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20代の財布の中身は平均約9400円

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 20代のお財布の中身事情。現金はどれぐらい?(ペイレスイメージズ/アフロ)

金銭面で年齢階層別ではもっとも厳しい立場に置かれていると言われているのが、成人若年層。この層のお金事情はどのような状況なのだろうか。SMBCコンシューマーファイナンスが2018年12月に発表した調査「20代の金銭感覚についての意識調査2018」(※)の結果を基に、普段財布に入れている金額や、所持金が少なくて不安になる限界額の観点から、その実情を確認する。

就業者、あるいは大学生などにおいて、不意の出費にも即時対応できるよう、財布の中には常に自分の年齢×1000円分の現金を納めておくべきとの話がある。分かりやすい形での所持金額に関する習わしのようなものを示したものだが、実際のところはどのような所有状況なのだろうか。普段財布に入れている金額を尋ねたところ、直近年のボリュームゾーンは3001円から1万円との結果となった。全体平均では9396円との値が出ている。

↑ 普段(平日)財布に入れている金額は(自由回答)
↑ 普段(平日)財布に入れている金額は(自由回答)

中にはゼロ円とのつわものも確認できるが(すべてカードや電子マネー決済と割り切っているのだろうか)、1万円以下に8割近くが収まっている。普段万札が入っている人は少数派となる。直上で触れた「普段から年齢×1000円」は、少なくとも今の20代にはほぼ通用しない。

平均額の約9400円は、5000円札1枚と1000円札数枚、後は小銭が複数枚といったところ。あるいは1000円札と小銭を多めだろうか。もっとも昨今では電子マネーの普及で小銭を極力少なくしたいとの考え方もあり、その分金額が減っている可能性もある。電子マネーの利便性の向上や対応店舗の増加に伴い、キャッシュレス化が進み、その分普段から持ち歩く現金の必要性が減少しているのかもしれない。

平均額や回答金額の分散状況を見て、「普段の所有額がそれほど少額で大丈夫なのか」と心配をする人も多いはず。「どこまで所持金が減ったら、手持ちが少なくて不安になるか」を聞いたが、もっとも多い回答率層は1000円台で27.1%。平均額は2513円となっている。

↑ どこまで所持金が減ったら、手持ちが少なくて不安になるか(自由回答)
↑ どこまで所持金が減ったら、手持ちが少なくて不安になるか(自由回答)

手持ちがゼロな状態で初めて不安になる人も1割強いるが、あくまでも少数派。逆に2万円以上でも不安になる人もいる。ライフスタイルの違いにもよるため一概には言えないが、おおよそ財布に1000円札が2枚あれば、不安は大体が解消できるのだろう。つまり「年齢×100円」を持っていれば、多くの人が不安から解消されることになる。先の「常に所有しておくべき金額」は、1/10に軽減された上で、今や「不安解消のための目安金額」となったようだ。

所有額、不安になる額が小さいように見える。これは若年層の可処分所得の減少以外に、クレジットカードや電子マネーの存在が少なからぬ関係していると考えられる。あくまでも財布の中の金額(現金)である以上、各種電子マネーはカウントに含まれていない。現金は財布にあり、それとは別に疑似通貨を所有していると考えれば、道理は通る。

とはいえ、クレジットカードや電子マネーが使えない場面も多い。やはりお財布には一定額の現金があった方が、安心できるのには違いない。

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※20代の金銭感覚についての意識調査2018

2018年10月2日から3日にかけて、携帯電話を用いたインターネット経由で20代男女に対して行われたもので、有効回答数は1000件。男女・20代前半と後半の区切りで均等割り当て。未婚者756人、既婚者244人。調査協力機関はネットエイジア。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

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(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロで無いプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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