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SNSのやりすぎ自覚は41%…アメリカ合衆国の子供達の過度な熱中への自覚度合いをさぐる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 携帯電話全体やSNSの利用に夢中となり、つい長時間利用。自覚度合いは。(写真:アフロ)

自制心の鍛え方が足りない子供は、つい携帯電話やSNS(ソーシャルメディア)のような夢中になれる対象の利用に、長時間を費やしてしまうもの。アメリカ合衆国における子供達の過度な熱中の自覚度合いを、同国の民間調査会社Pew Research Centerが2018年8月に発表した調査「How Teens and Parents Navigate Screen Time and Device Distractions」(※)の報告書から確認する。

次に示すのは調査対象母集団の子供において、自分自身における利用時間をどのような長さであると自覚しているのかについての結果。例えば「携帯電話の利用時間」は54%が「長すぎる」なので、過半数の子供は自分の携帯電話の利用時間が、本来あるべき時間より長時間となっているのを自覚していることになる。勉強や読書ならともかく、保護者からはよい目で見られるとは思い難いので、子供自身も引け目を覚えているに違いない。

↑ 次の事柄への自分自身の利用時間をどのように考えているか(アメリカ合衆国、子供)(2018年3~4月)
↑ 次の事柄への自分自身の利用時間をどのように考えているか(アメリカ合衆国、子供)(2018年3~4月)

SNSの利用時間に関しては41%の子供が長いと自覚し、ちょうどよいとの意見は43%。逆に短いとの意見は13%でしかない。かつて子供が熱中しすぎて保護者が頭を抱える事態が容易に想像できたテレビゲームのプレイ時間は、長すぎるとの回答は26%。むしろ短いとの意見が22%に達している。子供の自覚の観点においてですら、携帯電話の利用時間は長すぎるとの認識が多分であり、問題との意識もあるようだ。

しかし一方で子供達は、自分の携帯電話やゲームの利用時間について、自分達はこれでも随分と時間を短縮してきたのだとの自覚も持ち合わせている。

↑ 自分は次の事柄に対して利用時間を減らしてきた経験がある(アメリカ合衆国、子供)(2018年3~4月)
↑ 自分は次の事柄に対して利用時間を減らしてきた経験がある(アメリカ合衆国、子供)(2018年3~4月)

携帯電話の利用時間に対する回答率が一番低く、次いでSNS、そしてもっとも高いのがテレビゲーム。「利用時間を減らしてきた」との回答率が高いからこそ「利用時間が長すぎる」との意見が少なくなるとの解釈もできるが、それにしては「利用時間を減らしてきた」の回答率の差が小さすぎる。これはむしろ、携帯電話やSNSの利用時間はまだまだ減らせる余地があると自覚できるほどの長さではあるが、それでも十分なまでに利用時間を減らしてきたとの自覚の結果かもしれない。

報告書ではこれらの設問に関する具体的な分析は述べられていない。「利用時間が長すぎる」の回答率に関して、SNSでは女子の方が高い値(男子は35%、女子は47%)だが、テレビゲームは男子の方が高い値(男子41%、女子11%)を示しているとのみ補足説明がある。また人種や世帯収入による差異は生じていないと説明している。納得できる結果ではある。

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※How Teens and Parents Navigate Screen Time and Device Distractions

アメリカ合衆国に住む13~17歳の743人に対して2018年3月7日から4月10日にかけて電話による通話とオンライン経由で行われている。男女比は348対393、年齢構成比は13~14歳が301人、15~17歳が442人。国勢調査の結果に基づいたウェイトバックが行われている。保護者に該当する対象は1058人で同様の手法で調査されている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

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(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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