、関心を持つ人は25.0%、どちらかといえば関心がある人は38.7%となり、合わせて63.7%が関心派との結果が出た。

↑ 「竹島」について関心があるか
↑ 「竹島」について関心があるか

どちらかといえば関心が無い人は22.2%、関心がない人は11.8%となり、合わせて34.0%が無関心派に属する形となった。今調査対象母集団における竹島そのものの認知度は94.5%なので、「竹島を知っているが、関心は無い」人は全体の3割強存在する計算になる(知らなければ関心の持ちようは無いとの前提)。

また2017年に実施された前回調査の結果と直近年となる2019年分の値を比較すると「関心派」は値を増やし、「無関心派」は減る動きが確認できる。GSOMIAの件など昨今では韓国の動向に関する報道が増えており、その中で竹島についても多々報じられるようになったが、その動きが影響しているのかもしれない。

関心内容は「正当性」「歴史的経緯」「対応」

関心派・無関心派それぞれにつき、その内容・理由を尋ねた結果が次以降のグラフ。まずは関心派の具体的な関心内容だが、「我が国の竹島領有の正当性」を挙げる人がもっとも多く、71.5%との結果となった。なお空欄の部分はその年に該当する設問が無かったことを意味する。

↑ 「竹島」への関心内容(複数回答、関心派限定)
↑ 「竹島」への関心内容(複数回答、関心派限定)

次いで「歴史的経緯」や「日韓関係に与える影響」「我が国の政府や地方自治体の対応・取組状況」「韓国の主張」が続く。見方を変えれば同問題について広報・啓蒙・公知を行う場合、これらの要件に重点を置いて情報を配信することで、効果的に需要に応えることができることになる。

また「他の人の意見や考え」「研究成果・論文」への値が低いのが目に留まる。これは他の主張などに興味は無く、関連問題における事実、実情を知りたい、興味があるといった関心派の認識が透けて見える。もっともこれらの値が低いのは、押し並べて一般的なメディアに周知されるこの類の話は、概して日本に対して否定的な内容のものが多く、それらに対する拒否反応の現れの面もあるのかもしれない。

一方、無関心派が関心を示さない理由として挙げたのは「自分の生活にあまり影響が無い」で、59.5%。次いで「竹島に関して知る機会や考える機会が無かった」が31.0%と続いている。

↑ 「竹島」に関心が無い理由(複数回答、無関心派限定)
↑ 「竹島」に関心が無い理由(複数回答、無関心派限定)

国レベルでの外交・内政問題である竹島問題だが、一人一人の立ち位置から見れば、直接生活には関係の無い話と受け止められるのも無理は無い。ただしこれは周辺海域の施政権にもかかわる問題となり、対応次第では同島以外の問題にも連鎖反応が生じるリスクもある。要は「竹島一島だけの問題で、自分の日常生活には影響が無い」と回答者が考えているに過ぎない、見方を変えれば回答者の認識・情報が不足していることになる。この点では第2位の回答「竹島に関して知る機会や考える機会が無かった」も近いものとなる。

第3位以降の「内容が難しい」「紛争や武力衝突など負のイメージを連想する」は、個々の心境・性質の問題から、仕方の無い面もある。しかし第1位・第2位の理由は、多分に啓蒙・情報公知不足によるところが大きい。今調査の調査要目にある「(調査目的として)竹島に関する国民の意識を調査し、今後の施策の参考とする」を誠実に実行することを期待したい。

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※竹島に関する世論調査

2019年9月26日から10月6日にかけて、全国18歳以上の日本国籍を有する人3000人に対し、調査員による個別面接聴取方式によって行われたもので、有効回答数は1546人。2014年実施までの調査では20歳以上を対象としていたのに対し、2017年実施の調査からは18歳以上を対象としているため、2014年分までと2017年分以降との間に厳密な連続性は無いことに注意が必要。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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