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買い物7割強、料理やお風呂掃除は6割強…子供達のお手伝いの実情をさぐる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 食事の後の食器洗い。代表的なお手伝いの一つ。(ペイレスイメージズ/アフロ)

買い物は7割強、靴揃えや靴磨きは5割近く

母親の家事全般の負担軽減、そして情操教育の一環として、子供に家事の一部を任せたり、手伝わせることは子育てにおいて欠かせない「しつけ」の一つ。子供達のお手伝いの現状を、国立青少年教育振興機構が2018年8月に発表した「青少年の体験活動等に関する実態調査」(※)の報告書を基に確認する。

設問で列挙された限りにおける、直近調査結果となる2016年度時点での、調査対象母集団(小学生、中学2年生、高校2年生)のお手伝いの実情は次の通り。買い物は時々の頻度まで含めれば7割強が手伝っていることになる。

↑ お手伝いの実態(2016年度)
↑ お手伝いの実態(2016年度)

「食器の揃え・片づけ」の時々の頻度まで含めた値は67.8%。買い物よりも技術を必要とせず、室内でも可能(=保護者の監視がし易い)なことから、「いつもしている」の回答値はむしろ買い物よりも高い。さらに室内の掃除や風呂洗い・窓ふき、料理が続く。

ゴミ袋を出したり捨てる行為のハードルは低いように思えるが、ゴミの重さなどもあり、実施率はさほど高くは無い。さらにペットや植物の世話は半数足らずに留まっている。もっともこれについては、ペットを飼っていない・植物を育てていなければ世話のしようがないことから、手伝うことが不可能な事例も多々あるものと考えられる。

男女別、そして経年変化を見ると

この「子供達のお手伝い実情」をいくつかの属性で区切って確認していくことにする。まずは直近2016年度分における男子と女子の、各学年別の行動率の違い。その差が分かりやすい料理のお手伝いは次の通り。

↑ 料理の手伝い(いつも+時々、男女別)(2016年度)
↑ 料理の手伝い(いつも+時々、男女別)(2016年度)

料理の場合は特に女子の方が積極的な手伝いの様子が見受けられる。おおよそ20%ポイントほどの差が出ている。グラフ化は略するが、男女別では料理ほどではないものの、他のお手伝いの項目でも概して女子の方が値は高い。男子の方が実施率が高いのは、力仕事となる場合が多いゴミ捨てぐらい。

また料理では男女とも学年が上になるほど、お手伝いの実施率は減少していく。理由は色々と考えられるが、例えば学校の授業や部活動など自分自身の生活行動が忙しくなる、気恥ずかしさを覚えるなどが、手伝い率減少の理由として考えられる。

一方で、子供の手伝いそのものは時代の流れとともに活発化している。次に示すのは、調査様式の変更に伴い変更された調査対象母集団構成を合わせるため、一部調査対象を調整した上で再計算された、いくつかのお手伝い項目に関する実施率の推移を見たもの。

↑ お手伝い実施率(いつも+時々、無回答除き再計算した値)
↑ お手伝い実施率(いつも+時々、無回答除き再計算した値)

共働き率の増加に伴い家事分担の必要性が増えてきた、お手伝いが情操教育としても有益であるとの考えが浸透しているなど、理由はいくつか想定できるが、ともあれ子供のお手伝い度合いはおおよそ積極的になりつつある。少なくとも保護者の立場からは、ありがたい、頼もしい話には違いない。

子供にお手伝いをさせる際には、いきなりすべてを丸投げするのではなく、最初は保護者自身のやり方をよく観察させる。その上で、ともに手取り足取りの形で教え、手伝いをさせることが望ましい。手伝い行為は子供の視点からは、自分自身の価値について、家庭を支える一員との認識を確かなものとさせる。その経験は成長の大きなステップとなるに違いない。

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※青少年の体験活動等に関する実態調査

直近年度分は2017年2月から3月にかけて各学校(小学校は1年生から6年生まで各100校ずつ、中学校は2年生対象に150校、高等学校は2年生対象に150校)への調査票発送・返信による回収方式で行われたもので、有効回答数は学校数が879校、子供の回収数が18316件、保護者が15769件。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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