利用者16.3%・利用本数36.8本…有料動画配信の利用実情をさぐる(2019年公開版)
映像や音楽の市場を大きく変質させ、エンタメ部門に新たな旋風を巻き起こす技術・サービスとして、急速に浸透しているのが有料動画配信。個別の作品をデータ単位で買い取る、あるいはレンタルソフトのように短期間視聴できるスタイルだけでなく、クラウドサービスのように特定作品を視聴する権利を得られる「半永久視聴権」の販売や、一定期間は特定の枠組み内で好きな映像が観放題の定額サービスも展開され、急速にその利用者を積み増ししている。今回は日本映像ソフト協会が2019年5月に発表した、日本の映像ソフト協会そのものやソフト関連の実地調査結果を絡めた白書「映像ソフト市場規模及びユーザー動向調査」の内容を基に、有料動画配信サービスの実情を確認する。
直近の2018年では有料動画配信サービス市場は1980億円を示している。この市場には「定額見放題サービス」「都度課金サービス」「有料動画購入サービス」などが該当する。
この有料動画配信の利用状況を確認すると、2018年では調査対象母集団(16~69歳。一般調査は1500人、有料動画配信の内情調査は300人。いずれも男女・年齢・インターネットの利用状況に関するウェイトバックがかけられており、調査対象母集団の属性に関する偏りは最小限に抑えられている)の16.3%が利用していることが分かった。おおよそ6人に1人。また、利用者における平均利用本数は36.8本。
調査開始からまだ6年分しか経年データが無く、しかも2015年から計測対象範囲を大きく拡大している(有料動画には「定額見放題サービス」「都度課金サービス」「有料動画購入サービス」などが該当するが、WOWOWやスカパー!のような有料放送局による自社放送番組の再配信、ポータルサイトの有料付随サービス、動画配信サービスの有料プレミアムなどは2014年分までは該当しなかった。しかし2015年分以降は情勢の変化を鑑み、含むように計算方法を変更している)こともあり、経年傾向を推し量ることは難しいものの、2018年は前年比で利用者率が大きく増えているが、1人あたりの利用本数は減少、結果として利用金額は少しばかりの増加に留まっているのが分かる。
ヘビーユーザーだけでなくライトユーザーも利用し始めたため平均の利用本数が減ったのか、それともサービスの料金が値上げされたからなのか、今件データだけでは判断は難しい。もっとも業界から見れば、利用者率が増えて利用者平均利用金額が増えているのだから、市場は拡大しているのに違いない。実際、業界全体の統計結果からも2017年が1510億円、2018年が1980億円となっており、470億円も拡大しているのが実情ではある。
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