高校2年生がもっとも得意なのは芸術…学校の教科、子供達が得意なものは何だろうか
学校では多様な教科を学ぶ。内容への興味や子供自身の好き嫌い、相性、学校側の教育方針や教鞭を取る教師側の質など様々な条件の中で、子供達は得意な教科、不得意な教科を自覚することになる。今回は国立青少年教育振興機構が2018年8月に発表した「青少年の体験活動等に関する実態調査」(※)の報告書から、子供達が得意とする教科の実態を確認する。
次に示すのは回答者自身の認識として、得意とする教科を複数回答で答えてもらった結果。成績が優秀、学ぶのが楽しい、自分の趣向と合うなど実状的には色々な理由が考えられるが、ともあれ「得意」との表現に合致した教科となる。場合によっては成績はあまりよくないものの、積極的に行動できる、楽しく学べる、満足のいく成果が出せるものを「得意」と判断していることもあるだろう。
なお学校種類別で教科構成が異なるため、小学生・中学生・高校生で別々のグラフを構成している。
まずは小学生。
どの学年でももっとも得意とされている教科は(保健)体育で、図画工作が続く。小学5年生までは続いて理科が、小学6年生になると家庭が顔を見せる。いずれも実務系の色合いが強いことが特徴で、小学6年になると家庭と理科の立場が入れ替わるのも、理科で筆記面が多くなるからかもしれない。
国語や社会、外国語など文系色の強い筆記教科は概して低め。昨今では理数系を嫌う子供が多い話が持ち上がり、問題視されているが、少なくとも今件調査の限りでは、小学生の時点では心配は無用なようだ。
続いて中学生。
中学生でも(保健)体育の人気は抜群で、言葉通り群を抜いている。興味深いのは音楽に続く社会。小学生では不人気教科だった社会も、中学生になると得意教科の上位陣入り。もっとも小学生の時点で、学年が上がるに連れて得意と回答する人は増える傾向にあったので、この流れも当然かもしれない。
さらに数学、外国語、理科と上位陣が続く。図画工作の系列ともいえる技術・家庭はなぜか不人気。国語も相変わらず得意とする子供は少ない。
最後は高校生。
美術からの系列となる芸術が最上位。中学生との違いには驚かされるばかり。次いで小中学生では得意とする人が少なかった数学が入っている。ただし回答率そのものは中学生とさほど変わらないことから、数学を得意とする人が増えたのではなく、他の教科を得意とする人が減り、相対的に順位が上がったと考える方が妥当。
「その他」は具体的に農業・工業・商業などが元データでは列挙されているためこのような扱いでグラフに掲載しているが、それらよりも公民を得意とする子供は少ない。また情報教科を得意とする人も少ないのが目に留まる。
全グラフを見返すと、小学・中学・高校と学校種類が上になるに連れて、全体的な回答値が小さくなっているのが分かる。これは上の学校種類になるほど、得意と回答できる教科が減っている事を意味する。試しに1教科あたりの平均「得意教科」回答率を算出すると、小学5年生がピークで、以降は学年が上がるに連れて値は減少していく。
学校の勉強そのものに難儀している、得意と言えるほど満足できる理解や成果を出すことができない実情が透けて見えるというものだ。
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※青少年の体験活動等に関する実態調査
直近年度分は2017年2月から3月にかけて各学校(小学校は1年生から6年生まで各100校ずつ、中学校は2年生対象に150校、高等学校は2年生対象に150校)への調査票発送・返信による回収方式で行われたもので、有効回答数は学校数が879校、子供の回収数が18316件、保護者が15769件。
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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。
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