「ハイリスク・ハイリターン」な金融商品が欲しいか否か、その実情をさぐる

↑ 「ハイリスク・ハイリターン」な金融商品はある意味ギャンブルのようなもの?(写真:アフロ)

金融商品には「絶対儲かる」ものは無い。リスク(マイナスの結果を生み出す可能性)の大小と、そのリスク込みの商品を選ぶことで得られるかもしれないリターン(利益、収益)のバランスを考え、購入者自身で選択することができる(「買わない」も選択肢の一つ)。その特性が大きく表れている「ハイリスク・ハイリターン」な金融商品の選択の是非について、金融広報中央委員会の「知るぽると」が毎年実施している調査「家計の金融行動に関する世論調査」(※)の公開結果から確認する。

今件項目では「元本(投入した資産)割れを起こす可能性があるが、収益性が高いと見込まれる金融商品」、つまり「損をするかもしれないが大きく儲けられる可能性がある金融商品」について、今後1~2年間における購入・保有意欲を尋ねている。例えば株式、投資信託が該当する(預貯金などは該当しない)。昨今では仮想通貨も該当するだろうか。

直近の2018年の調査結果では、保有そのものを希望しない人が単身世帯で63.5%、二人以上世帯で80.5%に達している。

↑ ハイリスク・ハイリターン金融商品の保有について(2018年)
↑ ハイリスク・ハイリターン金融商品の保有について(2018年)

日本では諸外国と比べて(特に金融方面で)リスクを敬遠する傾向が強い。正確には「リスクとリターンの正しい関係」を習得していない雰囲気がある。あるいは強固な慎重さを持っている、と表現すべきか(その知識不足から逆に、自分が一度「儲かるかも」と思った・思わされた対象へは「絶対に儲かる」との信奉的な心情を抱きやすい傾向もある)。

また世帯種類別では二人以上世帯の方がリスクを強く避けている。これは自分自身以外の守るべきもの「家族」があることや、リスクが生じた時に自分以外に迷惑がかかる対象が多いとの気負いがあるからだと考えれば道理が通る。

今調査項目の結果は2007年以降の値が取得可能。それらをまとめてグラフ化したのが次の図。単身・二人以上双方の世帯で、少しずつ反動を経ながらリスク回避傾向が強まっていたが、この数年は少しずつ状況が変化している様子が確認できる。

↑ ハイリスク・ハイリターン金融商品の保有について(単身世帯)
↑ ハイリスク・ハイリターン金融商品の保有について(単身世帯)
↑ ハイリスク・ハイリターン金融商品の保有について(二人以上世帯)
↑ ハイリスク・ハイリターン金融商品の保有について(二人以上世帯)

元々リスクへ立ち向かう勢いが強かった単身世帯の方が、リスク回避へと流れて行く動きも大きなものとなっている。2007年といえば直近の金融危機(サブプライムローンショックに始まりリーマンショックに続く、長きにわたる不景気時代)が体現化した年でもあり、「リスクを避けよう」との考えが支配的になるのも理解はできる。

単身・二人以上世帯ともリスク回避の動きはより強固なものとなっていたが、双方とも2012年を底値に、少しずつだが再びリスクを取りリターンを求める動きに転じていた。これは株価動向や景況感の変化によるものと考えれば道理は通る。

もっとも単身世帯は積極的な保有傾向が強まりを見せる中、購入希望派全体に変わりは無い。二人以上世帯は積極保有希望者に変化はほとんど無く、消極保有希望者が漸増していた。景況感の回復の中でも、より積極姿勢を見せる単身世帯と、少しずつ、慎重に歩みを示す二人以上世帯。それぞれの根底にあるリスク金融商品への姿勢が表れており、非常に興味深い。

2016年以降は、単身・二人以上世帯双方ともに、保有希望者率の増加傾向が収まった雰囲気が感じられる。しかし直近の2018年に限れば、単身・二人以上世帯ともに前年から明らかに積極保有希望者の割合が増えている。仮想通貨によるバブル報道が影響している可能性は否定できない。

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※家計の金融行動に関する世論調査

直近分となる2018年分は二人以上世帯においては、層化二段無作為抽出法で選ばれた、世帯主が20歳以上でかつ世帯員が2名以上の世帯に対し訪問と郵送の複合・選択式で、2018年6月15日から7月24日にかけて行われたもので、対象世帯数は8000世帯、有効回答率は44.7%。単身世帯においてはインターネットモニター調査で、世帯主が20歳以上70歳未満・単身で世帯を構成する者に対し、2018年6月22日から7月4日にかけて行われたもので、対象世帯数は2500世帯。過去の調査も同様の方式で行われている。

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(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。