正規社員と非正規社員の賃金差の実情をさぐる(2019年公開版)

↑ 正規・非正規問題で一番分かりやすいのは賃金格差。その実情は。(ペイレスイメージズ/アフロ)

社会現象としてクローズアップされている非正規社員の増加問題。正規・非正規間のもっとも分かりやすい違いは賃金(あらかじめ定められている支給条件・算定方法によって支給された現金給与額から、超過労働給与額(要は残業代)やボーナスなどを除き、所得税などを控除する前の額)にある。その実情を厚生労働省が2019年3月に発表した、賃金構造基本統計調査の報告書から確認する。

今回見ていくのは雇用形態別の賃金の実情。区分を正規社員に該当する「正社員・正職員」と、非正規社員に該当する「正社員・正職員以外」で行う。男女で大きな差異が生じているので、男女それぞれの実情を確認する。また、対象はフルタイム勤務の人が該当する一般労働者であり、パートやアルバイトに代表される、短時間、あるいは限定日数での就労タイプ(短時間労働者)は該当しない。

まずは2018年における雇用形態別・男女別の平均賃金。

↑ 雇用形態別平均賃金(男女別、千円)(2018年)
↑ 雇用形態別平均賃金(男女別、千円)(2018年)

正規社員の方が賃金は高い。非正規社員の賃金は正規社員に比して、男性で2/3ほど、女性で7割強。

全体として失業率の面では前回年となる2017年と比べて改善が見られたのが労働市場。

↑ 完全失業率(前年比、学歴別・年齢階層別、ppt)(2018年)(労働力調査から筆者作成)
↑ 完全失業率(前年比、学歴別・年齢階層別、ppt)(2018年)(労働力調査から筆者作成)

しかし賃金の上では男女で大きな差が生じている。もっとも大きな上昇率を示したのは男性の正規社員で、前年比0.8%の上昇となる。色塗りの都合によりやや見え難いものとなっているが、左側・太枠表示が正規社員、右側・枠線無し表示が非正規社員である。

↑ 雇用形態別平均賃金(男女別、前年比)(2018年)
↑ 雇用形態別平均賃金(男女別、前年比)(2018年)

2018年においては男女を問わず正規社員と非正規社員との間で明暗が分かれる形になっている。このデータだけを見ると非正規社員の立ち位置にある人達が冷遇されたようにも見えるが、報告書ではこの動きについて「日給や時給で働いている可能性が高いため、所定内実労働時間数の減少によるものと推測」「賃金分布では低賃金層は増加しているが、中ほどの層や高賃金層では減少。また正規社員の労働者の割合が増加していることを踏まえると、賃金の高い層の非正規社員の人が正規社員として雇用された、さらに高齢層では短時間労働者に移行したか引退したものと推測」などと説明されている。

要は労働時間が減ったので稼ぎが減った、高賃金層が正規社員として採用されたことから平均値が押し下げられた、高い賃金を得ていた高齢層が引退したか短時間労働者にシフトしたケースが多々あったなどを理由とするものである。毎年同じような状況は少なからず生じているはずだが、属性全体の平均値に影響をおよぼすほど大きな動きとなっているということなのだろう。昨今の雇用情勢を鑑みれば、理解はできる話ではある。

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