乗用車(新車)は何年で買い替えられているのだろうか(2019年版)

↑ 新車の買い替え。嬉しくなるのも分かるというもの。(写真:アフロ)

乗用車(新車)の買い替え年数は少しずつ伸びていく

多くの人にとって日常生活の上では欠かせない「足」となる乗用車。そのうち新車は何年ぐらいで買い替えが行われているのだろうか。内閣府の消費動向調査(※)の結果から確認する。

まずは長期時系列データが唯一用意されている二人以上世帯における、乗用車の買い替えについての推移をグラフ化し、その現状を確認する。

なお今件調査項目(買い替え)では乗用車に関しては「乗用車(新車)」とのみ表記されており、特に注釈は無い。軽自動車、電気自動車、燃料自動車なども買い替えの自家用として新車が調達されれば対象となる。要は世間一般に「乗用車」と表現されて違和感を覚えない対象と考えればよい。またこれまで世帯単位で乗用車を所有しておらず、新規に調達した場合は今件回答には該当しない(調査票にも「買い替えをしたものがある場合」と記述されている。そもそも新規購入ならば以前の保有車両の使用年数は計上されない)。

↑ 乗用車(新車)買い替え年数(二人以上世帯、年)
↑ 乗用車(新車)買い替え年数(二人以上世帯、年)

やや上下にぶれはあるものの、全般的には赤い破線の補助線動向からも分かる通り、買い替え年数は伸びる傾向にある。もっとも古いデータの1992年から始まる3年では平均6.1年ぐらい、最新の2019年に終わる3年では平均9.2年ほど。約3年は伸びている。自動車の性能向上などが原因のようだが、できるだけ短い買い替え期間・高い回転率を望む自動車の売り手からすれば頭の痛い話。

これを単身世帯の結果と重ねてグラフ化したのが次の図。

↑ 乗用車(新車)買い替え年数(世帯種類別、年)
↑ 乗用車(新車)買い替え年数(世帯種類別、年)

2016年以前では単身世帯の方が買い替え年数が短い。また2009年から導入された、いわゆる「エコカー減税」は”買い替え年数の動向においては”、影響を及ぼしていないように見える。一方、2014年4月からの消費税率改定に伴う駆け込み需要の観点では、単身世帯でやや特異な動き、前年比マイナス0.5年との動きが確認できる。あるいはいくぶんながらも、特需の影響で買い替え年数が短縮された可能性がある。

2017年は単身世帯が異様な伸び、前年比でプラス2.3年を計上している。詳細データを確認すると(グラフ化は略)、男性世帯で特に際立った伸びを計上していることから、該当世帯で新車の買い替え需要に変化が生じたのかもしれない。なお2016年の男性における買い替え世帯比率を試算すると6.8%、2017年は6.5%となっており、買い替えの傾向そのものは減少している。

直近年の2019年では、二人以上世帯が前年比マイナス0.1年、単身世帯でマイナス1.9年を計上している。単身世帯での動きはイレギュラーな感は強い。もっとも二人以上世帯の動きも合わせて考えると、買い替え年数の伸び方にブレーキがかかった感はある。

買い替え理由から見る税制の乗用車への影響

次に「買い替え理由」を、二人以上世帯・単身世帯それぞれについて確認する。

↑ 乗用車(新車)買い替え理由(二人以上世帯)
↑ 乗用車(新車)買い替え理由(二人以上世帯)
↑ 乗用車(新車)買い替え理由(単身世帯)
↑ 乗用車(新車)買い替え理由(単身世帯)

いわゆる「エコカー減税」が乗用車(新車)の買い替えにおける直接・最上位の理由ならば「その他」、あるいは回答者の間違い(「減税効果もあるのだから、今の機種より高性能のハイブリッドカーにしよう」との考えでの回答)で「上位品目」を選択し、それらの項目が大きく伸びることになる。

その観点で両グラフを確認すると、2009年以降において二人以上世帯では「2009年~2010年の『その他』が3.6ポイント増加」、単身世帯では同じく「2009年~2010年の『その他』が16.0ポイント増加」で大きな変化が確認できる。ところが上記のグラフなどにある通り、「買い替え年数の動向」にはさほど変移が見られない。つまり「まだ買い替えには早いが、減税が導入されたので該当車両に買い替えよう」とする人は少数にとどまり、むしろ「元々何らかの他の理由で買い替えを検討していた人が、エコカー減税の導入で制度適用車種への買い替え決断を後押しされた」事例が多数あったものと思われる。

2014年においては二人以上世帯で「その他」がやや減少しているものの、単身世帯では大きな伸びを示している。2012年水準に戻ったともいえる。

2015年は上記で言及の通り、軽自動車税の改定に伴う駆け込み需要から「その他」がさらにかさ上げされたようだ。もっとも「上位品目」「故障」を理由に挙げるような買い替え事例が少なくなったことによる相対的な上昇も十分考えられよう。

また直近の2019年では単身世帯で「上位品目」の割合が大きく伸びている。買い替え年数が大きく短縮したことと合わせて考えると、単身世帯にとって何か魅力的な車種が登場し、前倒しで買い替えをする動きがあったのかもしれない。

自動車そのものの耐久性の向上、利用周辺環境の整備などから、自動車の買い替えサイクルは少しずつ伸びる傾向を見せている。電気自動車やハイブリッドカーのような「劇的な変化(改善、メリットの上乗せ)」が得られない場合、買い替えのメリットがあまり無く、単価が高いため、現状の環境を維持することが多くなる。この事情は、他の高額耐久消費財と変わらない。

今後自動車の新車販売はますます厳しさを増していく。これまでの方法を繰り返すのでは無く、自動車に関連するあらゆる環境における変化を精査し直し、その上で新しい発想による切り口でのビジネスが求められている時代では無いだろうか。

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主要車種別の自動車保有台数をさぐる(2018年8月発表版)

※内閣府の消費動向調査

今後の暮らし向きの見通しなどについての消費者の意識や各種サービスなどへの支出予定、主要耐久消費財などの保有状況を把握することにより、景気動向判断の基礎資料を得ることを目的としている調査。調査世帯は、二人以上の世帯、単身世帯毎に三段抽出(市町村・調査単位区・世帯)により選ばれた8400世帯。調査時期は毎月1回で、調査時点は毎月15日。毎月10日前後に調査対象世帯に調査票が届くよう郵送し、毎月20日頃までに届いた調査票を集計する。なお2018年10月からは郵送・オンライン併用調査法を導入している。

毎月調査を実施しているが年1回、3月分において、他の月よりは細部にわたる内容を調査している。その中の項目の一つ「主要耐久消費財の買い替え状況」を今件精査では用いている。これは「対象品目を回答年度(今回の場合は2018年4月~2019年3月)に買い替えをしていた場合、買い替え前の商品はどれだけの期間使っていたか」を尋ねた結果。つまり直近の買い替え実施者における「買い替えまでの年数」が示されることになる。もちろん新規に購入した場合や、買い替えが該当時期で無かった場合は回答に加わらない。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロで無いプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。