がん検診の受診率は低い。受けない理由は「時間が無い」が最多(2019年公開版)

↑ がん検診をすればがんの重篤化リスクは減らせるが受診率は高くない。なぜか?(写真:ペイレスイメージズ/アフロイメージマート)

がん検診受診率は2年以内で5割台

今や日本で最大の死因として挙げられる「がん(悪性新生物)」。検診を受けることで発症を自覚し、適切な対処を取ることができ、リスクを確実に減らせるのだが、がん検診の受診率はまだまだ低い水準にある。その理由は何だろうか。内閣府大臣官房政府広報室が2019年9月に発表した「がん対策・たばこ対策に関する世論調査」(※)から確認していく。

今調査ではがんの対象を特定せず、単にがん検診に関して受診をしたか否かを尋ねている(一応具体例として「胸や胃のレントゲン撮影やマンモグラフィ撮影などによるがん検診」と表現しているが、具体的設問では「こうしたがん検診を受けたことがあるか」と表現されている)。その結果としては、5割台が2年以内に受診したと回答した。最後に受診したのが2年前より前の人が1割強、そしてまだ一度も受診していない人も3割近くに達している。

↑ がん検診受診状況(属性別)(2019年7月)
↑ がん検診受診状況(属性別)(2019年7月)

女性特有の検診となる「子宮がん」「乳がん」の検診は基本的に2年おきに実施するものだが、それ以外の部位では毎年行うのが望ましいため、男女ともに「1年以内に受診」の回答が本来ならばあるべき回答。しかしながら該当者は5割足らずでしかない。男女別では男性の方が検診状況は進んでいる。

18~29歳では「無し」の回答が極めて多いが、これは学生なども含まれており、仕方が無い面もある。しかし就業者ならば法定健診に含まれる場合もあり、そうでなくとも自治体などによって安価にて検診の機会は提供されることから、当事者の検診意識が低いと見ることもできる。また国によるがん検診の指針が子宮頸がんは20歳以上だが、肺がん・乳がん、大腸がんは40歳以上、胃がんは50歳以上となっているのも一因だろう。

40代以降は検診状況にあまり変わりは無い。がんを自らにも生じるかもしれないものとして真剣に認識するからだろう。また国の指針によるところも大きい。しかし見方を変えれば40代でも3割近く、50代以降でも2割前後は過去に一度もがん検診をしていない人が存在することになる。恐らくは以前に受けてそれきりの人も40代で1割近く、50代以降でも1割台が確認できる。

がん検診を受けない、その理由

それではなぜがん検診をしないのか。検診状況で「2年超前に受診」「無し」の回答者にその理由を尋ねたところ、もっとも多くの人が同意を示したのは「受診する時間が無い」だった。28.9%の人が受診に時間がかかる、多忙で時間を割り振ることができないのが、受診していない理由としている。

↑ がん検診を受けない理由の認識(複数回答)(2019年7月)
↑ がん検診を受けない理由の認識(複数回答)(2019年7月)

がん検診は対象となるがんの部位毎に受けねばならない。また、医療機関によっては一度に複数部位の検診はできず、複数部位の検査をしたい場合には時間・場所を変えて行う必要がある。たとえ検診の時間そのものが待機時間も含め数時間で済むとしても、平日仕事をしている人には各部位の検診毎に半日・一日の休みの確保が求められる。当然「受ける時間が無い」と回答する人が多いのも納得できる。

次いで多い回答率を示したのは「健康状態に自信があり必要性を感じないから」で25.0%。がんを罹患するのは何らかの形で体にトラブルが生じた結果であるとの認識なのか、あるいは健康体、若いうちには発症することは無いとの考えによるものだろう。実際には自覚症状としては健康体そのものでも、がんを発症している可能性はゼロとは言えないので、思い過ごしでしかないのだが。

がんの治療は何よりもがんそのものの発見が最重要課題。万一のことを考えれば、時間や費用など今件の上位回答におけるマイナス部分など、比較にもならないほどの小ささでしかない。また過度の自信でリスクを上乗せするのは愚行でしかない。面倒くさがらずに、定期的な検診をお勧めしたい。

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※がん対策・たばこ対策に関する世論調査

2019年7月25日から8月4日にかけて、層化2段無作為抽出法によって選ばれた全国18歳以上の日本国籍を持つ人に対し、調査員による個別面接聴取方式にて行われたもので、有効回答数は1647人。男女比は774対873、世代構成比は18~19歳29人・20代126人・30代178人・40代295人・50代268人・60代324人・70歳以上427人。

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