Yahoo!ニュース

ニュースサイトの利用実情をさぐる(2019年公開版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ ビジネスで頼りになるニュースサイト。その利用状況は。(写真:アフロ)

インターネットの普及に伴い多くの人が自分の端末でアクセスすることにより、多様な情報を瞬時に取得することが可能となった。また蓄積された情報を検索し、図書館の蔵書を探るような形での精査を行う手立てが手に入った。新聞のような紙媒体やテレビなど電波放送による一方向的な従来のメディアとは大きく異なるメディアとなるインターネットを用いたニュース配信は、さまざまな変化を人々の情報との接し方の点でもたらし、そしてニュースメディア全体にも影響を及ぼしつつある。今回は総務省が2019年5月に発表した「通信利用動向調査」(※)の公開値を基に、インターネットを用いたニュースサイトの利用者状況などを確認する。

次に示すのは、インターネット利用者におけるニュースサイトの利用者の実情。「ニュースサイト」に関する定義は公開値や質問票には無く、回答者が「ニュースサイト」の文言から判断できる対象が該当することになる。新聞やテレビの公式サイト、ポータルサイトが提供する二次配信サイトや独自ニュース、個人やグループによる情報配信サイトも含まれるものと考えられる。あるいはいわゆるキュレーションサービスのサイトやまとめサイトの類も、回答者の判断次第で該当している可能性はある。他方、動画や掲示板、メールマガジン、ソーシャルメディアそのものなどは、設問の上で別項目として明確に区分されているため該当しない。

↑ ニュースサイト利用者(過去1年間、インターネット利用者限定)(2018年)
↑ ニュースサイト利用者(過去1年間、インターネット利用者限定)(2018年)

全体では6割近く。インターネット利用者の半数以上はニュースサイトを利用している計算になる。未成年者(6~19歳)では4割に届かないが、20代以降急速に利用率が増加していく。男性は30~50代まで7割以上を維持しているが、これは就業中に使っているからなのだろう。60代以降も高めの値が維持される。他方女性は30代がピークで以降は少しずつ確実に利用率が下がる。男性と比べて値は低めで、なおかつピーク期間が短い動きからも、男女のニューサイトの必要性の違いが見えてくる。

世帯年収別ではほぼきれいな形で高年収ほど高利用率の結果が出ている。仕事の上で必要になる事例が、高年収ほど増えてくるものと考えられる。2000万円以上の値が落ちているのは、この層では高齢者が多数いるからだと考えられる。

上記の値はインターネット利用者に占める比率。属性によってはインターネットへのアクセスそのものの状況が大きく異なるため、全体像をつかみにくい場合がある(インターネットを使っていなければ、そもそもニュースサイトの利用はできない)。そこでインターネットを使う・使わないを問わず、調査対象母集団全体で計算をし直したのが次のグラフ。

例えば男性全体では50.3%とあるので、6歳以降の男性の半数ほどがニュースサイトを利用している計算となる。

↑ ニュースサイト利用者(過去1年間、調査対象母集団全体)(2018年)
↑ ニュースサイト利用者(過去1年間、調査対象母集団全体)(2018年)

男性は30~50代で7割前後がニュースサイトを利用している。60代に入ると利用率は落ちるが、それでも70代までは1/4を超える。一方女性は20代から30代まではむしろわずかながら男性よりも高い値を示すものの、40代以降では男性を下回る形となる。

世帯年収別ではおおよその形で高世帯年収=高利用率の形が出ている。低年収層ではインターネットそのものを利用していない場合もあるのだろう。

以上は各属性母体全体に対する比率だが、「実際にニュースサイトを利用している人数はどれぐらいなのだろうか」との疑問もある。そこで概算の利用者実数を算出、最大値となった東京都の値を基準値の1.00として、相対値を算出したのが次のグラフ。例えば北海道は0.26とあるので、東京都でニュースサイトを利用している人の数の26%が、北海道におけるニュースサイト利用者数となる次第。

↑ ニュースサイト利用者数(過去1年間、調査対象母集団全体、最高値の地域の人数を1.00とした時の相対値)(2018年)
↑ ニュースサイト利用者数(過去1年間、調査対象母集団全体、最高値の地域の人数を1.00とした時の相対値)(2018年)

地域別のニュースサイトの需要というよりは、インターネット利用者数そのものに左右されている感はある。ビジネスの観点では関東や近畿向けの情報が多くなるのも致し方あるまい。

■関連記事:

「オンラインの新聞購読」はEU平均で6割強…EU諸国のインターネット利用者における行動性向をグラフ化してみる

インターネットはいつ使われているのか、年齢別の違いをさぐる

※通信利用動向調査

2018年分は2018年10~12月に、「世帯向けは都道府県および都市規模を層化基準とした層化二段無作為抽出法で選ばれた、20歳以上の世帯主がいる世帯・構成員に」「企業向けは公務を除く産業に属する常用雇用者規模100人以上の企業に」対して、郵送による調査票の配布および回収の形式によって行われている(企業向けは一部オンラインでも実施されている)。有効回答数はそれぞれ1万6255世帯(4万2744人)、2119企業。世帯調査における調査票のうち約8割は回収率向上のために調査事項を限定した簡易調査票が用いられている。各種値には国勢調査や全国企業の産業や規模の分布に従った、ウェイトバックが行われている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロで無いプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

不破雷蔵の最近の記事